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控えめに喜ぶ性格

「お昼のお弁当のフタを開けて、思いついたことを書いたら、案外、面白いかもしれない」

翼の王国で掲載され、個人的にも大好きな阿部ご夫婦の『おべんとうの時間』のオマージュというには恥ずかしいレベルですが、『サラメシ』もそうですが、飾らない食事に関わる物語が好き。
以前、お気に入りのショットバーのマスター(先輩)に頼まれて、毎月、メニューのオススメのカクテルの横にカクテルの名前に因んだ短い物語を書いていました。
気軽な感じで個人的に楽しかった。
写真編集を含めて思いつきだけですが、気楽な雰囲気で書いて行こうと思います。続けば、マガジンにまとめるとお弁当が並んで楽しそうだ☆

今回は、コロッケの思い出です。

コロッケが入っていると嬉しい

友人の誕生日などにサプライズを仕掛けるのは楽しいよね。
渡す物やタイミング、喜ぶ顔を想像する時から楽しいのですが、どうやら、僕はプレゼントをもらってもあまり喜んでいないらしい。とにかく反応が薄いのだそう。

でも、これにはちゃんとした理由があって、母の影響が大きいんです。

父が船乗り。
父が航海で不在の時の母は、子供の喜ぶことを何でもしてやりたい母親と厳しく躾をする父親の両方の役割をこなしていました。とにかく、怒らせると恐かったけど、本当に明るくさっぱりとした人。この向日葵のような人に僕達兄弟は数々の騒動に巻き込まれました。

その一つが『カレーコロッケ騒動』。
地元の中学は給食がないので、お弁当を持参するのですが、入学して数ヶ月が過ぎた頃、部活を終えて帰宅した僕に母が聞きました。

母:『今日のお弁当はどうだった?』
僕:『美味かったなあ。特にカレーコロッケは最高だったね。』

それを聞いた近所のスーパーへパートに出ていた母は、業務用の冷凍カレーコロッケを定期的に買い込み、僕が高校を卒業するまでの6年間、それに付き合うことになりました。
弟と言えば、そんな兄の姿を見て、聞かれても『まあまあなんじゃない?』など、結構、シビアに好き嫌いの感想を言っていましたのは、さすがだなぁって、いつも思っていました(笑)

もっとも嬉しそうな母の顔を見ると何も言えず、それ以降、母に何か聞かれても、『まあまあかな』と控えめに答えるように心がけ、おかげで、いつのまにか何でも控えめに喜ぶ性格になっていました。
実は母も同じ性格の祖母から育てられたそうで、サプライズ好きない僕は案外、それを引き継いでいるのかもしれませんね。

北原白秋は『薔薇ノ木ニ薔薇ノ花咲く…』と書きましたが、世の中には当たり前だけど不思議なことってあります。
こうした親子の絆というのも不思議なものだと思っています。

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