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エプロン苦手な視点から考えたスリット入りエプロン

今回から、新たにエプロンを製作して、分かった事を少しずつまとめます。

皆さんはエプロンが苦手や、面倒と感じた事はありませんか?

家事でエプロンを付ける派、付けない派、分かれると思います。
また、普段は付けないけど、仕事のユニフォームとして付けると言う方も中にはいらっしゃるかもしれませんね。

今はエプロンも色々なタイプがありますが、万人に対応したフリーサイズのエプロンと言えば、腰の後ろで紐を結ぶタイプではないでしょうか?

私は今までエプロンの必要性は感じていましたが、産後、母となり育児をしながらの忙しい日々に、そのエプロンの脱着や、扱いが面倒に感じ普段エプロンをしていませんでした。

エプロンを長年使ってきたからこそまとめる内容ではなく、エプロンを付けるのが面倒と思ってきたからこその視点で製作、まとめていますので、その辺りをご理解いただき、読み進めて頂けると有り難いです。

【エプロン製作のきっかけ】

冒頭でもお伝えした通り、今まで、エプロンの必要性は感じていたのですが、自分が現状持っていた、一般的な腰の後ろで紐を結ぶタイプのエプロンには日々の忙しさに不便だと感じていました。

紐で結ぶタイプのエプロンは、フリーサイズでどんな体型の方にも対応するので、商品としてはとても良く考えられていると思います。

ですが、私は自分でパターンが引けるので、少しでも不便と思う点を解消した、理想のエプロンを一度作ってみたいと思っていました。

ただ育児と仕事に追われ後回しに…。

今年度やっと時間が作れるようになったので、少しずつ取り掛かることにしました。

母目線で考えるパタンナーとしては、勿論デザイン重視では無く、機能面にも拘って。

そんなことを考えていた矢先、実母からエプロンを作って欲しいと言う依頼を受けました。

話を聞いていると、なんと私が考えていたエプロンに対する考えと同じだったのです。

まずは、長年エプロンを愛用してきた母と、エプロンが面倒と避けてきた母(私)が相談をしながら製作を進めていく過程を簡単に記録しておきます。

きっと忙しいお母さんには共感していただけることも多いかと思いますので、ご興味があればお付き合いください。

【エプロンに求める事】

まずは大まかなところから…

⚫︎脱着が簡単な事
エプロンは毎日脱着の回数が多いので、やはり少しでも手間を省きたいと言う思いから。 

⚫︎長い紐がないこと。
これは、脱着の簡単さにも繋がりますが、
洗濯の時も、その後の収納時も長い紐はよれて皺になりやすいし、アイロンがけも、畳む時も面倒に感じていました。

⚫︎アイロンのかけやすさと畳みやすさ
ギャザーなどの過剰なデザインは不要。
ギャザーやフリルが入っているエプロンは女性らしくて素敵なのですが、アイロンがけのし易さも意識して、シンプルでも素敵に見える事を優先。

⚫︎丈は短め
これは個人的に思う事ですが、腰が隠れるぐらいのショート丈でも良いのではと考えていました。
(これは後程反映させたいと思います。)

※今回はあくまでも、毎日の忙しい母目線での意見です。

これらの事を踏まえて、紐なしのエプロンをパターンから製作しました。

①【被るタイプのエプロン】
ゆったりシルエット(試作品)

これは私が最初に母から細かくヒヤリングする前に形にしたエプロンです。

紐をなくしたワンピースタイプのエプロン。

⚫︎パネル切り替えがポイント
被るタイプはどうしても脱着のし易さを考えると横幅が必要。
少しでもスッキリ見える様、パネルの切り替えを入れて、縦長ラインを意識
横から見た時のバランス調整はトワルでも拘わった部分。


⚫︎ポケットはシーム利用
これは好みですが、パッチポケットではなく脇線を利用しました。


⚫︎生地の組み合わせを楽しめる
切り替えを多く入れているので、生地の組み合わせによって、それぞれのオリジナルのエプロンに仕上げられる様、製作する側の気持ちも考えた工夫を。

この切り替えが、ゆくゆくリメイクに繋がれば良いな…と言うところまで考えて製作していました。

【着用チェック後の見えてきた課題】

早速、長年エプロンを愛用してきた母に着用してもらい意見を聞いてみると、
エプロンは、脱着が簡単なのは勿論だけど、シルエットはスッキリタイトが理想。
試作品はゆったりしすぎと言うこと。(ダメ出し)
私も意見を聞いて納得しました。

確かに、紐を無くして、被るタイプにすると、脱着がしづらくなるので、どうしても身幅が必要となりシルエットがゆったりしてしまいます。
空きが無いエプロンをタイトシルエットにすると言うことは少し難しい課題だと言うことがわかりました。


その点、紐付きエプロンは、縛ることで人それぞれの体型に合わせシルエットもタイトでスッキリさせることができるので、よく考えられたデザインなんだと言うことも改めて実感しました。

でも、ここはパタンナーの腕の見せ所。
これらの事を含めて考え直し、製作したのは…

②【被るタイプのエプロン】
タイトシルエット


母と相談後に製作したのは、同じくボタンも紐もない被るタイプのエプロン。

どこが変わったかと言うと…

後ろに長めのスリットを入れることにしました。

試作品で課題となった、
「被るタイプだけどタイトなシルエットにしたい」と言う母の要望に、脱着や運動量を考えた結果、これがベストとなりました。

試作品では、脱着のし易さを考えて裾幅を出したり、パネルでバランスをとったり、時間をかけて悩んでいた時間があっさり解決。

母に着用チェックして貰った感想は、シルエットもタイトでスッキリ調度良い。

脱着がし易く、後ろのスリットが動いてもあまり開かなくて良い感じ!と合格を頂きました。


※実は、スリットが開かないのは、縫製の時にコツがあります。
これは、パターン通りに縫い止める事が正解ではなくて、
ボディーに着せて、スリットがしっかり重なる様に位置を確認してから縫い合わせると言うひと手間をくわえています。
この辺りは、多くの生地や、製品を検品してきた過去の経験から学んだ事です。
そんな小さな点に気が付いて貰えた時は、やはり作り手からすると嬉しいことです。


その他、デザインはシンプルなので、ポケットでワンポイント。
別布の柄で細めのリボンポケットに。


今回のリボンポケット、実は娘のスモックの時に作ったリボンポケットの細いバージョン。


母が娘のスモックを見て気に入ったらしく、もう少し細い物で作って欲しいという事でバランスを変えて、大人っぽいリボンポケットにアレンジしました。


もう古希を迎えた母ですが、何十年も色々なエプロンを使ってきた中で、今回のスリット入りエプロンを着用して、とても喜んでくれたのは、ひとつ課題をクリアしたかのように嬉しい事でした。

私も実際に着用してみましたが、スッキリしていて年齢問わず着られそうです。

タイトなシルエットなのに、脱着のし易さが感動的でした。


紐がないエプロンとして、まずは一着完成しましたが、母曰くこれは普段使い用。

もう一着、お出かけ用として違うタイプで作って欲しいとの依頼がありました。

エプロンは色々なタイプがある上に、母も場面によって使い分けていると言う事がわかりました。

私はまだまだエプロン初心者ですが、実際に作る事で更にエプロンに興味がわきました。

エプロンなんて洋服より簡単!っと思っていましたが、それは違いました。

次回は、もう一つの違うタイプのエプロンについてまとめます。

※この記事の文章、画像は全て、無断転載をお断りいたします。
宜しくお願い致します。

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