推しができた男の話

はじめに

今回この文は、推しである夏城陽詩さんとの出会いを文章化したものです。
「note使ってみたい」「そういえばげろちゃんとの出会いってどうだっけ」「全然訓練集中できん」という感情から衝動で生み出された駄文です。
何にも考えたくないときとかに見たら面白いかもですね。

「れくま」とは

体験談を話すにあたって、読んでいる人の気を悪くするくらいの事実は省いて軽く自己紹介を。
現在26歳、札幌出身の酒好きメンタル弱弱人間である。
中高は男子校の寮に入っており、まさに少年刑務所のような情報統制を受けながら勉強もせず大学に進学。
Fラン大学卒業後コロナ渦で就職に失敗し、なんとか3年前に上京してコールセンターやカラオケ店のアルバイトやら正社員を少しやったりするも失敗し1年続かずすべて退職。
大学在学中から今にかけて両親と祖父を亡くし、残った祖母との相性も悪くほぼ絶縁状態の為、仲のいい友人に生かされているような人生を送っていた。ありがとう友人達。
現在は安定しないながらも、推し活を楽しみながら求職活動中。

推しとの出会い

出会いは本当に偶然だった。

私は正直中途半端な人間だ。今までファンになった人がいたわけでもなく、アニメや漫画やゲーム、映画やドラマも特定の物が好きということもなくオタクとも言えないような「薄い」陰キャだと感じている。

ある日、友人から「フェチフェス」というものがあるぞと聞いた。
何事にも興味が薄い自分だが、動物園(男子校の寮)に入っていたせいか性欲には忠実な猿であるため「性癖を広げる場」というものにとても興味を持った。

そして何より「推し」を作ってみたかったのだ。

前述のとおり今まで特定の人に対してファン感情を持ったことがなく、強いて言えば周りに合わせるためにμ'sの園田海未ちゃんを好きと言っていたくらいだ。(本気で好きな人には失礼で申し訳ない…)
もっと言うなら恋愛経験も人生で少なく、彼女もいたことがない。
バキバキ素人童貞だ。もちろん性格や見た目からモテないというのは大いにあるが、そもそもきっかけとして「人を好きになる」ということが少なかったのだ。
話がそれてしまったが、要約すると「LikeもLoveも感情が薄かったから、意識的に人を好きになろう」と思ったのだ。

以上より私は衝動的にフェチフェスに行くことにした。元々は友人と行く予定だったのだが都合が合わずソロ参戦となった。
思えばこれがすべての始まりだったのかもしれない。友人がいると気持ち的に恥ずかしくてできないことも一人ならできることがあり、今回はまさにそれがきっかけに繋がったと言える。

はじめてのフェチフェス

そして当日、下調べも何もしないままフェチフェスへ向かった。
都営浅草線に乗り、会場である綿商会館に着いてから気づいたことがあった。

「あ、これコミケみたいな即売会なんだ」

そう、性への衝動で動いていたためそもそも「フェチフェス」がなにかもわかっていなかったのである。
興味はあったが正直ビビっていてコミケにも行ったことがなかったため、奇しくも即売会デビューとなった。

予想外ではあったが、ある程度即売会の知識はあったので今回の目標を定めることにした。

  • 作品を買う

  • どなたかと一緒にチェキ撮る

多く決めすぎても純粋に楽しめなくなってしまうので、以上二点だけは確実にしようと決めて入場した。

フェチフェス自体の感想としては簡潔にはなってしまうが、かなり新鮮で面白かった!
性癖とは隠すものものであるという固定観念があったため、人と共有しながら新たに癖を発掘していけるというのは新たな感覚でとても楽しかった。
その後推し活として何度も足を運ぶこととなるが、行くたびに色んな発見があるので興味がある方はぜひ行ってみてほしい。

ただその時は初参戦だったこともあり、周りを見ながら肩を縮こませて歩くので精一杯だった。一通りブースを見終わった後今回の目的を思い出し、まず作品を買うことにした。

突然の性癖暴露にはなるが、私は脚フェチである。
脚の中でも部位は固定されていないが脚全体がとにかくグッとくる。

その癖に刺さった、足の裏フェチの作品を出しているサークルがあったため勇気を出して購入した。
この時の高揚感は、中学生時代にフランス書院文庫を初めて友達に借りた時に近かった。サークルにいたモデルのお姉さんや売り子のお兄さんも話しかけてくれて、緊張でガチガチだった自分には良いアイスブレイクになったと感じた。

作品を買い終え気持ちもほぐれてきたため、ようやく最後の目標である「チェキを撮る」ことをしようとした。

実はこの時、既にとても気になる方がいた。
すらっとしたスタイルにぴっちりとしたラバースーツに見える服を着た、赤髪が目を引く綺麗なお姉様だ。

正直一目惚れだった。
脚フェチ以外にもギャル・ぴっちり・お姉様など様々癖がある中で、全てに当てはまる正にどストライクだったのである。

緊張は解れていたもののあまりに癖に刺さっていたため話しかけるのがとにかく恥ずかしく、どう声をかけていいかもわからずその方のいるサークルの前を何回も通るようにぐるぐると同じ階を回った。
今思うと明らかな不審者だ。

ようやく踏ん切りがつき、まず作品を見てみようと無言でサークルの商品を眺めていた。
「よかったら手に取って見てみてください~」と声をかけて頂いた。

緊張で死ぬかと思った。

そこからお姉さんが色々話しかけてくれて、少しだけ話ができるようになった。そして作品を買うお会計時、ようやく「チェキもお願いしてもいいですか…?」と聞くことができた。
お姉様は快諾してくれて、その場でチェキを撮ってもらうことになった。

ただここで一つ問題が。

(みんなどんなポーズで撮っとるん….?)

ポーズのリクエストはあるか聞いていただいたのだが、あまりにわからず
「アッ。。。ア。。。。。」とカオナシのようになった。
そこで助け舟をだしてくれたのは列に並んでいた方だった。

「せっかく初めてのチェキなら座ってもらったらいいんじゃない?」

私は衝撃を受けた。
いかにフェチフェスといえどどのような行動もセクハラになってはいけぬとかなり過敏に思っていたため、自分からではなくとも接触など言語道断と思っていたのだ。
(ちなみに余談だが、今でもそれは信条としている。)

衝撃は受けたものの癖に刺さりすぎて、提案者を神と思った。思えばあの方はどなただったのだろう。
だがさすがにそれは難しいのでは…?と思っていると、

OKをもらえた。まじか。

しかしフェチフェスの規約的に接触はやはりNGなようで、お姉様が空気椅子をして接触せずしっかり空間を開けてチェキを撮ることになった。そりゃそうだと、少しだけ残念さの混じった安堵を感じた。

こうしてあれよあれよという間に人間椅子風チェキを撮ることになった。
さすがに空気椅子状態で時間をかけてしまうとお姉様が疲れてしまうため急ぎつつ「初チェキしかも人間椅子風ってすごすぎやん。。」と内心語彙を失っていると、シャッターを切る直前頭に覆いかぶさるように影を感じた。体勢的にもつらい中、お姉様が頭をつかむようなポーズをしてくれたのである。

心臓が止まるかと思った。申し訳なさで。ほんとに掴まれているわけじゃないのに。

私は暑がりで、さらに緊張も相まって汗をかいていたのだ。
そんな状態の頭が触れてしまうと汚くて申し訳ないという思いが強くお姉様からむしろ気持ち頭を離していたからか、後頭部に影を感じただけで反動で掴まれたような感覚に陥った。

その瞬間、心も掴まれてしまった。

こうして初チェキを撮ってもらえた俺は、改めてお名前を聞いた。
しかしその時頭がふわふわしており、せっかく聞いたのに聞き取ることができなかった。
購入した作品とチェキにサインをしてもらい、その時「れくま」という名前もなかったため本名をチェキに書いてもらった。
いつかまたお会いしたいな、そう思いながら邪魔にならないようそそくさとサークルを後にした。

こうして私の初めてのフェチフェスは幕を閉じた。
そしてこれが、後に推しとなる夏城陽詩(げろちゃん)さんとの初邂逅である。

終章

フェチフェスの約一か月後、母が亡くなった。
私の人生における一番の理解者がいなくなりさらに不安定になった私には気力も失われていた。
アルバイトをしていたカラオケ屋もやめ、何をすればいいかもわからなかった。
そしてさらに一か月後、気力を取り戻すために偶然見つけたげろちゃんのピクニックイベに行くことになり、最終的には推し活を通して生きる意味を見つけて求職活動できるくらいに回復するのだが、それはまた別のお話。

あとがき

ここまで読んでくれた稀有な方がいれば感謝しかありません。
拙い文を読んで下さり誠にありがとうございます。

まず一つ注意を。フェチフェスだけに関わらずモデルさんなどとの撮影やコミュニケーションはあくまで双方の合意の上成り立っているため、今回文章化したこととまったく同じことができるかどうかはわからないことをご留意ください。
オタクとしてキャストさんに迷惑をかけないようにしましょうね。

注意から入ってしまいましたが、結果として推し活はいいものだと感じています。読んでくださった方がげろちゃんのイベに来てくださってお会いできることを願いながら、本文を終えたいと思います。

では、また。

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