クリスマス終了のお知らせ~byポンティフェクス・マクシムス(ポン太)~
12月と言えば、クリスマス。
クリスマスと言えば、前ローマ法王ベネディクト16世。
もうお亡くなりになってしまったようで、ご冥福を……ん?
カトリックは一応キリスト教でもあるということなので、復活を心待ちにしております……??
いや、カトリックには煉獄と天国と地獄があるらしいから、天国に行けてますように……???
カトリックの方にはこういうとき、どう言えばいいのだろうか?
わからぬ。
故ベネディクト16世が、ただの年末パーティー化したクリスマスを批判する声明を出してからはや10余年、世間はいまだに俗なクリスマスを祝っている。
筆者も父のカールおじさんにクリスマスプレゼントとして甕入りの焼酎を買ってある。毎年恒例の家庭内お歳暮状態だ。何の行事だコレ。
ということで、今日はカトリックの司祭は実のところ何に仕えているのかを考えていきたいと思う。
クリスマスの原型は、もとはエトルリアの神サトゥルヌスの祭りであったという。
サトゥルヌスとは王位を追われて東からやって来た神であり、現在のローマにあるカピトリヌスの丘に町を築いた。
そして、彼を祭るサトゥルナリア祭は、12月17日から7日間つづく大無礼講祭りであったようだ。
サトゥルヌスはギリシア神話のクロノスと同一視されている。
その見解が妥当だとするならば、クロノスが父ウラヌスを殺して王位につき、息子のゼウスに倒されたように、サトゥルヌスも父を殺して王位につき、そののち自分が子孫に追われる立場となった神ということになる。
父ちゃんを倒し、子供に倒される彼の生涯は、無礼講を絵にかいたようである。
ローマの国教をキリスト教に変えるとなったときに、民衆が1年に一度のどんちゃん騒ぎができなくなるのでは、と心配しただろうことは想像に難くない。
が、それよりも、現在のクリスマス商戦で多数の企業が利益を上げているように、祭りがあることで儲けていた人々の反発のほうが大きかっただろうことも容易に想像できる。
教会は寄付金で成り立っている。
のちにカトリック教会は自分から稼ぎに行くが、なんにせよ、金と有力者の支持がなければ大きな影響力を得ることはできない。
カトリックが「クリスマス」と名称だけ改めてサトゥルヌス祭を残した理由としては、そういった経済的理由が一番大きかったのではないかと思う。
ローマにもユダヤ人は住んでいた。
宣教活動によって、ローマにもキリスト教の会衆ができる。
イエスの弟子ペテロはローマへ行き、そこで殉教する。
嘘か誠か、ペテロが殉教した土地にバチカンのサン・ピエトロ(聖ペテロ)寺院が建っているのだという。
だが、カトリックはキリスト教とは違う。
カトリックの法王は、「ポンティフェクス・マクシムス」(古代ローマの最高神祇官)という称号を持っている。
つまり、ローマ法王とはローマ土着宗教の司祭でもあるのだ。
カトリック教徒は彼を「パパ」と呼ぶ。
しかし、聖書にははっきりと、天の父なる神以外を父と呼んで崇拝してはならない旨が記されている。
カトリック教徒は「聖母マリア様」に対して祈りをささげる。
しかし、福音書の中で、民衆が母マリアを崇拝しないようイエスが気を配っている場面が記録されている。
聖書では、イエス・キリストは人として死に、神として復活し、天で父なる神の祭司を務めているという設定である。
だから、クリスチャンは祈るときに「父なる神」に対して祈り、その祈りを父なる神のもとへ運んでくれるよう、「子なる神」である「イエス・キリスト」に託す形で祈るのである。
父なる神はホーリーすぎて、思いに欠陥のある人類と触れ合うことはできない。
「聖なる神」と「聖でない人間」両方の性質を獲得した「子なる神」だけが、間に入って橋渡しができるのだ。
祭司の仕事は神と人との橋渡しである。
母マリアは「聖でない人間」である。
だから、人の祈りを橋渡しする権限がない。
そういう理由で、クリスチャンはマリア様には祈らないのである。
古代ローマ帝国では、最高神祇官ポンティフェクス・マクシムスの役職は皇帝が兼ねていた。
それを引き継いだのが、ローマ法王である。
では、ローマの最高神は誰かというと、「ユピテル」である。
英語ではジュピターと読む。
彼はギリシア神話のゼウスと同一視されている。
というのも、ユピテルは「Dyēus-pətēr ディエウス・ペテル」が訛って短縮されたものと推定されており、「ディエウス」の部分だけ転訛して残ったのが「ゼウス」であるからだ。
「ディエウス・ペテル」とは「天の父」という意味である。
「ディエウス」は「天」、「ペテル」は英語のfatherとルーツが同じであり、「父」である。
「天の父」を拝んでいるのなら、キリスト教の神と同じではないのか?
たしかに、意味は同じである。
だが、ユピテルには妻がいるし、ゼウスはクズレベルの好色家なわけで、彼らは聖書の神とは別の人間である。
もし、出エジプト後のイスラエルの民のあいだにゼウスが現れたら、姦淫の罪で即死刑になるレベルで聖書の神とは相いれない存在である。
では、ゼウスとはいったい誰なのか?
父ウラヌスを殺して王位に就いたクロノス。そして、父クロノスを殺して王位に就いたのがゼウスである。
おそらくだが、彼らは天の神を崇拝する民の王であった。
王の称号に神の名が取り込まれて習合してしまった例であると考えられる。生前か死後に神格化されていたのだろう。
彼の子孫はギリシアへ、そしてさらに遠くのローマにまで広がり、その地に名前を残すことになる。
ゼウスもユピテルも、名前は「天の父」を指しているかもしれないが、その実情は人間のリーダーである。
古代ローマの人々は、彼らのご先祖様を祭っていたのだ。
その祭司を引き継いでいるのがローマ法王。
「ミサ」という儀式もキリスト教のものではない。
もし、ローマ法王が本気の「クリスマス終了のお知らせ」を出すとき。
それは、「サトゥルヌス祭復活のお知らせ」になるのかもしれない。
ローマ法王は、いじられても変なコラ画像を出されても、怒ったりデューク東郷を差し向けたりしない器の大きさが良い。
習近平もプーさんの被り物をして全人代に現れたら、世界からの人気が爆上がりすると思うが、どうだろう?
日本にも隠れファンの多いプーチンは、すでにプリンになっている。
2ちゃんねるを見ていなかった筆者がこんな画像を知っているのも、プーチンファンの友人がわざわざCD-ROMに焼いてよこしてきたからだ。
ベネディクト16世のクリスマス終了のお知らせも、それといっしょに「おまけフォルダ」に入っていた。
親しみやすさって武器だよね💛
それでは、最後までお付き合いいただきありがとうございます。
メリークリスマス!
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