WSJによるPerplexity裁判:訴状を読む〜従来の検索エンジンとの違い編~
Perplexityのビジネスモデルは、従来の検索エンジンとはいくつかの重要な点で異なると、Perplexityに対する訴状で述べられています。
訴状では「ウォール・ストリート・ジャーナル」や「WSJ」、「ニューヨーク・ポスト」の商標が広く知られ、法的に保護されていることが強調されており、高品質なジャーナリズムと結びつくことで市場において大きな価値を持つとされています。
Perplexityのアンサーエンジン vs 従来の検索エンジンの結果
● 従来の検索エンジン(例:Google)は、ウェブコンテンツのインデックスを使用して検索者を関連するウェブサイトに誘導する発見のツールとして機能します。
● 一方、Perplexityはプラットフォーム内で直接回答を提供することを目的としており、ユーザーに対して「元のリンクをスキップする」ことを奨励しています。これは以下の理由により可能です:
○ RAG(Retrieval-Augmented Generation)インデックス:ニュース記事を含む大量のウェブコンテンツのコピーを保持しています。
○ 大規模言語モデル(LLM):ユーザーのクエリに応じて、RAGインデックスの内容を利用し、人間らしいテキストを生成する人工知能の一種です。
収益の生成
● 従来の検索エンジンは、主に検索結果の横に表示される広告を通じて収益を得ています。ユーザーが出版社のウェブサイトへのリンクをクリックすることで、出版社側の広告収入にも貢献することがあります。
● Perplexityのモデルは、コンテンツを直接提示し、元のウェブサイトへのクリックを抑制することで、この収益の流れを妨げています。Perplexityは「パブリッシャープログラム」を提案し、一部の広告収益を共有することを主張していますが、訴状ではこれは著作権で保護された資料を侵害した後にライセンス条件を一方的に決定しようとする試みであるとされています。
コンテンツ作成者への影響
● 訴状は、Perplexityのモデルがコンテンツ作成者、特にニュース出版者に対して直接的に害を与えていると主張しています:
○ 収益機会の奪取:Perplexityの出力は、しばしば出版社の著作権で保護されたコンテンツを元にしており、それが代替物として機能することで、読者や潜在的な収益を奪います。
○ ライセンス市場の損害:出版社はAI企業とコンテンツの正当な使用に関するライセンス契約を結んでいますが、Perplexityの無許可のコピー行為はこの収益源を損なっています。
○ 「幻覚」によるブランドダメージの可能性:PerplexityのLLMは、誤った情報(「幻覚」)を生成する可能性があり、時にはThe Wall Street JournalやNew York Postに誤って帰属されることもあり、正確さで知られるこれらの出版物の評判を損なう可能性があります。
主な違いのまとめ
● 機能性:Perplexityはコピーしたコンテンツを使用して直接「回答」を提供し、従来の検索エンジンはユーザーを関連する情報源に誘導します。
● 収益:Perplexityは、ユーザーを自社のプラットフォームに留めて収益を得ようとしており、元のコンテンツ作成者からの収益を奪う可能性があります。
● 影響:Perplexityのモデルは、著作権侵害、出版社の収益の損失、虚偽の帰属によるブランドダメージの可能性について懸念を引き起こしています。
訴状では、Perplexityが著作権で保護された資料を無許可でコピーし、出版社のウェブサイトへの訪問を置き換えようとする行為は、従来の検索エンジンの慣行とは根本的に異なり、オンラインコンテンツ作成の持続可能性に対する重大な脅威であると主張されています。