豊かすぎる感受性
幽霊となって現れた大切な人との再会。
最終回を迎えたトーク番組で司会者がする最後の挨拶。
妹はそういった場面で必ず泣く。人に共感しやすい心優しい子なのね…と この部分だけ読めば、彼女は感受性が豊かな少女と言うことで結論づき、
何事もなく次の話題へと移る。が、
ひとつ屋根の下で暮らす妹となると、これが面白くてたまらないし、感受性の豊かな子、という一言では済ますことのできないものになってくる。
例えば、お涙頂戴のシーンになるたびに家族の注目はテレビ画面ではなく妹の眼にいく。
みるみる潤む瞳、とがる唇!!
なぜそんなにポロポロ泣けるのか。(すぐに泣ける子役としてオーディションに申し込もうかという話は何度も食卓の話題に上がった)
なぜそこまでうまくテレビの思惑通りに盛り上がれるのか。
お陰で隣でテレビを見ている私たちは、妹の涙の方が気になってしまい、肝心のシーンを見逃す。
あとから録画を見返すが、「ああ、こんなに良いシーンだったのかっ」と思うのと同時くらいに妹の泣き顔とムダに綺麗な涙も思い出されてしまう。(長女になら特に共感してもらえると思うが、妹の泣き顔ほど面白いものはない。)
我が家がテレビを見て、雑念なく純度100%の感動に浸れる日は
来るのだろうか。