歴史の隠蔽工作の話
トルコのダムの下に沈んでいる遺跡は多い。
国中遺跡だらけで、京都の神社仏閣のように何度行っても回り切れないくらい遺跡があるものだから、そりゃ、ダムを作るとなれば遺跡の2個や3個は沈むでしょう。
それでも、ノルスン・テペは残してほしかった。
絶対やばいこの形状。もう、ほんとにもったいない。
ディヤルバクルからバスで行けるEğil(エイル)も、半分ダムに沈んだ印象的な遺跡だ。観光船が出ているが、やりたいのは観光じゃない。調査だ。誰か水を抜いてくれ。
まあ、遺跡がダムに沈んでしまうのは、致し方のないことだとは思う。過去の遺物よりも、今生きている人たちの生活のほうが大事だ。だから、わざとじゃない。
うん、いいだろう。
だがしかし、ギョベクリ・テペの発掘をやめたのはなぜなのか?
しかも、遺跡が埋まっている土地の上に植樹までして。何もない山の上なんだから、掘り進めればいいのに。
……また進化論に反するものか、聖書の世界観に合致するものが出たのだろうか。だいたい、隠蔽されるのはその辺だから。
聖書つながりで、シリアのエブラ遺跡もなかなか調査が進まないサイトである。
紀元前2千年以前にさかのぼる古い遺跡で、粘土板からイスラエル人的な名前が多数見つかったようだが、シリアは中東戦争の折、イスラエルに敵対して侵攻したことのあるアラブ国家でもあり、そんなとこからイスラエル人の先祖の遺跡なんかが出てきたら大変だ。イスラエルに逆に侵攻の口実を与えることになってしまう…と心配したのか何なのか、アラブ側に忖度してあまり存在を宣伝してもらえない遺跡なわけだが、でも、よく考えたらアラブ人にはイスラエル人と同じアブラハムという先祖がいるわけで、エブラ遺跡があったからってアラブ人が困る必要はないはずだ。だって、エブラ遺跡はモーセやアブラハムよりも古いのだから。
もしエブラがイスラエル人の先祖が残した遺跡だとするなら、アラブ人の先祖の遺跡とも言えるわけだ。仲良くいっしょにシェアすればいいだけの話。
シリアといえば、一時期ダーウィシュ(ISIS)が遺跡を破壊して回っていたが、米軍もイラクでかなりの数の遺跡を破壊したと聞く。ISISはアメリカ海軍の制服を着ていたと聞くし、ISISが占領した油田地帯はそっくりそのまま米軍が手に入れた。つまり、ISISという悪役に暴れさせてそれを大々的に宣伝し、それを退治するヒーローとして米軍が乗り込んで合法的に(というわけでもなくただの占領だけど)欲しかった土地を手に入れた。ISISは米軍の別動隊だ。ならば、遺跡破壊の目的も一緒のはず…。
元来、イスラム教徒が宗教的な理由で破壊するのは偶像だけだ。でも、ISISは建造物も壊していた。なぜだろう?
見つかっても発掘されない遺跡は多い。発掘資金がないからというのがたいていの理由だ。
でも、破壊するにはお金がいる。誰も住んでいないところで開発計画もないなら、わざわざ破壊する理由は何なのか?
「そんな、ミステリーなんてないよー」という研究者も中にはいるだろう。そういう彼らはラッキーなだけである。権威筋が隠したいものに近づいたことがないだけだ。
また、中にはエジプトのザヒ・ハワスのように、本当のことを知っていながらプロパガンダマシーンとして真実を伏せる学者も存在する。
そのような学者は日本にも存在する。日本の学者のほうが嘘がうまい。
いや、ザヒおじさんの演技が下手すぎるのか。
考古学の世界は実にミステリーが多い。消える発掘品、破壊される遺跡、公表されない粘土板、でたらめな年代測定…。実はみんなタブーを察していていて、あえて触れないように迂回するからいつまでも本当のところがわからない。
破壊され消滅してほしいのはそういったタブーのほうなのだ。
エブラについてはこちら⇩
『エブラの発掘』マイケル・ウァイツマン、ハイム・バーマント著
矢島文夫 監訳
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