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患者のプロ
今日のおかずは「かぼちゃ」
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潰瘍性大腸炎で2ヶ月間入院した際、最初の2週間は絶飲絶食でした。
その後、胸部中心静脈(鎖骨裏側)に処置した高カロリー点滴で過ごしました。注射が苦手な僕には、両手から点滴針がなくなったのは助かりましたが、口から何も入れないのに、お腹も空かない、喉も渇かないのが不思議でした。
唯一、口から入れられるのは、食事時間に飲める水とクスリだけ。
お腹が空かないのですから、それまで病室のテレビで見ているとたまらない気分だったグルメ番組も食事時間に同室の患者さんが食べている気配も気にならなくなったのには、驚きました。
食事は重湯からスタート。
最終的には退院する頃に、ようやく全粥までランクアップすることができました。その間に出てきた副食に「カボチャの煮物」がよく出ていきました。
もともとカボチャ自体は嫌いではなかったのですが、定番メニューでしたので、みかんを食べ過ぎるのと同じように、手が黄色くなりました。
お粥の味というと、通っぽいけど、総合病院で一度に大量に作るからなのか、お粥自体は美味しかったのを今でもよく覚えています。カボチャをお粥にのっけて食べると、その煮汁のかかった部分のお粥がまた美味しかった。
煙草は吸っていませんが、絶飲絶食後、味覚がリセットされたのかと思うくらいでした。もっとも感覚のみですので、何も裏付けはありません…。
今は、寛解中ですし、食事による再燃はなさそうですので、特に食事制限は設けていません。少しですけど、お酒も飲む不良患者でもありますが、それでも、カボチャの煮汁が出てくると、しんどかった入院生活と絶食後、最初に口にした「重湯」や徐々にランクアップしていった「お粥」を思い出します。
入院生活はもう体験したくはないけれど、入院中に出会った担当医や看護師さん、いつも元気づけに来てくれた薬剤師さんや栄養士さん、入退院で入れ変わりも多かったけど、個性豊かな同室の患者さんたち。みんなの事を思い出します。
そして、口から食べることの大切さを実感したのも入院生活のおかげです。
今でも連絡を取り合う看護師さん曰く「人気があった患者」だったんだそう。「医療のプロ」に分からない事はちゃんと質問するけど、納得すれば言うことを聞く「患者のプロ」だったと思います。