比べず、ありのままを愛すること
馬というのはご縁で、なぜか私の馬は、最も人気のないサラブレッド。
ヨーロッパには、まるで恋愛の出会いアプリ見たいな感じの馬の売り買いのアプリがあって、そこには
馬の写真
身長
年齢
種類
性格やセールスポイント
住んでいる場所
などが記載されていて、自分にぴったり合う馬を探すのにはもってこい。
オランダには50プラスの恋愛アプリがあって、再婚したい人に人気なのですが、私も彼女たちと同じように毎日、
黒い、10歳くらいの160CMでメス馬、値段は100万円以下で、我が家から50キロ以内といった条件で探していました。
馬の購入は、6ヶ月間くらい馬を品定めしてからというのが一般的なので、私も購入したい6ヶ月前を目安に探し始めました。
乗り心地や性格もそうなのだけれど、性格が難しい、オーナーがめんどくさそう。加えて、馬が私をオーナーとして望んでいないのではないかというケースもあり、お金があるからなんでもいいわけではないのだなと、相思相愛って馬でも大切なのだと思いました。
北から南まで、かなりの距離を運転し、いろいろな馬に会いに行ってきましたが、そんなわけでこれっと思える馬には簡単に出会えずにいました。
そんな中、私のお馬さんと思える馬に出会ったのでした。購入確定前獣医さんにチェックしてもらったところ右の脚に問題があることが判明。私は馬がとても気に良いっていたので、値段を安くしてもらおうかと思ったところ、「馬はいくらでもいるのだから絶対にやめておきなさい」と言われ涙ながらにその馬を諦めたのでした。
アキラはそんな直後に出会いました。
会った時まだ2歳で、ブローカーの女性に「電話の声でね、性格がキツくないからこういう優しい子がぴったりと思ったのよ」と言われ、お目当ての馬に乗ることなく、また偶然、家族全員が集まれる日で、みんなが優しそうな良い馬じゃん!という勢いで購入に至ったわけです。
さて、馬のオーナーになったのはめでたいのですが、乗馬友達にはほぼ全員に反対されました。こんな若い、しかもサラブレッドなんて使い物にならないし、苦労するだけよ。と
この時は、この言葉が本当とは思っても見なくて。
半年間ひたすらグランドトレーニング。パレーリーの7ゲームなどかなり頑張りました。
購入して一年半、グランプリホースを何頭も調教してきたドレサージュのトレーニング厩舎へ引っ越すことになりました。基本的な良いテクニックを私も学びたいと思ったのがきっかけ。
さすが名門、所属している人は皆とても感じが良かったのだけれど、良い馬ばかり。オーナーのジャコビんさんも完璧なKWPNを優雅に毎日乗りこなされていました。
アキちゃんがサラブレッドで、美しい動きができないのは分かっていたので、トレーニングも基本的なものがメイン。
ヤコビンさんのレッスンは超人気なのですが、週2回の個人レッスンを受けて、思い通りに動いてくれる良い子になって行ったのです。
で、3ヶ月目に、突然、乗れないくらい危険な馬になってしまいました。
病院に行って、レントゲン、エコーの検査をしても悪いところは見当たらず、完全に精神的に良くない状態だったのが明白に。
パレーリーのナチュラルホースマンシップの集中講座を受けた時に知り合った女性が、1からやり直せばいいと紹介くださった厩舎へ引っ越しました。
そこで気づいたのが、私は無意識にアキちゃんを優雅に動く他の馬たちと比べてコンプレックスに感じていたのだなということでした。
どんなに頑張っても、サラブレッドの体はドレサージュには向いておらず、優雅な動きは無理。お肌も精神もとても繊細。
私も良い馬だったらもっと難易度の高い練習ができるのにと思ったことは確かにあったと思う。
馬がダメになってしまうのはこういうオーナーの気持ちが原因だなと初めて気がつきました。
その日から、自馬は比べず、そのままの彼を愛そうと決めたわけです。
当たり前のことですが、自馬が危険な馬になり獣医さんにも馬を買い替えたほうがいいと言われたりして4ヶ月間危険で乗れなかったので、この気づきは本当に心の奥深くまで突き刺さった思い出があります。
馬にはいつも大切なことを教えてもらっています。