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後編)メンタリストDaiGoに憧れかけてた限界店長の話

2021.8.16
詳細の加筆と、前編のまとめを作りました


ほとんど近況報告みたいな、前編はこちら

前編のまとめ:
・わたしが何故 DaiGo 的な成功に憧れたか
闇堕ちしそうになった理由(=近況報告)

・「じぶんらしさ」とかに対して
"価値" のつけられ方がエグいねって話

・だから思想=じぶんが何か決めるときの軸
っていうのが大事だよね

って説明が前編の主なとこです。

目次から近況報告を読み飛ばして、
直前だけ読むでもよさそう。


《思想 or 拡散の構図とおカネ》


この前の五輪開会式について、

「ゲームのことを大事にもしない政府から
軽薄に利用されて悔しくないんか!!!」

って
ゲームレビューサイトが抗議記事を載せた
こととと、前編の最後でした
イメージアップの道具としての多様性の話は
構図はほぼ同じなんだけど…


「発信の幅が広いっていうメリット」と
「誰もが知っている大きな場で扱われる栄誉」

はやっぱりクセモノで、
「わかりやすくすごいこと」の前には
思想なんて霞なんだな

って感じる反応ばかりだったことに、
あの時は気持ちが暗くなった。


「わかりやすさ」を重視するという意図で
多くの人に向けられたものが
重要な部分をわざと簡略化したり、
気づいてもらうために
過激なフレーズを付けたりは常套手段。

だけど、そういう
関心を持って“もらう”ための態度は「迎合的だ」
って内々で批判が起こることがある。

ドラァグとゲイと女装をごちゃまぜにした
「「「オカマ」」」という極端なキャラが
TVを中心に流布しちゃったのもそうだけど、
結局は新しいステレオタイプと闘わなきゃな
状況を生み出すだけだ*


ただ、迎合への批判は
関係者以外から理解されづらい構造がある。

そもそも、

細かい違いや微妙さ・曖昧さにこそ
含まれている重要なニュアンス


とかって悲しいかな、
関係者以外にはどうでもいい。


その真っただ中で必死になってきた人以外には

目に留まって・面白くて・数字が取れてて
=「メリット」が生まれなきゃ、
最初から無くたって平気なもの
なんだから。

* あれは「わかってもらうため」に生まれたかどうか、わたしには定かじゃないし、どちらかというとそうじゃなくてメディアが勝手に作り出したんだと解釈してきた。でも、そういう「「「オカマ」」」キャラとしてお茶の間に向かって体を張ってきた人たちが、近年になって「自然なじぶん」で生きる今の姿も含めて発信してくれていることまで見てはじめて、意味として完結したようにも思う。


最近、フェムテックという言葉を旗印に
百貨店や大手メディアにもてはやされている
「女性の“性”」にまつわる課題は、
わたしが大学生になりたての
10年前には
既にいろんな人がたくさんの活動を通して
丁寧に話し、地道に訴えていた


それでも、いまいち
大きな関心を持たれなかったことだ。


もちろん、その更に何十年も前から
フェミニズムの文脈で多くの人が怒り、抗議し、
対話し、歴史と変革の実績を作ってきた


その基盤があったからこそ、
今日こうして花開いたと言えば
そうなのかもしれないけど。

「性」って
無関係な人は居ないのに、
無関心を装って蓋しておけるタブー領域


にされがちだから、
公に語って広めること・取り扱うことに対して
大きい場であるほど抵抗されやすい。

それこそが必要なことなのに、
二の足を踏まれ続ける難しさを感じていた。


それが、今じゃ「じぶんらしさ」っていう
スタイルとしてSNSや商業の場で取り扱われて、
ちゃんと「日常」の枠に収まった。


つまるところ、
「解決されるべき問題」

怒りとか抗議とかを敬遠したい・
動くエネルギーは無いけど困ってきた人たち


おカネ
と、うまいこと結びつきはじめた
ってことなんだと思う。


「課題の解決に多くの人が巻き込めるのなら、
それがどんな手段であれ
多少なり雑な話し方であれ

世界を変えるスピードアップに貢献している
良いもんでしょ」

ってのも考え方のひとつだ。


実際、以前よりきっと多くの人が
必要な情報に触れやすくなっただろうし
それが心から嬉しい。

情報や変化が必要な人にとって
それらが行き渡るまでの背景は関係ないし、
思いめぐらすのは後からでも遅くないもの。

変化のスピードが増して、
救われる場面が増えていくのは、
間違いなく社会全体の利益
だし。



…なのに。
「性」の領域が今になって発展した理由が


「おカネになりそうだと“認められたから”」


に見えて、なんだか手放しで喜べないでいる。
どういう意味かって言うと、

「おカネという価値として」認められなかったから
この分野は仕方ないよね


ってのが生まれる超絶ディストピアの側面も
生まれてきちゃうことを、是としたくない。


おカネに訴えかける手段を取らなかったから
市場に売り込むのがヘタクソだったから
だから、世の中から価値を見出されないんだよ



っていう流れは、わたしが
風俗業界のアウトローとして
「対話型の風俗」をやると決めたときから
常に否定しようと抗ってきた観点
であると同時に、思うように稼げない
コロナ禍でじぶんに突き立ててきた刃だ



人の感情の曖昧さ、迷いや苦しみが、
対話して共有することでちょっと前に進む。
あの瞬間はお金にも何にも代えがたい
尊く、必要な時間だと信じている。


でも「今の世の価値」基準で判断するなら


・理解されづらい(→広まっていかない)
・人が来ない(→求められてない)
・稼げない(→マーケ能力が無い)
=世の中にフィットしてない

つまり必要ないのと同じだ。


ただまぁ、
今の社会じゃそういうこと考えてるじぶんが
「気難しくて卑屈で承認されたいだけのヤツ」
としか認識されないのも知っていて、
ちょっとやり場が無くて

悩むうちにわたしは
「流行りの“あちら側”」に憧れた。

より多くの人を巻き込むために。

「思想は多少犠牲にしても手段を選ばず」
「速度と数字を最重要視することで、
効率的に目的を達成する姿勢」…


《メンタリストDaiGoは偶然サイコパスなの?》



実はちょうど数か月前から、
メンタリストDaiGo の動画や喋りを見ては
「ふむ、こういうのに人がついてくるのか」
と考えていたところだった。


早口で断定的に話すこと
どうせ参照されないであろう
本や著者の名前を挙げること
話すときのルーティンを作ること
わかりやすい憧れの要素を散りばめること
なにより今食いつかれそうな話題の選定…


何を狙っているのかを分析していたからか、
不思議と話の内容に興味は惹かれなかった
いや、性感帯開発を
コミュニケーション取りながらやる方法だけは
めっちゃ熱心に見てたけど。

見るほど、内容は
「ちょっと考えたり学んだら、まぁそりゃそうだ」
と感じるものが多いことに気づいていったし
裏を返せば
「内容より形式で人は釣れてしまうのか」
と虚しくなった。


いや、そりゃさ、
それらを実践したところで
あそこまで稼ぎ出す人は少ないだろうし、
裏にはもっと何か努力と才があるのだと思うよ。

とはいえ
わたしももう、コロナで背に腹は代えられぬ。
手法を疑問視するよりまずは挑戦と思うべき…
ちょうど抱えているメディア案件があるから
試しにそこで実践してみようかなぁ…
わたしも求められる努力しなければ……
とさえ考えていた矢先の炎上だった。


あの種類の冷酷さは
人権意識がどうとか、
知識・勉強不足とかの根本的な話だけでは
済まない
と考えている。

というかあれだけ本を読んで(いるとして)
他者に理路整然と語って聞かせる人に
その観点が欠けていると思う方が不自然じゃない?


「超えてはいけない一線を知らなかった」
のではなく、どちらかというと
「そういう感覚がどこかで削がれてしまった」
という方がしっくりくる。


人がじぶんの意図したように転がる
ことに気づき
それがおカネになると知ったとき、
最初こそ達成感と充実を得るのかもしれない。


「じぶんをコンテンツ化して生みだされた数字」

って、前編の最初で言ったように
SNSとかのカジュアルな形でも
今じゃ誰もが追求し始めたことで、
それがいかに難しく・
難しいからこそ中毒性があるか
ってのは、わりと想像つくんじゃないかな。

余談だけど、この辺の話はぜひ
オッドタクシーっていうアニメを見てほしい。


思うような成功を繰り返すうちに転じて、

「思った通りになるバカばっかじゃん」

って思いを抱えたときに、
他人への冷酷さが完成するような気がする。
「わかりやすく鋭い語り」を求められ続けて
応えていった結果蝕まれていたのが
おカネに換えられない人間としての尊厳
という観点だったんじゃないか

と考えている。



ここからは完全な邪推だけど、
洞察力の鋭さと
「人間味」を排したコンテンツで得た成功って、
きっとどんな人間のことも
だいたい理解したような気持ちにさせる


迷い、不安、弱ささえ“科学的”にぶった切る、
「人間味」が無い語りを
とことん有難がる人を相手に
ブランディングして、商売してきたんだもの。

その裏にある事情とか、心理的な揺らぎとか
そんなありふれた "つまらないもの" は
どこからも求められてないんだもの。

障害者や難病者を扱っては極端に涙を誘う
構成にされている番組(感動ポルノ)
とかも昔からあるけど、
メンタリストの提供してきた話し方は、
それと同質の刺激なんじゃないか。

そんな「超人的な強さ」を
ずっと振り撒き続ける環境で、
それを求めて担ぎ上げられてるのに
じぶんの発言で誰が傷つくかもとか、
どこからが言ったらダメなのかとかが、
わからなくならないって、さぁ。

わたしだったら絶対大丈夫です!
とはちょっと言い切れないし、自信が無い。

少なくとも
どこかに「良心」みたいな支えがいないと
人間が思うようにはならない繊細さを持つって
あっさり見失ってしまうんじゃないか。


なんなら支えてくれるはずの周囲さえも

「こいつも思った通りに転がるバカなのかな」

ってぼんやり疑いはじめるような気がする。

え、めちゃくちゃ怖いし、孤独じゃん
ぜんぶ想像だけど。

たぶん、批判がさらに巻き起こっている
謝罪配信についても身も蓋も無く言っちゃうと

「こうやっておけば
どうせ擁護してくれるバカが増えるし、
突きつけられた人間の醜い
”””真理”””を認められないバカが
普段から語りもしないのに
ご意見ツイートをするし、
人権意識っていう綺麗ごとだけで
解決策を提示しないバカが
真っ向から正論で叩いてくる」


みたいな内心の構え方で
応じているんじゃないかと思っている*。

* 彼が実際に反省していたらまったく申し訳なさしかないんだけど、手法を見るにちょっと建前感がすごすぎて信じ切れないところがある(この記事冒頭の、思想が無いイメージアップ道具にされた話にてるってのに近い感覚)


もちろん、
こういう想像をしてしまうあたり、
わたし自身の偏りが表れている
とも思うし、
そもそも
彼とわたしを隔てているものは紙一重で
気をつけないと「あちら側」の精神性に
あっさり飲み込まれるという証明にもなっている。
頭でっかちなまま卑屈になったじぶん、
めちゃくちゃ怖い。



《サイコパスの一線を越えさせなかった思想》



そんな感じで、
「あちら側」への憧れはあっさり冷め、
危機感が残った。

今回ホームレスに向けられた
「“価値”を生みだせない人間は、いなくても同じ」
って発言は先にも書いたように
世の中の求め方=価値基準が
わたしに突きつけてきたこと
でもある。

そしてそれは、
フォロー数やチャンネル登録者数や
いいね数などのおカネ以外であっても

数字を求めて
「何ものか」になろうと目指す全ての人が
突きつけられている価値基準
でもある気がして。


おカネも人も稼ぎ出して “報われた” はずの人から
今回「歪み」として目の前に提出されて、
”報われた”っぽい立場の人でも、
その価値観に脅かされてしまうことを知った。

やっぱり、
「数字(≒おカネ)にならないものは無価値」
なんて、とんだディストピアだ。

人間にはもっと
数字を稼ぎ出すってこと以外にも
繊細で説明つかないような微妙さがある。
おカネにしづらいものにも、
値段以外・値段以上の価値があったりする。



今回の件でわたしは、
今のじぶんの状態をきっちり確認した。
思ったより弱ってたせいで、
人を人として扱わないような、
じぶんも扱われなくなるようなルートへ
傾倒すべきだと、じぶんを納得させようとしてた。

でも、いざ「思想<<<成果」って書かれた
パンドラの箱を持ち上げて開けようとしたら、
実際はちゃんと
思想重視のじぶんがピンピンしてた。


「数字を追わないと稼げない世の中じゃ、
思想を大事にするわたしはもう死んだわ。」



なんてトガっていたたのに、

「ヨッシャ!んなら思想を持ったまま
人を巻き込む語り方して
カネ稼げばいいんだろオラ、やったらんかい!」



みたいな欲張りさで生き残っていた。
…でもたぶんそんな器用じゃないぞ、おまえ。

そしてこういう欲張りな発想の人が、
最近のメディア・企業内にも少しずつ増えていて、
やっと形になり始めているんだとも、
ここまで書きながら思う。


思想は守り抜く、その為には数字=成果も出す。
それはめちゃくちゃシビアな世界で、
少なくともわたしは生活困窮している時点で
叶えられる実力を持っていないってことだ。

個人でできることの小ささ・無力さを
コロナ禍で嫌というほど味わって、
今にも折れそうなわたしには、
企業内で立ち回れるあなた方が眩しい希望の星です。
というか、勝手にそう願って拝んでいるだけだけど。


《今後どうするのか》

そんな意気込んだって、
コロナはまだ終息しないし、
今月の支払いはギリギリだし、
申請したお金は入らないしで
明日から何か変わるわけじゃない。

でもなんか、いい意味で諦めがついて
とりあえず迷いは吹っ切れそうだ。


人間は曖昧で繊細だから素敵なんだ
っていう思想重視のまま、

どうやって広く語りかけるのか
どうしたらアンサーをあなたから貰えるのか
必要な情報があなたに届くようにできるのか

数字を気にするよりも先に
考えるべきことがある。

じぶんの領分を理解して、
やれることをやっていく。
いい加減、我慢の限界が来ているけど、
それをこうして書き散らかすのも必要だ。

でもなにはともあれ
とりあえず横に置き続けた原稿を
書くことから始めなきゃいけないのだけは
間違いない…!


2021.8.16 追記
よかったら、
刺さった部分をスクショなどして
ツイートなどしてくれると嬉しいです。
#限界店長の話  とかでどうぞ。

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