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港恋しや (東海林太郎)。

東海林太郎の歌う「港恋しや」。西岡水朗作詞、竹岡信幸作曲のマドロスソングです。日本は島国であるせいか、古い時代より海や船をテーマにした歌が多く生まれました。戦前の歌を見渡して見ても「出船の港」「夜霧の港」「港離れて」などがあり、数えたらキリがない程です。昭和8年に日東レコードから「遠き日の夢」でデビューした東海林太郎は、数曲同社に入れた後でキングレコードのテストを受けました。35歳と云う年齢での応募は珍しく、到底通る訳がないと思いきや其の歌唱力と存在感に会社側はOKを出し、早速「知らぬ顔して」(w欠畑貞子)とソロ曲の「河原月夜」で初陣を飾りました。主力だった松平不二男(晃)が、江口夜詩と共にコロムビアに移籍した事もあり、キングは東海林太郎&竹岡信幸のコンビでヒットを狙うべく、次々と新曲を世に送り出すのでした🎼。

「港恋しや」は、竹岡と組んで早くも9曲目のナンバーです。陽旋法2秒子で書かれたフォックス・トロットのリズム、アコーディオンがリードする楽しげな前奏から曲がスタートし、すぐに東海林の歌に入ります。三番構成ですが前間後奏は全て同じなのは、何処か単純な作りに思えますが、そこを飽きさせない辺りに送り手側の工夫が感じられました。ノリが良い旋律なので、恐らくダンスのBGMとしても活用しようと云う意図もあったのでしょう。ただB面に組まれたのが理由なのか、然程話題にはならなかった様です。両人とは10歳近く年の差がありましたが、感性があったのか竹岡がコロムビアに移籍するまでのー年間に16曲組んでおり、中でも映画主題歌の「赤城の子守唄」は歴史的な大ヒットになりました。A面は渡邊光子の歌う「山の娘は」で、昭和9年春の発売です😀。

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