男女差
生物学的に殆どの生物は雄と雌に分けられる。それは人間とて例外ではない。それらは同種の生き物であるにも関わらず、異種とも言える程の違いがある。特に高度な知能を有している人間のそれは、事のほか大きい。
その最たるものの一つに恋愛観、結婚観があると思う。どちらも高度な知能を持つ人間だからこそ持ち得る感性差であると思う。
男と女は恋愛や結婚に対して重要視する部分が違う。男は非常に単純でとにかく種を保存してくれる異性に惹かれる。もっと言えば「この人に自分の遺伝子を保存してもらいたいと思える異性に惹かれるという事。簡単に言えば「セックスをしたい」と思える異性に惹かれるのだ。もちろん全ての男性がそうであるわけではないが、そうで無い男性は極めて少ないであろう。しかしこの性質は男性という生物の特性上致し方ない事であって、これを悪とするのは違うし、もし悪とするなら人間の男の殆どは悪と言わざる得ないと思う。
どんな男性も恋愛対象としてその異性を見ている時は間違いなく、「セックスをしたい」という感情が思考の中にあると考えていいだろう。異性に向けられる優しい言葉や誠実さ、素敵なデートや高価なプレゼントも「セックスをする為の布石」に過ぎない。男性にとってセックスはゴールであり、そのゴールに向かって突き進んでいるだけなのだ。しかし、それは自然の摂理からすれば当然のことだと思う。何故なら生物には種を保存するという遺伝子が組み込まれていて、それを成す為には、異性と性的交わりを行う他に道はないのだから。そして男性は自分の遺伝子を保存したいという願望が女性に比べて遥かに高い。
女性はそうではない。まず「自分の安全を保障できるかどうか」で異性を見て判断する。その為に必要な能力を異性が保有しているか精査する。その精査は非常に厳密である。現代社会でお金持ちの男性がモテるのはこの為であると思う。何故なら、この現代社会で安全を担保する為に必須のものがお金だからだ。この世界で生きていくには非力過ぎる女性にとって、この戦略は必要なものである。何故なら女性がいなければ人間という種は保存できないし、女性もこの事は遺伝子レベルで理解しているからだと思う。
また女性は、より優秀な遺伝子を残したいという本能も強い。優秀な遺伝子を残した方が種が栄える可能性が高い事を本能的に知ってあるからだと思う。容姿端麗な男性がモテるのはその為であると思う。容姿端麗である事が優秀な遺伝子を持っているとは限らないが、人間は何かを判断する時、視覚情報からそれらを判断する割合は大きく、容姿端麗=優秀な遺伝子と認識する可能性は高い。それが容姿端麗な人がモテる理由であると思う。
女性は自分の選考基準をクリアした異性に対してはじめて肉体関係を許す。それは、これからの生活の安全が保証された安心感からであり、女性にとってセックスはスタートである。
今まで優しかった男性がセックスの後、急に塩対応になるのは、ゴールに到達した安心感からであり、塩対応だった女性がセックスの後、急に優しくなるのは、これからの生活の安全が保証された安心感からであると思う。
男女関係においては、男は本能的であり、女は理性的である。恋愛において男性の核にあるのは「セックスをしたい」という欲望であり、女性の核にあるのは「生活の安定」であり、この全く違う二つの意図が複雑に絡まり合っているからこそ恋愛は難しく、面白くい、情熱的でエキサイティングなものになるのだと思う。
世の中に誠実な男など居ない。そして女性もその実、誠実さなど求めてはいない。ただ、本能を隠す為に誠実さというマントを羽織り、優秀な男性を捕まえる為に誠実さを求めるフリをしているだけなのだ。
しかしそれはそれぞれが求めるものを手に入れる為の戦略であり、その為の健気な努力であり、故に滑稽で尊く、儚くて美しい。
終
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