現代における最強の営業タイプ?「チャレンジャーセールスモデル」とは?
皆さんこんにちわ。突然ですが営業職の方にお伺いします。
「あなたはどんなタイプの営業パーソンでしょうか?」
営業職に携わる方にも色々なタイプの方がいると思います。今まで私の記事では主に顧客と関係構築することの大切さやそのために質問力を高めるような内容のものを多く作成してきました。そのような内容とは真逆の(?)内容を今日は記事にしていきます。それがこの【チャレンジャーセールスモデル】です。
これは2015年に発売されたマシュー・ディクソンさんとブレント・アダムソンさんが二人で書かれたチャレンジャーセールスモデルという本からの記事になります。4年間で90社6000人に上る大規模徹底調査で判明した不況下でも上昇する販売のスキル・行動・知識・態度について説明されています。本書は全米で40万部以上売れ、10カ国で刊行されている世界的ベストセラー本です。Amazon の入社試験での課題に用いられたこともある営業関係者だけにとどまらず、管理者ビジネスマンにも必読の書籍です。
複雑化する法人営業において売れる営業担当と売れない営業担当との業績差は拡大しています。この事実は今までなら有効とされていた営業の原則、すなわち人間関係構築や顧客ニーズの深い理解や営業行動の効率化などが効果を失ってきたことを示しているそうです。1昔前までは有効とされていた御用聞き営業が効果的ではなくなってきました。ではどうすればいいのか、本書はこの問いを解決するために大規模調査を実施し、新しいセールスモデルとして提唱されています。それがこの【チャレンジャーセールスモデル】なのです。
実は私の考えとは少し違う部分もあります。なぜならば業界や業種による違いがあること、又日本人の性質と少しあわない箇所があるからです。只、世界的に指示されている考え方でもあるため勉強のため私も読ませていただきました。全てではありませんが必要とされる箇所ももちろんありますし、業界や業種によってはばっちり当てはまる方も当然いらっしゃると思いますのでそういう観点でぜひ最後まで読んで頂きたく思います。
チャレンジャーセールスモデルとは何か?
チャレンジャーというモデルはすべての人に必要で人を動かすための必見の方法であるということです。この本では販売のスタイルが五つに分けられています。どんな時代でも再現性が高くセールス力を高めることができるのがチャレンジャーというモデルです。
ズバリ言うと押し出しが強いタイプです。顧客のためには市場をよく調べ、顧客の考え方に強く働きかけること、そして競争力アップのためにずけずけと指導していく、そういった自己主張のはっきりするタイプが実はセールスの成績が良いということがわかりました。
今までの営業というのは顧客との関係性を重視することが大事だとされていましたが、今回の販売員に対する大規模調査でそれは誤りであるという事実が本書に記載されていました。
この本の著者をご紹介していきます。世界有数のアドバイザリー会社CEBにおいて、マシュー・ディクソンさんはエグゼクティブディレクターを、ブレント・アダムソンさんはマネージングディレクターを務めています。CEBは数千社に及ぶクライアント企業の成功事例先進的な調査手法人材分析を組み合わせて経営陣に事業改革のための知見やソリューションを提供してる会社です。その独自のアプローチで世界中のエグゼクティブから注目を集められています。本書の内容は実に4年間にわたる綿密な調査結果によってまとめられている内容です。
ポイント1:販売員は全部で5つのタイプに分けられますが、景気の良し悪しに左右されずまたセールス内容が複雑化しても高いパフォーマンスを維持できるのはチャレンジャータイプの販売員だけである。
ポイント2:チャレンジャーは顧客に寄り添うのではなく指導・適応・支配の能力によって適切な緊張関係を築き上げる
ポイント3:商談直結型の指導。トークの流れを身につけることによって顧客から絶大な支持を得ることができ、商談を圧倒的に有利に進めることができる。
ポイント1:5つのタイプ別販売員とは
■ハードワーカータイプ
常にもうひと頑張りする。簡単に諦めず自発的。フィードバックと能力開発に関心が高いタイプ。
■チャレンジャータイプ
常に違った見方をする。顧客のビジネスを理解している。議論好き。顧客に強引に働きかけるタイプ。
■関係構築タイプ
親しみやすさとサービス精神が売り。他人を助けるのいとはない。誰とでもうまくやれるタイプ
■一匹狼タイプ
自身の直感に従う。自信家。管理しにくいタイプ。
■細かい問題解決タイプ
頼られたらセール中でも人助けをしてしまう。全ての問題を解決する。細部に気を配るタイプ。
これら五つのタイプの販売員は何も平均的な成果なら十分あげる言葉やっていきます。しかしハイパフォーマンスを上げることができたのは一部のタイプに限られていました。今まで販売員のあるべき姿とされていたのは三つめの関係構築タイプでした。彼らは顧客との間に有効な関係を築き上げ、緊張を解きほぐすことで契約に結びつけます。しかし調査の結果わかったのはこの関係構築タイプの販売の中にはハイパフォーマーが極端に少なく全体の7%を占めるにすぎないということでした。その傾向は営業内容が複雑になればなるほど顕著に現れました。近年では商品を単体で売るプロダクト営業はほぼすたれ、複数の商品を組み合わせて売るソルーション営業が主流となっています。関係構築タイプはこうした営業下ではほとんど力を発揮できません。
逆に力を発揮したのはチャレンジャータイプの販売員でした。彼らは関係構築タイプとは対照的な特徴を持っています。チャレンジャーは顧客との間に建設的な緊張感を築き、時には厳しく決断を迫ることもあります。しかしその振る舞いによって彼らは顧客からの信頼を得て景気の好不況にかかわらず成果を出し続けています。さらにソリューション営業は彼らの独壇場です。複雑な販売環境でのハイパフォーマーのうち、実に54%がチャレンジャーなのです。もちろんチャレンジャーだけが高いパフォーマンスを出せるというわけではありません。次にハイパフォーマーの比率が高いのは一匹狼タイプの販売員です。しかし彼らはルールにとらわれず自由に行動しており、その特徴を再現することは厳しいし管理が難しいのです。そのため組織の中にチャレンジャーのノウハウを根付かせることが営業成績を向上させる最も効果的な方法です。
ポイント2:チャレンジャーが実践する適切な緊張関係を築き上げる方法とは?
チャレンジャーの能力は指導・適応・支配の三つに分けることができます。このうちチャレンジャーを他の販売員と差別化する要因となるのはまず指導です。チャレンジャーは顧客が市場で戦うためのまだ気づいてない問題点を教えることができるという点で他の販売と決定的に異なっています。
著者らが行った顧客がB to Bの売り手に何を望むのかという調査によると顧客が最も重視するのは営業体験でした。もちろんブランドや製品サービスも重要ですがそれは顧客ロイヤリティの38%にとどまっています。顧客は
”どこの会社の製品も同じ”
だと思っているのです。だからこそどのような営業体験を体験できる海が顧客に自社を特別な存在として扱ってもらえるのかその分かれ道となるのです。お客様が価値を置く営業体験を細かく見ていくと
「市場に対する独自の価値ある視点を提供してくれる」
「様々な選択肢を検討する助けになる」
といった内容が並びます。つまり顧客は何かを変えたいのではなくて何かを知りたいのです。今までの販売員は顧客のニーズを引き出す質問力を鍛えていました。しかし実は顧客は自分自身のニーズを自覚していない可能性があります。だとしたら顧客のニーズを尋ねるのではなくてニーズを教える必要性があります。求められているのは一流の質問者ではなく一流の教師としての振る舞いだということです。
チャレンジャーの特徴的な能力で次に重要なのが三つ目にある支配です。これはこれまでの関係構築タイプの販売員と最も対照的な特徴です。緊張関係を嫌う関係構築タイプとは異なりチャレンジャーはお金の話をいとわず、また顧客に無理強いすることができます。支配は契約の段階になって初めて行われるものではなく、商談直結型の始動の最初の段階から行われなくていけません。そうしないと顧客はまだ気づいてない問題点だけを受け取って最後に
”やっぱり一番安い業者から買います”
というような行動を取られてしまう可能性があるからです。支配という言葉が誤解を招きやすいのですが、これはあくまで主導権を握れという教えであって顧客に対して攻撃的になるということではありません。強制的に商品を買わせたり無理くり心理学を使って相手を操作することでもないのです。あくまで主導権を握っておくということです。
よくある悪いパターンが
「せっかく築き上げた関係を壊したくない良好なうちに契約をまとめてしまいたい」
という気持ちがついつい販売員を消極的にしてしまうことです。プッシュするのに適切なタイミング逃してしまったことはあなたも経験があるのではないでしょうか。それでも顧客を支配しようとする勇気を持つためには顧客に提供する価値に絶対の自信がなくてはなりません。顧客に提案したまだ気づいてない問題点や自社の製品が本当に価値があるものだと確信があれば簡単に情報だけを提供したり悲しい値下げに応じたりすることはなくなります。この商品は価値に対して安すぎるという感情が大事なのです。だから商品に惚れておくという考え方はやっぱり重要ですね。顧客にとって本当に必要なことは何かを再確認することで顧客の関心を価格から徒歩に引き戻していくのがチャレンジャーの交渉術なのです。
ポイント3:商談直結型の指導とは
顧客の指導すると言っても無料のコンサルティングをするわけではありません。必要なのは契約を成立に導く指導です。それを著者は商談直結型の指導と呼んでいます。
商談直接型の指導にはいくつかのルールがあります。まず重要なのは自社ならではの強みにつながることです。どんなに立派な問題提示をしようとそれが自社の製品で解決不可能な問題であっては全く意味がありません。
そして二つ目は顧客の仮説を覆すことです。指導と言うからには顧客が知らない新しい世界観を示す必要があります。このとき顧客から
”おっしゃる通りです”
と言われてしまっては失敗です。引き出すべきは
”そんなことは考えもしなかった”
という反応です。チャレンジャーは同意ではなく気づきを促すことによって顧客を引き付けます。顧客との指導的な会話にも6つのSTEPがあります。重要なのはいきなり自社のソリューションの話をしないことです。
まずは市場や競合他社の抱える課題をいくつか取り上げ、市場やビジネスのことをわかっているということを伝えてるところからスタートし次のSTEPで進めることを推奨しています。
1:地ならし
2:再構成
3:裏付け
4:心を揺さぶる
5:新しい方法の提示
6:Solutionの提示
顧客が新しい方法の提示の解決策に十分納得していればソリューションの提示は問題なく受け入れられるはずです。商談直結型の指導の肝は2の再構成です。お客が自分でも気づいてない問題、しかも自社が競合他社よりもうまく解決できるものを見つけ出し提案できるかどうかにすべてがかかっています。
まとめ
この本では現代の最新のデータに基づき最も成果をあげているタイプを提示しています。皆様はどう感じられるでしょうか。私は記事を書きながら少しづつその意味合いを感じとれるようになってきた気がします。
もちろん冒頭にもお伝えした通り業界や業種によって少しニュアンスの違いがあることを前提に考えてみる必要があると思いますが、これは要するに
「もっと顧客と接点があることへの感謝を持ち、その瞬間の重要性を感じ、顧客のビジネス向上に責任を持ち、覚悟を持って営業に挑みなさい!」
ということなのではないかと思うようになりました。確かに日々色々なサービスを受ける側の立場として営業の方との接点のシーンを思い浮かべてみると、その物足りなさやもっとこういう点を聞いてくれたらいいのに、といったケースがよくあることに気づきます。
逆に私が最近した買い物で一番気に入った営業は家を買った時の方です。その時のことを思い起こすと確かにこのチャレンジャーの要素があったかもしれません。
指導や支配などの言葉がきつすぎるのであまり馴染めたい点はありますが、プロの目線で自分に合ったモノを熱心に提案してくれていました。
まさにこのタイプなんだと思います。只、やはりあまり押しが強すぎると引いてしまいますので結論、同時に相手に合わす関係構築力が必要なんでしょうね(笑)