サー・ジム・ラトクリフのインタビュー(2024/06/21ブルームバーグ)
ジム・ラトクリフ氏が語るマンチェスター・ユナイテッドの未来とイギリスの現状
マンチェスター・ユナイテッドの文化改革
ジム・ラトクリフ氏は、マンチェスター・ユナイテッドの文化を変えるための取り組みについて語りました。過去10年間の困難なシーズンを経て、クラブの環境を改善する必要があると感じており、これまでの多くのマネージャー交代が成功しなかったのは、クラブの環境が生産的でなかったためだと指摘しています。ラトクリフ氏は、新しい最高経営責任者(CEO)、スポーツディレクター、技術ディレクターを迎え入れることで、クラブに新しい風を吹き込むことを目指しています。
新しいマネジメントの採用と課題
新しいマネジメントチームの採用に関して、ラトクリフ氏はサウサンプトンやニューカッスル・ユナイテッドとの交渉が難航していることを明かしました。また、ガーデニングリーブ(休職期間)の問題が、変革を迅速に進める上での障害となっていると述べています。
マンチェスター・ユナイテッドの課題と改善点
ラトクリフ氏は、マンチェスター・ユナイテッドが過去10年間に多くの誤った決定を下してきたと指摘し、コーチや選手の選定、施設の管理方法など、多くの面で改善の余地があると述べています。クラブがプレミアリーグやチャンピオンズリーグで競争力を持つためには、全体的な改善が必要だと強調しています。
レアル・マドリードとの比較
ラトクリフ氏は、レアル・マドリードとマンチェスター・ユナイテッドの経営を比較し、レアル・マドリードの方が優れた経営を行っていると述べています。レアル・マドリードは、少ない支出で高価値の選手を揃え、世界最高のスタジアムを建設することに成功しています。一方、マンチェスター・ユナイテッドは多額の支出をしているにもかかわらず、同様の成果を上げることができていません。
FFP(ファイナンシャル・フェアプレー)ルールとプレミアリーグの将来
ラトクリフ氏は、FFPルールが複雑であり、クラブの経営に影響を与えていると述べています。また、プレミアリーグが過度な規制や法的な問題に巻き込まれることを懸念しています。彼は、プレミアリーグが世界で最も成功したサッカーリーグであり、その地位を維持するために慎重な対応が必要だと強調しています。
ニースとマンチェスター・ユナイテッドの関係
ラトクリフ氏は、ニースとマンチェスター・ユナイテッドの関係についても言及しました。若手選手をニースで育成し、将来的にマンチェスター・ユナイテッドに移籍させることができると述べています。ブレグジットの影響で若手選手の契約が難しくなっている中、ニースがその役割を果たすことができると考えています。
イギリスの政治と経済
ラトクリフ氏は、イギリスの政治についても言及し、保守党が長期間政権を握ってきたが、最近の首相たちは成功していないと指摘しています。彼は、イギリスの人々が変化を求めていると感じており、労働党のキア・スターマー氏が非常に賢明なリーダーであると評価しています。
また、イギリスの経済についても触れ、政府がGDPの半分を占める1兆ポンドをどのように使うかが重要であると述べています。政府が効率的にお金を使っていないと批判し、医療、教育、インフラなどの分野での改善が必要だと強調しています。
マンチェスターの再開発
ラトクリフ氏は、マンチェスター南部の再開発プロジェクトについても語り、産業革命が始まったこの地域の歴史的意義を強調しました。再開発プロジェクトは、公的資金、民間資金、そして彼自身の資金を組み合わせて行われる予定です。
サッカーとクラブワールドカップ
サッカーの過密日程についても懸念を示し、選手たちが多くの試合をこなすことで疲労し、怪我のリスクが高まると指摘しています。また、クラブワールドカップについても、選手たちにとって負担が大きいと述べています。
化学産業とエネルギー
ラトクリフ氏は、イギリスの化学産業がほとんど消滅していると述べ、政府がこの産業の重要性を認識していないと批判しました。エネルギーコストの高さや炭素税が産業の競争力を低下させていると指摘し、アメリカや中東が有利な立場にあると述べています。
ブレグジットとイギリス経済
ブレグジットの運営方法に失望していると述べ、イギリス経済の問題は移民と経済政策にあると指摘しました。政府が効率的にお金を使うことが重要だと強調しています。
インフラの課題
英国のインフラが老朽化し、人口増加に対応できていないことを指摘し、特に下水道や水道システムの管理が不十分であると述べました。
移民政策の問題
英国の移民政策にも批判的で、年間50万人の移民を受け入れることが国のインフラや公共サービスに大きな負担をかけるとして、より厳しい移民政策が必要であると主張しました。
経済の展望
最後に、労働党のサー・キア・スターマーが首相になった場合、経済問題に対処するために不人気な政策をとらざるを得ないだろうと予測しました。
ジム・ラトクリフ氏の見解は、マンチェスター・ユナイテッドの未来だけでなく、イギリス全体の政治や経済の現状についても重要な示唆を与えています。彼の取り組みがどのように実を結ぶのか、今後の動向に注目が集まります。
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