H型エプロンの着心地追求
現在、エプロンを製作した時に、新たに分かった事を少しずつまとめています。
前回、エプロンが苦手な視点から、被るタイプのエプロンを製作した時のことをまとめました。
最初は母からの依頼で普段使い用のデザイン。
今回は、お出かけ用にも使えるデザインでもう一着作って欲しいとの依頼があり、バックの紐がHの様になっているエプロンを製作したので、その時の記録をしておきます。
母の実際に持っていたH型エプロンを着用してもらい、改善したい点をヒヤリングし、新しく着心地が良いH型エプロンのパターンを製作しました。
【現状あるH型エプロンの改善点】
実際にいくつかあるH型のエプロンを着用して比べてみると 紐の付く角度や位置、長さ、前後のバランス、どれもバラバラ…。
一見、どれも一緒に見えますが、母も長年エプロンを着ているので、その着心地の悪さにも気がついていたようです。
パタンナーの私が見ても、これは体にあってない…と言うものばかり。
母から実際に言われたことをピックアップすると
⚫︎紐が肩からズレ落ちる。
⚫︎脇が余ってスッキリしない。
⚫︎ウエストの紐は無しにして釦で止めるタイプにしたい。
エプロンは、直線が多く簡単そうなので平面でもパターンは引けてしまうのですが…やはり体に合っていないものは、パタンナー目線で見るとすぐわかります。
過去にパターンの良し悪しについてまとめた記事があります。この機会に一度目を通していただけるとわかるかと思いますが、同じH型エプロンでも着心地はそれぞれ…、それはきっと、パターンを理解して引いているかそうでないかの違いです。
私も一度平面でパターンを引きましたが、トワルを組んで確認すると、修正箇所が沢山ありました。
【H型エプロンの奥の深さ】トワルで確認
まず最初に、このH型エプロンは前後のパーツを2本の紐で釣ってバランスを取るので、想像していたより難しいアイテムでした。
⚫︎片紐の付く位置、角度の重要さ。
平面で考えると、前の紐も上にまっすぐ付けがちですが、前の紐も角度を付けることで肩の傾斜に馴染ませる事が出来ます。まずはそこを改善しました。
紐の長さも重要で、その少しの長さの違いで、前後のバランスが崩れます。
⚫︎H型の紐の位置の重要さ
Hの横になる部分の紐ですが、この位置が下すぎると肩の紐が動いてズレ落ちる原因に。
1番動くのは肩甲骨の部分。なので、実際に後ろから見た時にHに見えるような下の位置では体に合っていないという事がわかります。
⚫︎脇のゆとりとバストダーツの関係
これは専門的なので文章だと説明が難しいのですが(パタンナーならわかると思います)、母が言っていた脇が余ってすっきりしないと言うのは、前のパーツで、バストダーツがきちんと展開できていないパターンだった事がわかりました。
⚫︎紐を無くした時のデメリット
今回、紐を無くしてボタンにした事で、ウエスト周りはギュッと絞る事は出来ません。
その時、脇線も安易に直線で形成するとどうしても余りがちな部分ですが、ヒップカーブに合わせて余る部分を削ることで、脇もスッキリ見えるように調整しています。
上記の事を改善し、エプロンをする女性が、少しでも気分が上がるように、細かな部分までシルエットに拘って土台を作りました。
【生地選びによって仕上がりも変わる】
今回母から依頼された生地は軽い化繊で、落ち着いた小花柄でした。
こちらの生地を使って仕上げたものがこちら。
前
後ろ
脇
トワルで拘った脇の拘りも綺麗にスッキリ仕上がりました。
土台がしっかりできれば、後はディティールで遊ぶだけ。
母の希望でポケット口にフリルをつけました。
実はこのポケットの位置も、着用すると脇がどうしても下がって見えるので、平置きでは脇上がりに付けるなど、細かな点も考慮して付けています。
母曰く、お出かけ用エプロンと言うことで、前回よりも少し上品に仕上げました。
【H型エプロンは畳むのもスッキリ】
これは母に送る際の梱包時に気が付きましたが、H型のエプロンも後ろを釦にしてしまえば、紐の管理も楽、畳む時もスッキリ収まりました。
生地も化繊で皺になりづらい生地を選べばアイロンも不要ですね。
簡単そうに見えるエプロンですが、実際に製作してみて分かったことが沢山ありました。
きっと、エプロンだと甘く見て作ると、体に合わないシルエットのパターンを作ったりするのでしょうね…。
エプロンにここまで拘って作ってみるのも、なかなか楽しいものです♫
母からの依頼のエプロンは一旦これにて終了。
長年エプロンを愛用している母から、リアルな声が聞けて、それを改善したパターンを作る事で、基本的なエプロンの作りが理解できてきました。
これらを含めて、次回からは自分用を製作した時のこともまとめていきます。
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