新作『年神印の年の瀬珈琲 EP.1』解説&自己感想まとめ記事
2024年最後の新作『年神印の年の瀬珈琲』の解説&自己感想記事です。
好きな漫画家さんが自分の作品について1コマ1コマ解説してる記事を見て、「これ、小説でも頑張ればやれるのでは!?」と思い立ち、お試し記事として制作してみました。
といっても、実は思い立ってから随分経っていたりします。
どうやってやろうか、全然思いつかないままに日が経っちゃって……。
結論。難しい事は考えず、とりあえず章毎(またはシーン毎)に項目を作って、書いた時の思い出とか感想とか書いていこうかな、と思います。
記事タイトル後半の「自己感想」ってのは、つまりそういう事です、はい。
本編のネタバレばりばりの記事になりますので、本記事を読みたい方は先に小説『年神印の年の瀬珈琲』を読むのをおすすめします。
未読の方は、ぜひ先に本編を楽しんでくださると嬉しいです。
なお、本作は展示系創作イベント「私の冬創作」ネットオンリー&SNS参加作品として制作した作品になります。
「私の冬創作」については、主催者である三稜@からころくるりさんの記事に詳細がありますので、こちらをご覧になってください。
小説『年神印の年の瀬珈琲 EP.1』解説&自己感想コーナー(本記事メイン)
エブリスタでは編集の都合上から数字を消しちゃってるのですが、実は本作は全部で5つの章(5つの場面転換といった方が正しいか?)から成る作品となっていたりします。
本当は各場面ごとに数字をいれて、「ここで場面が切り替わるよ~」ってやりたかったんですけど、それやると「エピソード1」という見出しを切り捨てないといけなくなっちゃって……。
エブリスタさんは、大見出し・小見出しといった見出しの種類が存在しないので、つけられる見出しは「エピソードタイトル」1つなんですよね。
一応「できるなら、短編連作のシリーズ(年1更新)として今後も続けていきたいなぁ」という願いがあったので、「エピソード1」を切り捨てるわけにはいかず、場面転換を意味する数字達の方を諦める事にしました。
まぁでも、代わりにエブリスタさんには「ページ」っていう機能があるからね。
場面転換するタイミングで、ページを変えれば違和感なく読めるでしょう。きっと(震え声)
実は私、このページ機能好きなんですよね。本当に本をめくってるみたいな感覚でWeb小説を読めるので。
長年紙の本メインで育ってきた人間としては、親しみがわく機能。
……まぁ、編集する側としては「何文字でページめくるように編集するのがいいんだよぉっ!」って、ブチ切れてるんですけど。
ページわけ下手くそ芸人、ここに極まれりってね(白目)
◆1章の解説&自己感想
実は、初期案では出だしが違ってた。
現在の出だしは、2章で出す予定の出だしでした。
初期の出だしは、「――『年神印の年の瀬珈琲、やってます』」の一文。
あれですね、1章で結実ちゃんが見つけた看板の一文。あそこから始める予定でした。
でも、そこから始めると結実ちゃんへの感情移入がしにくいなぁと思って。
今エピソードの語り部である結実ちゃんに感情移入できないまま2章に移るのはあまりよくないなと思い、2章で書く予定だった出だしを1章に持ってきました。
やっぱり、お話の語り部とは心の距離が近い方がお話に没入しやすいじゃないですか。
雑談だって、まったく知らない人とするよりも、気心知れた友達とした方が楽しいわけだし。そんな感覚。
だから、結実ちゃんがどういう子なのか最初にわかるかつ本作が「珈琲のお話ですよ」という点を印象付けるのに、「珈琲派か紅茶派か。そう訊かれたら、別にどちら派でもない、というのが~」一文を最初にした方がいいかと考え、書き直した次第ですね。
まぁ、書き直した後は「いい出だしができた」と思う反面、「やっべ、2章の始め方どうしよう」と焦りもしたわけですが。
結局、2章は1章からの地続きみたいなぁ一文にしちゃったな。
まぁ、ぷんすこ怒るミトちゃんが可愛いのでよしとしましょう。
本作で一番好きなの、実はミトちゃんだったりします。元気溌剌&天真爛漫な女の子キャラ、大好きなんですよね。
ミトさんといえば、相方(相方なの、か……?)のとしについてなのですが。彼の髪型がウニみたいなのは、初日の出&叔母へのリスペクト精神からです。
太陽神の叔母さんが好きって裏設定があるので、太陽イメージの髪型にしてるっていう、そんな細かい設定。
服のセンスとあわせてですが、お察しの通り、うちの年神様はファッションセンスがまずいです。
ダサT着てるイケメンキャラが好きな作者に生み出された運命だと思ってください。
◆2章の解説&自己感想
出だしで悩んだ事はさっき書いちゃったから、別の悩み事でも書いておくか。
実は、としに結実ちゃんを「お客様」と呼ばせるかどうかで、どちゃくそ悩んだ。
本当、凄いどうでもいい悩みなのですが、としって一応設定的に「神様」なんだよなぁと思うと、自分より格下の存在である人間の結実ちゃんを「お客様」 or 「お客さん」だったらどっちで呼ぶんだろうなぁと悩んじゃって……(冷や汗)
まぁでもたぶん、としの穏やかな性格上、珈琲店をやるって時点で自分は「一介の店主」という心構えでやっていると思うので、そう考えると「お客様」と敬う方がしっくりくるのかもしれない……という事で、「お客様」と呼ぶ方向でまとめる事にしました。
「ミルクとハチミツのアレルギー」の有無を確認するシーンも、実は書くかどうかで一瞬迷いましたね。
「飲食店のお話だから、アレルギーには気を配った方がいいよね。けど、フィクションかつエンタメってジャンルでそこまで細かく言及してたら、小説として展開がモタつかないかなぁ」と心配になったのが理由です。
でも、一時期働いていた職場でアレルギー関連の事に凄く気を配っていた事があって、その時の事が脳裏を横切ったので書く事にしました。
アレルギーは本当に大事な事だから。
としの性格ならきっと気にするし、気をつけようとするはず。
というわけで、モタつくの覚悟でぶっ込みました。
でもそのおかげで、としと結実ちゃんの会話が増えて、結実ちゃんの性格が1章よりもよく伝わる(であろう)やり取りが書けたので満足です。「どんとこいですっ」という結実ちゃんのセリフ、彼女の性格が全部詰まってる感じがして大好き。ちょいポンコツ女子、可愛いねぇ。
結実ちゃんの中のとしの印象もちょっと変えられたし、よきよき。
思うほどモタついた感じもなかったので、個人的には大満足なシーンです。
◆3章の解説&自己感想
美味しそうな珈琲の描写って、どうすれば上手く書けますかぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!(怒)(泣)(怒)(泣)
いや、本当、この章に関してはもうこれ。この一言しかない。
食べ物の描写ってどうすりゃ上手くできるの、どうすりゃ美味そうに書けるの。なんなの食べ物って、なんなの描写って、なんなの美味しそうって。なんなだよ……、なんなんだよ……!!(床ダンッ!)
特に大変だったのは、珈琲を淹れる描写ですね。
店で飲んだ事あっても自分で淹れた事はない&珈琲店で淹れるので家庭用の淹れ方ではNGという状況での描写だったので、もういろいろアップアップになりながら書きました(白目)
そもそもこの珈琲店、外にあるんだよ。
外と室内じゃあ、珈琲の香りの広がり方とか、音の聞こえ方とかだいぶ違うだろ。
誰だよ、外なんて設定にしたの。自分だよ(怒)(泣)
とりあえず「外」については、自分が想像してる雰囲気に近いお店を地元付近で探して、足を運んで感覚を確かめてきました。
自分は、小説を書くのに必要と思われる物事の感覚の類を、自分なりに共感できるようになってから初めて作品を書けるタイプの物書きだったりします。
なので今回の珈琲店のように、自分自身で体験できる事はできる限り体験してから執筆をするようにしてます。
体験できない時は、もう無限に資料を集めまくりますね。
とにかく集められるだけの資料を集めて、内容の必要性に関わらず全部自分の中に落とし込む。
想像で感覚が作れるようになるまで、とにかくとにかく全部頭に詰め込む。
そう、私は脳筋仕様の物書き。
実際今作では、体験不可能な「珈琲店での珈琲作り」の部分は、この脳筋仕様で制作させていただきました。
もうとにかくいっぱい色んな珈琲動画とか本とか見た。エスプレッソマシンを使って珈琲を淹れるASMRも見てた。もっと詳しく作ってる時の音が欲しくて……。
…………今さらだけど、エスプレッソマシンのASMRってなんなんだ。
助かったけど、誰得なんだ、このASMR……。
まだまだ知らない世界が、現世にはたくさんあるなぁ……。
◆4章の解説&自己感想
結実ちゃん苦悩の章。
結実ちゃんの苦悩は作者の苦悩……というと、ちょっと語弊があるか。
正しくいうなら、「彼女が抱えるこの苦悩を書き上げるのが大変だった」というお話です。
この章では、結実ちゃんが作中前半でイライラしたり、どうしても実家に帰りたかった原因が判明する章となっています。
マリッジブルーが原因で、結実ちゃんが「お家に帰りたいよ~!」ってなっちゃう展開は、最初から決めていたものでした。
……なのですが、実際にそのシーンを原稿に書こうとしたら、自分の中で「マリッジブルー」への解釈があんまり深くできてなかったようで、初稿では描写がちゃっちくなっちゃったんですよね。
こりゃいかんという事で、今度はマリッジブルーの解像度を高める旅へ。
とはいえ、これも体験しようとしてできるような事ではないので、とにかく資料を漁る脳筋仕様でいきました。
資料で調べた情報をもとに結実ちゃんの気持ちを改めて構築し、自分自身が共感出来る部分を探し出して、そこを起点に結実ちゃんがどんな思考で、どんな気持ちになって今に至るのかを、ゆらゆらと自分の中で考える。
大変ではあったけど、正直、今作を執筆する上で一番楽しい思考時間でした。
昔からキャラクターの心情描写を書くのが好きなので、キャラクターに思いを馳せれるこの時間、最高に好きなんですよね。
自分の中にない感覚を作り上げる作業なので、疲れるけど(苦笑)
ここだけの話、実は『年神印の年の瀬珈琲』は女性向けを意識して作った小説だったりします。
今後はもっと色んな展開をぶち込んでいく予定ですが、EP1では「女性向け」を全面的に押し出せる展開を作れないかなと思い、その役割を担う子として生み出したのが、結実ちゃんという女性キャラクターでした。
なので結実ちゃんに関しては、できる限り女性向けっぽい話題ができる子になってほしかった。そういう意味で、この章の掘り下げは絶対に外せない要素であったわけです。
ついでなので、彼氏くんに関するお話もしとこ。
彼もまた結実ちゃんと似ていて、いざって時にちょっとポンコツっちゃうタイプなのですが(プロポーズのタイミングの悪さとか)、これは完全に私の趣味です。
ポンコツな時もあるけど努力屋で明るい彼女と、いざって時にポンコツっちゃう事もあるけど本当に大事なところでは頼れる彼氏。CPとして、めちゃ好き。へへへへへ……いい……(涎)
それで思い出したけど、彼氏くんが指輪を渡したタイミングについて。
実はあのシーン、実際に渡したタイミングよりもっと前から、結実に指輪を渡そうとしていたって裏設定があります。
ずっと渡そう渡そうと考えて、緊張故に渡せないままタイミングを見失って、頭が焦りからぐるぐるになって、最終的に焦りが一周回ってあのタイミングで渡した……っていう。
たぶん、この日の夕飯時点で彼氏くんの態度おかしかったと思う。
結実ちゃんは些細なことすぎて、もう忘れてるけど。
◆5章の解説&自己感想
この章、本当はもっとちゃんと、としと結実ちゃんが顔を突き合わせてお話してもらう予定だった。
カウンター越しにね、向き合ってお話してもらう予定だったのよ。
としは、道具やマシンの清掃とかしてなかった。
じゃあ、なんでさせたかって?
させないと、「時間的に山に行けなくなる」って気づいたからですよ……。
現世でのんびり珈琲店やってるけど、とし、一応年神様だからね。
正月になったら山行かなくちゃいけないのよ。山行って、里におりて、そこから家々巡らなくちゃいけないのよ。本来は年の瀬に珈琲店とかやってる場合じゃないんだよ、この男。なんでやってんだよ、お前。
珈琲店やってる理由がないわけじゃないんですけど、これに関してはいつかエピソードとして書く予定なので、ここでは割愛。
でも、どんな理由があるにしろ、彼がお正月になったら年神の仕事をしなくちゃいけないのは事実です。
あの場面で片づけしないで、談笑にだけ花を咲かせてる余裕は、あの男にはないんだよ……!
なので、片づけをしながら結実ちゃんと話してもらいました。
このあとたぶん、一度お家に寄ってキッチンカー置いていって、お仕事する用の正装に着替えてから山に行くんだろうなって思います。
本編は終わったけど、彼らの本番はここからです。
終わりに:更新のタイミングに迷走中
以上、小説『年神印の年の瀬珈琲』解説&自己感想記事でした。
ほとんど完全に思い出ふり返り記事ですね、こりゃあ。
解説とはなんだったのか(白目)
本作における年神の設定や、登場させた珈琲に関する豆知識といった真面目な話はスター特典につけてあるので、真面目な内容が読みたい方はそちらをお読みいただくという事で……(エブリスタで、「スター」or「スターギフト」を送ってくださると読めます!)
『年神印の年の瀬珈琲』は、イベントに参加したい一心で制作した作品だったのですが、まだ出せていないキャラクターがいたり、まだまだ書けるネタがあったりするので、たぶん各所でしてる宣言通りに来年続きを公開すると思われます。
本当はこの1話で終わらす予定だったんですけど、キャラを作り込んでいったらどんどん話が広がっていっちゃって……。
収集がつかないので書こうかなって思います。
とはいえ、年1更新だと、はたして一体何話まで書けるのだろう……。
他にも書きたい作品いっぱいあるし、ちょっと考えながらエピソードを更新していく必要がありますね。
いうて年1ってのも、「年の瀬」ってタイトルについちゃってるから時期にこだわってるだけで、こだわらなければ更新回数増やしてもいいよなぁ。
1年の内に書き貯めして、年の瀬使って2~3話ぐらい一気公開でもありか?
う~~~~~~~~~~ん。
悩ましい。
まぁ、とりあえず更新を続けていくつもりではあるので、よかったらエブリスタユーザーな読者さんは、本棚にいれておいてやってください。
ある日突然、ポンッと更新されるかもなので。