#63 ヨハネの手紙第一
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レジュメ
※「※」や「⇒」で書いてる記述は、このNoteを書いてる者のメモです。他はレジュメのコピペです。
1.はじめに
(1)1ヨハの位置づけ
①簡単な言葉で、深い霊的真理が教えられている。
*簡単に説明できないなら、本質を理解しているとは言えない。
②著作年代に関する議論
*エルサレム崩壊の前(60年代)に、エルサレムで書かれた。
*紀元1世紀の終わり頃(80~95年)に、書かれた。
(2)著者
①ヨハネの手紙第一、第二、第三は、伝統的に使徒ヨハネのものとされている。
②1ヨハには、著者名も宛名も記されていない。
*恐らく、アジヤの諸教会宛てに送られた回覧書簡であろう。
③2ヨハと3ヨハでは、「長老」という呼称が出て来る。
*「長老」としてその存在が知られていた人物は、使徒ヨハネだけである。
④ヨハネは、福音書、3つの書簡、黙示録を書くように聖霊によって導かれた。
*福音書
・救い(義認)が強調されている。
・過去の歴史が描かれている。
・キリストは私たちのために十字架上で死なれた。
*3つの書簡
・聖化が強調されている。
・信者の現在の体験が描かれている。
・キリストは私たちの内に住んでおられる。
*黙示録
・栄化が強調されている。
・信者の将来の希望が描かれている。
・キリストは私たちのために再臨される。
(3)執筆の背景と目的
①教会の中にグノーシス主義と呼ばれる異端的な教えが蔓延しつつあった。
*「イエスがキリストであることを否定する者」(2:22)
*「反キリスト」(2:22、4:3)
*「偽預言者」(4:1)
②グノーシス主義は、霊を善とし、肉や物質を悪と見なす霊肉二元論である。
*その論を推し進めていけば、イエスの受肉の否定につながる。
*悪である肉をどのように用いても、霊に対する影響はない。
*これは、放縦な生活を容認する教えとなる。
③グノーシス主義によく似た異端:キリスト仮現論(ドケティズム)
*主唱者の名を取ってケリントス主義とも呼ばれていた。
*イエスが洗礼を受けた時にキリストが鳩の形をして彼の上に下り、十
字架上の死の前にキリストは彼から去った。
*苦しんだのはイエスという人物であって、キリストは受難とは無関係。
④ヨハネは、異端的な教えに対して警告を発し、真の信仰とは何かを説明した。
⑤ヨハネは、教理面と実践面の両面からこの書簡を書いている。
⑥3つのテーマが繰り返されている(ヘブル的文学手法)。
*光vs.闇
*愛vs.憎しみ
*真理vs.偽りの教え
⑦ヨハネは、5つの目的をもってヨハネの手紙第一を書いている。
2.アウトライン
(1)交わりを持つようになるため(1:3)
(2)喜びが満ち溢れるため(1:4)
(3)罪を犯さないようになるため(2:1~2)
(4)偽りの教えに勝つため(2:26~27)
(5)永遠のいのちの確信を持つため(5:13)
ヨハネの手紙第一から教訓を学ぶ。
Ⅰ.交わりを持つようになるため(1:3)
1.3節
1Jn 1:3
私たちが見たこと、聞いたことを、あなたがたにも伝えます。あなたがたも私たちと交わりを持つようになるためです。私たちの交わりとは、御父また御子イエス・キリストとの交わりです。
(1)最初の2章のテーマは、「交わり」である。
*「交わり」は「コイノニア」である。
①神の子としての身分は変わらない。
②神との交わりは、日々変化する。
③神との交わりの変化は、信者同志の交わりにも影響を与える。
(2)「私たちが見たこと、聞いたことを、あなたがたにも伝えます」
①これは、グノーシス主義の否定である。
②「私たち」とは、使徒たちのことである。
③グノーシス主義者は、使徒たちとの交わりから離れて行った。
④使徒たちは、聖霊による新生を体験し、御父(みちち)と御子との交わりに入った。
⑤同じ信仰で使徒たちとの交わりに入る者は、御父と御子との交わりに入る。
⑥使徒たちの死後、その教えを守ることが「使徒たちとの交わりに入ること」。
Ⅱ.喜びが満ち溢れるため(1:4)
1.4節
1Jn 1:4 これらのことを書き送るのは、私たちの喜びが満ちあふれるためです。
(1)古い写本の中には「あなたがたの喜び」となっているものがある。
①「私たちの喜び」:読者が御父と御子との交わりの中に導かれるなら、それが使徒たちの喜びとなるという意味である。
②「あなたがたの喜び」:真の喜びは御父と御子との交わりの結果与えられるものだという意味である。
③この聖句は、どちらの意味も含んでいるように思える。
(2)イエスをメシアと信じる人には、この世で味わえない喜びが与えられる。
①その喜びは、御父と御子との交わりに参加することによって与えられる。
②ヨハ15:11
Joh 15:11
わたしの喜びがあなたがたのうちにあり、あなたがたが喜びで満ちあふれるようになるために、わたしはこれらのことをあなたがたに話しました。
(3)交わりを回復する方法
①1ヨハ1:7~9
1Jn 1:7
もし私たちが、神が光の中におられるように、光の中を歩んでいるなら、互いに交わりを持ち、御子イエスの血がすべての罪から私たちをきよめてくださいます。
1Jn 1:8 もし自分には罪がないと言うなら、私たちは自分自身を欺いており、私たちのうちに真理はありません。
1Jn 1:9 もし私たちが自分の罪を告白するなら、神は真実で正しい方ですから、その罪を赦し、私たちをすべての不義からきよめてくださいます。
Ⅲ.罪を犯さないようになるため(2:1~2)
1.1~2節
1Jn 2:1
私の子どもたち。私がこれらのことを書き送るのは、あなたがたが罪を犯さないようになるためです。しかし、もしだれかが罪を犯したなら、私たちには、御父の前でとりなしてくださる方、義なるイエス・キリストがおられます。
1Jn 2:2 この方こそ、私たちの罪のための、いや、私たちの罪だけでなく、世全体の罪のための宥めのささげ物です。
(1)「これらのことを書き送る」
①父なる神は光である。
②神との交わりを持つ人は、光の中を歩み他の信者との交わりを持つ。
③神との交わりを維持するためには、日々の罪の告白が必要である。
(2)「罪を犯さないようになるため」
①絶対に罪を犯さなくなるという意味ではない。
②習慣的な罪から解放されるということである。
③イエスを信じた時から、聖霊が私たちの心に宿ってくださる。
④聖霊は私たちの内面を変え、私たちを主の似姿に作り上げてくださる。
⑤しかし、だれでも、信者になってからも罪を犯す可能性を持っている。
⑥もし罪を犯した場合はどうなるのか。
*父なる神の前で弁護してくださる方がおられる。
*それゆえ、直ちにその罪を告白すればよい。
*その弁護士とは「義なるイエス・キリスト」である。
*キリストは律法の要求を満たし、罪人の身代わりとして死なれた。
*復活は、父なる神がその贖罪の死を受け入れたことを示している。
*今キリストは、私たちのために執りなしをしていてくださる。
(3)ロマ8:34~35
Rom 8:34
だれが、私たちを罪ありとするのですか。死んでくださった方、いや、よみがえられた方であるキリスト・イエスが、神の右の座に着き、しかも私たちのために、とりなしていてくださるのです。
Rom 8:35 だれが、私たちをキリストの愛から引き離すのですか。苦難ですか、苦悩ですか、迫害ですか、飢えですか、裸ですか、危険ですか、剣ですか。
Ⅳ.偽りの教えに勝つため(2:26~27)
1.26~27節
1Jn 2:26 私はあなたがたを惑わす者たちについて、以上のことを書いてきました。
1Jn 2:27
しかし、あなたがたのうちには、御子から受けた注ぎの油がとどまっているので、だれかに教えてもらう必要はありません。その注ぎの油が、すべてについてあなたがたに教えてくれます。それは真理であって偽りではありませんから、あなたがたは教えられたとおり、御子のうちにとどまりなさい。
(1)ヨハネは、狼から羊を守るために労している。
①使20:29
Act 20:29 私は知っています。私が去った後、狂暴な狼があなたがたの中に入り込んで来て、容赦なく群れを荒らし回ります。
②「以上のことを書いてきた」
*信者は、父なる神とキリストとの交わりを持っている。
*信者は、神の真理を知っている。
*それゆえ、新しい教えに振り回されてはいけない。
*初めから聞いたこと(福音のことば)を心に留めることが大切である。
*そうすれば、私たちは御子と御父のうちに留まるのである。
(2)ヨハネは、再度聖霊の働きについて書いている。
①「御子から受けた注ぎの油がとどまっている」
②「だれからも教えを受ける必要がありません」
*全く教えてもらう必要がないという意味ではない。
*偽教師から教えてもらう必要がないという意味。
*あるいは、信仰の基本について教えてもらう必要がないという意味。
③キリストの福音は、私たちに永遠のいのちを与えるものである。
④初めから聞いた福音のことばにとどまり続けようではないか。
Ⅴ.永遠のいのちの確信を持つため(5:13)
1.13節
1Jn 5:13
神の御子の名を信じているあなたがたに、これらのことを書いたのは、永遠のいのちを持っていることを、あなたがたに分からせるためです。
(1)ヨハネはその福音書でも、最後に執筆目的を記している。
①ヨハ20:31
Joh 20:31
これらのことが書かれたのは、イエスが神の子キリストであることを、あなたがたが信じるためであり、また信じて、イエスの名によっていのちを得るためである。
②ヨハネの福音書は、どうすれば永遠のいのちを得ることができるのかにつ
いて記している(イエスの御名によっていのちを得る)。
(2)1ヨハの執筆目的は、イエスを信じた者に永遠のいのちを確信させること。
①その方法は、神の命令を守ることである。
②それによって、私たちは神を知っているということが分かる。
③神の命令に対する従順こそ、キリストを知っており、キリストに属していることの明らかな証明である。
④もしキリストに従っていないなら、その人はキリストに属していないし、キリストを愛してもいない。
⑤「神を知っている」と言っているのは、グノーシス主義者たちである。
⑥彼らはそう主張しながら、神の命令を守っていない。
⑦神の命令を守っていることと、神を知っていることはイコールである。
⑧さらに、神を愛するとは、みことばを守ることである。これが真理である。
⑨律法的にならないで神の命令を守る方法は、一つしかない。
*愛で応答すること
*愛でみことばを実践すること
⑩みことばを守れば守るほど、神に対する愛と、神に関する知識が増えて来る。
⑪やがてその人は、キリストにある成人として立てるようになる。
⑫グノーシス主義者ではなく、神の命令を守る人こそ、真の「知識」を持つ
ようになる。
結論
(1)交わりを持つようになるため(1:3)
※信者同士の交わり、神との交わりを深める。
(2)喜びが満ち溢れるため(1:4)
※自分たちに喜びが満ち溢れ、使徒たちにとっても満ち溢れる。
(3)罪を犯さないようになるため(2:1~2)
※習慣的に罪を犯すことがなくなる。
(4)偽りの教えに勝つため(2:26~27)
※基本的にな教理は既に学んでいる。
(5)永遠のいのちの確信を持つため(5:13)
感想
やっぱり、この手紙がなくても、他でも言ってることが多い気がしました。それで、あんまりアタマに入ってこない感じがしたかもしれません。あんまり特徴が感じられないってことです。