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【文字起こし】懲罰動議に対するくしぶち万里議員の身上弁明
2023年5月25日、衆議院本会議において、くしぶち万里議員(れいわ新選組共同代表)に対する懲罰動議が可決されました。今回の記事では、懲罰動議に対するくしぶち万里さんの身上弁明を文字起こししました。
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身上弁明 文字起こし
れいわ新選組のくしぶち万里です。ただいま議題となりました私を懲罰委員会に付するの動議につき、身上弁明を行います。
まず5月18日の壇上における行為について、議場の皆様にお詫びをいたします。国権の最高機関である国会において、言論の府として議会制民主主義の根幹を支える院の秩序とルール、これは本来尊重されるべきものであることに深く同意いたします。私としても考えに考え抜き、党の内部でも真摯な議論を重ねた結果、政治が暴走するその危機に対して、やむにやまれず今回の行動に至りました。
最後の決断として背中を押したのは、憲法の前文でした。国政は国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。言うまでもありませんが、国会議員は、国民の代表者として、この議場に臨んでいます。国民の厳粛な信託に本当に応えているのか。国民は福利を享受できているのか。私たちは国会の中でも外でも、常に国民のことを念頭において行動しなければなりません。個人の尊厳や健康で文化的な最低限度の生活が全ての人々に保障されるよう、国会は機能しているんでしょうか。平和主義を掲げた憲法の規範に沿って、国会で徹底した議論が行われているのか。全ての国会議員は公務員として、全体の奉仕者足りえているのか。今回もこのような自問自答を重ねました。先ほど述べましたとおり、院の秩序とルールは尊重されるべきものです。しかし国会における秩序とルールを守ることと、国民の代表として求められている行動との間に大きな齟齬が生じた場合にどうすべきか。今回の私の悩みは、すべての国会議員に共通するものではないでしょうか。
今から13年前の2010年5月12日内閣委員会で国家公務員法改正案の採決が行われたときどうだったでしょうか。当時野党だった自民党議員が委員長席の周辺につめかけましたが多くの方々がプラカードを掲げられておりました。中には天下り根絶をなぜやらないというプラカードもありました。再び自民党政権となって10年以上経った今、元事務次官や現役の航空局長など国交省ぐるみで天下りを強要してきた疑惑があることを考えると誠に興味深いものがあります。
2015年7月15日平和安全法制特別委員会はどうだったでしょうか。この時も野党だった民主党議員が強行採決反対といったプラカードを持って委員長席を取り囲みました。これらの時に委員室に無許可でプラカードを持ち込んだ人は今もこの議場にいらっしゃると思います。中には党の代表を務める方もいるかもしれません。あの時、議会の秩序とルールをを守らなくていいのか、そうした葛藤を抱えながらも、こんな法律は絶対に通してはいけない、何としても止めなければいけないと、国民の代表として求められている姿の方を優先させた結果委員長室での行動に至ったはずです。
ここで胸を手に当てて考えてみてほしいのです。あの時ほどの熱い思いで、今国民のために闘ってているのかと。もちろん国会は言論の府です。しかし委員会や本会議で反対を討論する正攻法だけではどうやっても止めることができない。そうした時にどうすればいいんでしょうか。選挙で勝って議席を増やし与野党の議席が拮抗して抗えれるようになるまでは、どんなに国民にとってひどい法律が作られても仕方がないと諦めるしかないのでしょうか。
岸田政権によって閣議決定で国の安全保障政策が大転換したり、東電福島第一原発の事故から12年しか経っていないのに、その教訓とした運転期間原則40年ルールを急に65年超えも可能としたり、国民のかけがえのない健康保険証、これを廃止しマイナンバーカードに一本化したり、迫害の恐れのある外国人を強制送還することを可能とするなど、今ほど危機的な状況はありません。さらにこの間防衛予算の大幅増の議論を進める上で後期高齢者の医療保険料の負担を増やす法律が成立してしまいました。失業給付などに使われる雇用保険料の労働者負担も引き上げ。コロナの五類化を受けて現在は無料としている検査や外来、入院時の費用に患者負担を求めることも決まりました。そして政府はさらなる負担増として子育て支援財源を保険料の負担増で賄う見込みです。こうした状況に対してれいわ新選組は委員会での質問はもちろんのこと、今年度の予算は組み替え動議も提出し、反対討論も行うなど徹底して議論で闘ってきました。限られた時間での質問は1分1秒を決して無駄にすることなく議論してきました。その上でたった一人の小さな力でも諦めずに国民の生活と命を守るためにできることは何かと考え抜いてやむにやれず行動に及んだというのが今回の経緯です。
今、特に問題なのは防衛財源確保法案です。5年間で43兆円の防衛費増額を行うためのものであり、その使途はアメリカから言い値で大量の武器を買い、復興税の流用で被災地を無視した挙句、苦しんでいる国民に増税を押し付け日本を戦争経済でボロボロにさせる。絶対にやってはならないものです。また防衛産業基盤強化法案も論外です。これは単に国内防衛産業の衰退防止だけではなく海外への武器輸出を国が支援する内容や、戦後初の防衛産業の国有化を可能にする条項まで盛り込まれた、日本が複合的に軍需産業の促進に突き進む恐れのある極めて問題の大きい法案です。この国に生きる人々の暮らしよりも日米防衛協力の強化にお金が流れ、防衛装備品の輸出の支援によって日本全体が戦争経済化していく。すなわち死の商人となりかねません。安保3文書によって平和国家としての日本のありようが180度変わり、専守防衛は脅威対抗型の安全保障制約と形を変える。敵基地攻撃能力の保有を可能とし、日米一体化のもと米国が始める戦争の最前線に沖縄が、日本が立たされることになります。その時の壊滅的な被害を今でさえ苦しむ国民の暮らしのことをわずかでも想像して、これら予算や法案の採決に臨んでいるんでしょうか。
確かに我が国の周辺の安全保障環境は厳しさを増しています。しかしそれに対して武力には武力を、核兵器には核兵器をのごとく防衛能力を拡大し、さらには核抑止の拡大や核シェアリングが進んでしまえば日本を含む北東アジアが核軍拡競争の新たな引き金の地域になりかねません。私は昨年ウィーンで開かれた核兵器禁止条約の第1回締約国会議に出席しました。そこには集まる国会議員会議でその懸念を伝えたところ、NATO加盟国の議員からは日本で核共有の議論があるというが、核兵器がシェアされることはありえない。核保有国の兵器が押し付けられるだけで、押し付けられた側には何の権限も与えられないという声がありました。そして会議声明では核抑止と核シェアリングを安全保障政策として正当化する動きを深刻に懸念すると表明が出されています。
また先日は超党派で構成される北東アジア非核兵器地帯条約を推進する国際議員連盟のソウル会議へ先輩議員の先生方と参加し、韓国の国会議員と議論をしてきました。朝鮮半島でさらに高まる危機を共有し、今こそ、この北東アジアを、核の傘から、非核の傘にしていく努力が必要であることで一致し、地域に共通の安全保障の枠組みを作る、その努力をしていこう、その必要性を確認し合いました。平和憲法と、非核三原則、これを持ち唯一の戦争を被爆国である日本が、二度と戦争せず、国の確かな安全保障と、地域の平和と安定に貢献できる道は何か。アメリカに追従するだけではなくて、時代の危機感を共有する全ての人と、知恵と力を出し合い、もっと国会で真剣な議論を尽くし、国民の命と尊厳を守るために、私はあらゆる努力と行動をしていく決意です。
そして今何よりも政治がやらなければいけないことは、この国に生きる今苦しんでいる人々を救うことです。我が国は30年も賃金が上がらない。日本だけが経済成長していません。コロナになる前から生活に苦しいという人が54%。母子世帯では87%。また子供の7人に1人が貧困と、G7ではアメリカに次いでワースト2です。さらに年金支給額がどんどん減らされた結果、年金だけで生活している高齢者の数、年金だけで生活していると答えている高齢者は今や4分の1以下になってしまいました。その上にコロナと物価高でいわば三重苦といえる非常事態に国民生活は陥っているんです。実質賃金は12ヶ月連続でマイナス。昨年1年間に自ら命を絶った人たちは全国で2万1,881人。小中高生の子供の自殺者は過去最多の人数を記録しました。これから夏が始まるのに電気代が最大40%の高くなるなど国民を熱中症で死なせてしまうのですか。秋にはインボイスでフリーランスや事業者に増税を課して廃業させてしまうのですか。少子化対策で社会保険料の負担増とすれば子どもはますます減っていくでしょう。そうなれば国家自滅の道です。またなぜ海外の輸入を守るために牛を殺し酪農家を離農させてしまうのですか。食料自給率はたったの38%。余った乳製品を政府が買い取ってそれを生活の苦しい人々に配る救済策を行えばいいではありませんか。食料も自国で確保できない政権に、安全保障を語る資格があるのでしょうか。砲弾あるけど食料がない。それは先の大戦の歴史の教訓ではありませんか。アメリカから武器を爆買いし、ミサイルや銃はそろえるけれど国内に目を向ければ86歳のお年寄りがコンビニでおにぎり1個万引きして逮捕される。それが今の日本社会の現実です。
細田議長:
くしぶち君、身上弁明の範囲を超えていると思いますからご注意を願います。
くしぶち万里:
このような状況は私はあまりにもおかしすぎると思います。なぜ政府は防衛費倍増に素早く財源を確保するのに、国民や事業者や酪農家を救うために財源は確保しないんでしょうか。なぜ原発推進のために大量の新たな国債を発行するのに、子どもたちのために少子化を克服するために積極財政で人に投資をしないんでしょうか。やればすぐできるんです。本気になればやれるのです。それが岸田政権の財政運営で分かったのですから、徹底的に野党が一丸となって、この国に生きる全ての人々の権利と生活を守るために闘おうじゃありませんか。それを国会の中でも外でも可視化できるように行動を起こそうじゃありませんか。そして日々の生活に追われ厳しい現場を必死に生き抜いている人たちと手を取り合い政治を変えていく、これが民主主義ではありませんか。それをリードするのが国民に付託された国会の役割、国会の現場を知る議員の務めであると信じて行動してきたのが、繰り返しますが私の今回の行動の真意であります。
私は今回のことを機に自分が最初に政治を志したこと時のことを思い出してみました。NGOで17年間人道支援や平和構築の活動に携わり、友人にも血縁にも政治家の全くいない環境で育った私が政治を志した理由。それは政治の力で命を救えるからです。戦争をさせない。貧困で苦しむ人に手を差し伸べる。環境破壊を止める。すなわち全ての生きる力を支えることのできるのが政治である。そう信じてこの世界に飛び込みました。もう一つ理由があります。世界80カ国の現場を行きながら気づいたのは、日本が先進国でありながらほぼ一党の長期政権が続いて政権交代の文化がない、つまり健全な民主主義が機能していないということでした。そして独裁や軍事政権から民主政権、これを樹立した他国の人々や成熟した民主主義が確立している国々の人々と対話をして気付いたことがあります。それは闘う野党がなければ民主主義は機能しないんだということです。
今回G7サミットが開かれました。自由と民主主義の価値を共有するとしているG7の中で政権交代の政治文化が定着していないのは日本だけです。選挙があれば民主主義なのではありません。民主主義の目的は政治が常に国民の手の中にあるということです。そして政治は常に国民のことを考えているという状況にあることです。選挙があるのに政経交代がないということは選挙そのものが目的化、政治化していることであり、闘う野党の不在が民主主義を後退させこの日本を衰退させてきたのではないでしょうか。歴史の大きな転換点に国民から付託を受けた国会議員として、私は改めて今一度勇気を出して議員の皆さんに呼びかけます。闘う野党を復活させ、苦しんでいる国民の生活と命を救おうではありませんか。日本の民主主義を正常化させて政治の暴走を止めようではありませんか。闘う野党の復活、それ以外に政治の暴走、国家の衰退を止める手段はありません。
最後にケネディ大統領の言葉を紹介します。我々は真に勇気のある人間であったか敵に対抗する勇気のほかに必要な場合には自己の仲間に対しても抵抗する、それだけの勇気を持っていたか。私の壇上での行動に、なぜ連帯すべき野党まで批判したのかと問われることがあります。しかし冒頭に述べた通り国会議員は国民の厳粛な信託を受けています。真の連帯とは単なる仲間意識によるものではなく、国民の信託によってつながるべきものであると考えます。ならば仲間である野党が国民の信託に…
細田議長:
くしぶち君。すでに相当の時間を経過しております。結論を急いでください。
くしぶち万里:
ならば仲間である野党が国民の信託に十分に応えていないと判断した時には、仲間に対しても抵抗することこそ自己に与えられた役割ではないでしょうか。議会のルールや秩序も重要ですが、本当に応えるべき国民の信託であるとの意識を呼び覚まし、闘う野党の復活、そのことに少しでもつながるものではないか、こうした考えに基づく行動でありました。
以上、行き過ぎた面があった点は改めてお詫びするとともに、やむにやまれぬ行動であったそのことをぜひともその真意をお汲み取りいただき、そうお願いいたしまして私の身上弁明といたします。
身上弁明に至るまでの経緯
4月18日
・れいわ新選組【声明】「安保3文書」関連2法案の採決に強く反対する
5月12日
・本会議
【法案阻止】財務金融委員長塚田一郎君解任決議案(立憲・共産提出)の採決
大石あきこ議員、壇上で紙を掲げる
自民・公明・維新・国民などの反対多数で否決
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・れいわ新選組【声明】「闘わない野党」への檄(げき)
5月18日
・議員運営委員会理事会
大石あきこ議員に厳重注意
・本会議
【法案阻止】財務大臣鈴木俊一君不信任決議案(立憲提出)の採決
くしぶち万里議員、壇上で紙を掲げる
自民・公明・維新・国民など反対多数で否決
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5月19日
・財務金融委員会
防衛財源確保法案【売国棄民法案】の採決
自民・公明など賛成多数で可決
・くしぶち万里議員への懲罰動議提出
自民・立憲・維新・公明・国民の与野党5会派共同提出
5月23日
・本会議
防衛財源確保法案【売国棄民法案】の採決
自民民・公明など賛成多数で可決
5月25日
・本会議
議員櫛渕万里君を懲罰委員会に付するの動議
くしぶち万里議員による身上弁明
自民・立憲・維新・公明・国民など賛成多数で可決
「15分の身上弁明 その真相」
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