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【本の展覧会】 製本好きのためのレビュー

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製本好きによる製本好きのための、本にまつわる展覧会情報
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#展覧会

【本の展覧会】 活字 — 近代日本を支えた小さな巨人たち展

みんながみんなとはいわないが、製本をする人の多くが活字あるいは活版印刷に興味をもっている。手製本をするなら本文は活版印刷でと考える人もいるし、表紙に意匠をほどこす方法の一つとして活版印刷を取り入れる人もいる。またルリユールでは、革装の表紙に箔押しで題字を入れる場合が多く、自ずと金属活字の世界に足を踏み入れることになる。工芸的なアプローチで本に迫ろうとしたとき、活版印刷と手製本は分かちがたい関係にある。 そんな活字および活版印刷にまつわる展覧会「活字 — 近代日本を支えた小さ

【本の展覧会】 美しい本 — 湯川書房の書物と版画展

湯川書房は、愛書家の憧れだ。「愛書」ということばを辞書で引くと「本が好きなこと。読むことにも集めることにもいう」とある。ならば「愛書家」とは「本を読むのが好きな人」あるいは「本を集めるのが好きな人」ということになる。わたしは「本をつくるのが好きな人」なので愛書家とはいえないのだが、それでも湯川書房は憧れの存在だ。 湯川書房とは、1969年に湯川成一さんがはじめた出版社で、意匠を凝らした限定本で知られる。辻邦生、小川国夫、加藤周一、谷崎潤一郎、村上春樹などの文学作品を、画家、