宇宙って動かないと思ってた
宇宙の神秘に興味はあるけど、規模が大きすぎて、頭の処理能力を超えてしまうのでなんとなく苦手だった。
数字が駄目なので、数式が並んだりするともうシャットダウンする。
だから、深海のほうが面白い気がしていた。
地球の中で一番深いというマリアナ海溝は、約10,920mらしい。
単純に技術が進んで、水圧に耐えられるような調査船が出来るような気がするし、生き物がいることはもうわかっている。
未知の領域ではあるが、既知の領域でもあるのだ。
それに比べて宇宙はでかすぎる。
探査のためにいくつも衛星を打ち上げたり、宇宙ステーションを作ったりしているものの、全容が明らかになる見通しがまったくない。
宇宙そのものは変化しているし、今見えている星はもう爆発してなくなってるかもしれないよ、ということはわかるんだけど、距離が近いんだか遠いんだか、なんかいろいろな間隔が桁外れだ。
マリアナ海溝の10,920mとか可愛い数値である。
でも、最近ちょっとだけ宇宙のことが楽しくなっている。
木星が面白い。土星でも火星でもなくて、木星。
ガスで構成されているので着陸とかできるわけもないけど、なんでそんなに大きいのか。
過去には今の数倍のサイズだったらしいけど、宇宙サイズなので細かいことはわからない。でも木星の内部はすごい圧力がかかっていて、すごいのである(語彙力消失)。
規模が違う。
金属水素の厚みが4万キロメートル。水素分子も2万キロメートル。
ともかく、木星が面白いなあとここ数日は思っていた。
それで今日もなんとなく木星のWikipediaなどを読んだりしていて、思わず声が出てしまったことがある。
木星の大赤斑と呼ばれる、あの特徴的な丸い渦みたいなものが、21世紀の中頃には消滅すると予測されているのだ。
木星というだけあって、木星は木の年輪のような縞模様をしているし、木の節のような大赤斑があるせいで余計に「木!」という感じがする。
温泉地のお土産屋にあるような、ヒノキのボールみたいなイメージだ。
この大赤斑、昔は地球3個分の大きさがあったらしいのだが、今は1.3倍くらいしかない。楕円形だったのが真円に近づいていて、このままのペースだと21世紀中頃には消えるというのだ。
待ってくれ、21世紀中頃はもしかしたら生きているかもしれない。
探査機が小惑星の表面サンプルを持ち帰ってきて、そこにアミノ酸が含まれていて生物が住んでいた可能性もあるとかないとか、そういう話も面白いなあと思うのだが、生きてる内に木星の表面が様変わりするとは思っていなかった。
宇宙は縮小しているかもしれない。
あの星はもう爆発して光らなくなっているかもしれない。
私にとって、宇宙はそういう「かもしれない」という、ずっとずっと先の話だった。未来の話だと思っていた。
宇宙は動いているのに。
アルデバラン星だって秒速54 kmで太陽系から遠ざかっているというのに。
そんなことを知って、考えて、自分が今日抱えていたモヤモヤが大赤斑の消滅というニュースで全部吹き飛んでしまった。
宇宙のパワーすごい。