「CIAトライアド」をしっかり理解しよう!
本日は、情報セキュリティの基礎となる「CIAトライアド(機密性・完全性・可用性)」について、より深く掘り下げていきます。
これら3つの要素は、セキュリティ対策を考えるうえで欠かせない「土台」です。実際の業務現場では、顧客情報を守るための権限管理(機密性)、改ざん防止策や監査ログの整備(完全性)、そしてシステム障害時にも業務が止まらないような冗長化・バックアップ(可用性)など、すべてがCIAトライアドと結びついています。
1. 機密性(Confidentiality)
どんな状態を指す?
機密性とは、情報を「見るべき人」以外に見られないようにすることです。
なぜ重要なのか?
・お客様の個人情報や取引先との契約情報は、外部に漏れれば信用問題に発展します。
・不要な人が機密情報にアクセスすれば、競合他社に不利な情報を渡してしまうリスクや、内部不正につながる可能性があります。
具体策・実務例:
・アクセス制御
社員ごとに「閲覧・編集できるデータ範囲」を明確に設定する。
・暗号化
外部送信するファイルにパスワードをかける、通信経路をSSL/TLSで保護する。
・物理的セキュリティ
サーバールームへの入室をセキュリティカードで制限し、不要な人が晴れないようにする。
2. 完全性(Integrity)
どんな状態を指す?
完全性とは、「情報が意図しない形で書き換えられない(改ざんされない)」ようにすることです。
なぜ重要なのか?
・もし、注文数が勝手に増減されれば、在庫や売上の計算がずれ、適切な経営判断が困難になります。
・給与計算データが勝手に改ざんされたら、支払いが正しく行われず、社員の信頼を損ないます。
・法的に提出しなければならないデータが改ざんされた場合、コンプライアンス違反や法的制裁を受ける可能性があります。
具体例・実務例
・監査ログ、バージョン管理
誰が、いつ、何を変更したかを詳細に記載する。問題が起きた場合に特定しやすくなる。
・デジタル署名やチェックサム
ファイルや文書に電子的な「お墨付き」を加え、変更があればすぐに検知できる仕組みを導入する。
・権限分離
同一人物がデータ作成・承認・修正すべてに関わらないようにし、改ざんの余地を減らす。
3. 可用性(Availability)
どんな状態を指す?
可用性とは、必要な時に必要な情報にアクセスできる状態を維持することです。
なぜ必要なのか?
・システムが頻繁に落ちている会社は、顧客への対応が遅れ、不備が高まります。
・障害発生時にすぐ復旧できなければ、注文処理・在庫確認・顧客サポートなどの業務が止まり、信頼や機会損失につながります。
・社会インフラを支えるシステム(電力・水道・医療関連など)がダウンすると、社会的な影響も大きくなります。
具体策・実務例
・冗長化、クラウド利用
サーバーを二重化したり、クラウドサービスを利用して、障害時にも自動的に別サーバーに切り替えられるようにする。
・バックアップ、ディザスタリカバリ計画
定期的なデータバックアップと、緊急時に迅速に復旧できる手順書を用意する。
・負荷分散、スケーラビリティ
大量アクセスに耐えられるよう、システムを柔軟に拡張できるような設計にしておく。
CIAトライアドの相互関係
「機密性」「完全性」「可用性」は往々にしてトレードオフの関係にあります。たとえば、
・機密性を強化するためにあまりにも厳格な認証を行うと、アクセスの手間が増えてしまい可用性(使いやすさ)が下がってしまうかもしれません。
・可用性を重視しすぎて誰でもアクセスできるようにすると、機密性が低下します。
現場では、このバランスを取りながら、組織のビジネスモデルや法規制、顧客ニーズに合った最適解を探します。セキュリティ対策は、3要素を同時に高める「総合力」が求められるのです。
まとめ
・CIAトライアドは「機密性」「完全性」「可用性」の頭文字をとったものであり、あらゆるセキュリティ施策の基盤。
・機密性:必要な人だけがアクセスできる状態を維持
・完全性:情報が正しく改ざんされていない状態を保証
・可用性:いつでも情報を利用可能な状態を確保
この3要素を理解すると、セキュリティ上の問題に直面したとき、どの要素が損なわれているのかを考えやすくなり、対策案も浮かびやすくなります。
今後さらに学ぶリスク評価手法や法令、技術的対策も、これらの基本概念の上に成り立っていることを意識してみてください。