和倉〜金沢交通機関停止、金沢までバスで送る和倉温泉の「おもてなし」
避難所から宿に戻り、部屋の荷物を取りに行き、チェックアウトを済ませたら、和倉温泉をでて金沢駅まで出れるかどうかが問題だった。
和倉温泉から金沢駅までの電車は止まっている。
宿の人に相談すると、宿が金沢駅までバスを出す可能性があるが、確約はできないとのことだった。
通常の高速道路が塞がっており、下の道を通るしかないが、道路の陥没状況などが不明だったからだ。
自家用車で来た宿泊客が続々と帰る中、案内されたバスの中で両親と共に情報のアップデートを待った。
地震の影響で一台あたり10リットルのガソリン制限もかかる中、宿の運転手と思われる男性が5人ほど集まり、どうやって宿泊客を金沢駅まで送り届けるか、話し合う姿が見えた。
その後、3時間ほど待っただろうか、11時までにはバスは出発し、3時間後には金沢駅に到着予定とのことだった。
金沢駅から東京方面行きの新幹線は運休だったが、ともかく一歩前進できたことに心底ホッとした。
同時に地震発生後から何も食べておらず、水しか飲んでいない中、安堵からやっと口に食べ物を入れられる、と思った。
バスが出発するまでの間、避難所でもらった機能性ゼリー飲料やお菓子類を口に入れ、宿のスタッフが配る温かい昆布茶を飲み、遠足気分を味わう自分がいた。
予定通りバスが出発し、全員が一斉に頭を下げる宿のスタッフが窓越しに見えた。
車窓の外に広がる空は雲ひとつない快晴で、地球が浄化された後のスッキリ爽快なエネルギーを感じた。