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♠西部劇が好きっ!♠「サボテン・ブラザース」 (0004)

西部劇では異色のコメディ映画です。 スティーブ・マーティン主演。

<趣意>
お気に入りの西部劇映画を勝手気ままに紹介していきたいと思います。

 

<構成>
※ストーリーの核心に触れている部分がありますのでご留意ください。

西部劇映画俳優の3人組(役名は「スリーアミーゴス」)は映画会社をクビになってしまい途方に暮れます。 そこへタイミングよく彼らに映画出演の招待状がメキシコから届き、3人は喜び勇んでメキシコへ向かいます。

しかし実際はメキシコの寒村で盗賊団の襲撃に苦しむ村人たちが、スリーアミーゴスの映画を実際の記録と勘違いして彼らに盗賊団撃退の助力を依頼した知らせでした。

最初は実態を知らずに陽気に振る舞っていたスリーアミーゴスもやがて真相に気付きます。 しかしそのときにはすでに時遅し。 スリーアミーゴスは村人たちを守り盗賊団を撃退するために本当の銃撃戦を迎えることになります。

 

<ポイント>
いうなれば勘違い系のコメディ映画とでも言えばよいでしょうか。 登場人物たちの間でお互いに勘違いをしているのですが、なぜかそれが上手く噛み合って物事がトントン拍子で運んでいき、最後に勘違いに気付いた人物たちももはや逃げ出すこともできなくなりクライマックスを迎えて、さぁどうなるか?というストーリー展開です。

アメリカのコメディ映画の特性のひとつかもしれませんが、いわゆるパロディものとも言えます。 盗賊団に苦しめられる村人たちが勇者たちに救いを求めるという大きな構造は映画「七人の侍」「荒野の七人」が前提になっていることは言うまでもありません。 いわばそれを前フリとしてちりばめられたパロディの小ネタを楽しむことができる作品です。
もちろん「七人の侍」や「荒野の七人」の前知識がなくても、独立した映画として安心して楽しむことができるコメディに仕上がっています。

また単なるパロディやアメリカ的なギャグやナンセンスに彩られた単純な明快なストーリーにとどまることなく、スティーブ・マーティンを始めとする3人組のそれぞれのキャラクターや人間性が描かれており、仕事につまずいてドロップアウトしかかった彼らが人生を取り戻すための再生の物語としても作り込まれているかと思われます。

 

<私的な雑感>
勘違い系コメディといえばよいでしょうか。 同様な作風としては、SF映画で『ギャラクシー・クエスト』(スタートレックのパロディ)がありますし、似たような作品ですと『俺たちは天使じゃない』(1989年リメイク版)やウディ・アレンの『おいしい生活』も似通った点があるのではないかと感じます。 
本気で殺しにかかろうとする盗賊たちに対して、真面目にコミカルな演技で対応する3人組とのギャップは思わず笑ってしまいます。

西部劇では異色のコメディ映画です。 この作品以外はあまり聞いたことがないように思われます。 ただ、西部劇をつくるにあたって「今までにないコメディでやろう」という発想ではなく、「『荒野の七人』のパロディを作ってみない!」というヒラメキから始まったのではないかと気がします。

スティーブ・マーティンが製作総指揮と脚本も手がけていますから、「ガンファイト」「悪役たちの振る舞い」「ガンマンと村の女性のロマンス」そして「エンディングの去り際」など西部劇のお約束をしっかりと踏襲しつつ、上手にコメディに仕立て上げてあります。 監督もコメディ映画『ブルース・ブラザース』や『大逆転』でメガホンを取ったジョン・ランディスですから、この2人の力があったればこそ作品成立だったのではないでしょうか。

個人的には、主役の3人組の1人である俳優のマーティン・ショート演じるキャラクターは、本作ではどちらかという軟弱な役回りながら、実は早撃ちで卓越したガン捌きを得意とするところが、『ドラえもん』ののび太ぽいなぁーと面白く感じました。

日本で大ヒットしたわけではない(と記憶しています。たしか…)と思いますが、『ブルース・ブラザース』などのように根強いファンがいるそうです。 代表的なところでは三谷幸喜さんも本作のファンのようです。 三谷さん監督作品『ザ・マジックアワー』などにはたしかにテイストが相通じるところがあるように思われます。 三谷作品のファンの方はハマるかもしれません。

💣💣💣
ご興味のある方は観てみてもいいかなぁーと思います。
スティーブ・マーティンは相変わらず達者な役者・コメディアンだなー。

 

<作品概要>
作品名: 
サボテン・ブラザース (原題  ¡Three Amigos!)
公開年: 1986年
製作国: USA
監 督: ジョン・ランディス (Wikipedia)
出 演: スティーブ・マーティン (Wikipedia)
     チェビー・チェイス (Wikipedia)
     マーティン・ショート (Wikipedia)

 

<補足>
監督などのスタッフを始め主役たちもアメリカの有名なバラエティーTV番組である『サタデー・ナイト・ライヴ』の関係者であり、『ブルース・ブラザース』と同様に同番組からのスピンオフ映画と言えるかもしれません。

 

<参考リンク>
1.作品解説 (Wikipedia)

2.作品情報 (Yahoo!映画)

3.映画「ギャラクシー・クエスト」 (Wikipedia)

4.映画「俺たちは天使じゃない」  (Wikipedia)

5.映画「おいしい生活」 (Wikipedia)

6.映画「ザ・マジックアワー」予告編 (YouTube)※動画/約170秒(CM除く)

7.映画「ブルース・ブラザース」 (Wikipedia)

 

・敬称略とさせていただきました。
・2021年7月時点での情報です。

 

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(2021/08/19 上町嵩広)

 

<バックナンバー>
0001 「怒りの荒野」
0002 「明日に向かって撃て」
0003 「荒野の七人」

 

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