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龍馬に先駆け、龍馬になれなかった男「レキシズルスペシャル 清河八郎」(2022.5.25)

清河八郎

新選組ファンにその名を聞けば
「ああ、あの男ね」
とちょっと皮肉な笑いを浮かべるだろう。

かくいうわたしも、
幕末初期の「大ペテン師」というイメージを持っていた。

さて、そのイメージは覆るのかどうか。

久々のレキシズルスペシャル(最終水曜夜に開催)、
今回のプレゼンターはレキシズル首脳と
佐幕の視点で幕末を描くTERAKOYAティーチャー、チャンプ。

司馬遼太郎作品に詳しいチャンプ先生によると、
『竜馬がゆく』でも『燃えよ剣』でも清河は散々な描かれよう。
司馬先生も清河が相当嫌いだったとみえる・・・

さて、今回の主人公、清河八郎
現在の山形県、庄内の酒屋に生まれた金持ちのボンボン。

でもモラトリアム。
鬱屈する青春、まるで尾崎豊。
しかし彼は盗んだバイクで走り出す、のではなく、
遊郭に入り浸り。

その時14歳。

どんな中学生やねん。

さて、そんな八郎少年は18歳で江戸に遊学。
東大の前身である昌平坂学問所に入学するも
「こんな官僚養成所で学んでられるかい!」と速攻で退学。

そして25歳、中退と同じ年に神田に「清河塾」を開校。

さらに21歳と遅すぎる入門なのに
北辰一刀流の千葉道場で免許皆伝。

江戸に名だたる塾や剣術道場はあれど、
学問も剣術も教えるのは清河塾だけ。

大谷翔平並みの二刀流
天才的な文武両道
なのに権威に執着しない。

やだ、かっこいいじゃない。

しかも並みの求心力じゃない。

桜田門外の変に衝撃を受けて倒幕・尊王攘夷のための
「虎尾の会」を結成するんだけど、そこに幕府の役人まで参加。

倒幕目的の会に幕府の役人て。
そんでそのメンバーと横浜外国人居留地を焼き討ちて。

やばすぎる・・・。

その後、清河は倒幕を呼びかけるため薩摩に行くも受け入れられず、
虎尾の会の盟友、山岡鉄舟を通じて幕府に「浪士組」の結成をプレゼン。

倒幕しようとしてるのに、幕府をスポンサーに軍隊を作っちゃう。

ハンパないプレゼン力。

そして、浪士組を率いて京都に行くも、
「これ、倒幕目的の天皇のための軍隊だから」という清河に反発し、
京都に残ったメンバーで新選組が結成されたというのは
新選組ファンお馴染みのエピソード。

ここだけ切り取ると、どうしても清河のペテン師ぶりが
クローズアップされちゃうけど、
龍馬に匹敵するくらいの人間力とアイデア力と行動力。

さらに龍馬との共通点を挙げれば
元は金持ちのボンボン、
最期は暗殺され、その時、風邪をひいていたこと、
しかも斬った人も同じ。

でも、策士、ペテン師のイメージを持たれ、
龍馬にはなれなかった。

私が思うに、彼に決定的に欠けていたのは、
”愛嬌”なんじゃないだろうか。

「言ってることが違うじゃないか!」と言われたら、
龍馬だったら「だよねー、てへぺろ」ってできるところを
清河は「それはだな、かくかくしかじか」と説得しようとして
敵を作っちゃうタイプなんじゃないかと。

”無名の酒屋の長男が強大な江戸幕府を相手取り、
己の才覚で勝負をかけたところ”が魅力と
プレゼンターは語っていたけど、
東北人の真っ直ぐさと、ある意味不器用なところは
龍馬にはない魅力だとわたしは感じた。

久々の賑わいをみせたレキシズルスペース、
いい夜でした。

#レキシズル #清河八郎

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