《お仕立ての良し悪し》


私「社長。お仕立ての良し悪しって、パット見わかりものなんですか(?-?)」
社長「わかるわよ(ㆁωㆁ*)アタリマエ ジャナイ」
私「∑(°Д°)ノノ サスガデスネ」
社長「いや、そこ、驚くところじゃないから(ㆁωㆁ*)コラコラ」
私「私が見て、わかりものですか?」
社長「ポイントはいくつかあるんだけど……爪と裏が一番わかり易いかな?」
私「爪っていうと、石留めしているアレですよね?」
社長「そうよ(ㆁωㆁ*)」
私「私が見てもわかるものですか?」
社長「知ってれば小学生でも区別がつくと思うわ(ㆁωㆁ*)」
私「∑(°Д°)ノノ」
社長「えーとね、まず、爪が石から浮いていないこと。爪が留めている宝石にきちんと沿っていることね」
私「よく浮いているの見かけますけど(^_^;)」
社長「持ち込みの石をセットした場合なんか多いんじゃないかしら?」
私「なぜまた?」
社長「石割れを恐れて、きちんと爪を叩いて無いのよ、多分それは」
先生「石留めをするにはいくつかの工程があるんだけど、爪を石に沿わせるために、爪を叩くんだよ。でも、力加減を間違えると、割っちゃうでしょ」
私「た、たしかに。でも、割らないように加減できるのが職人さんなのでは?」
先生「割れなくても、割るリスクはあるよね。職人も人間だから、進んでリスクを取りたがらないんだよ」
私「(?-?)」
社長「石留めを依頼する人間が、石留めの際の割れのリスクを嫌って「爪を叩かなくてもいい」って考えていたり、「爪が浮いているのに気づかないような管理」をしていたりすれば、職人さんは進んで爪を叩かないわよね」
私「∑(°Д°)マジデスカ」
先生「職人も商売だから、文句を言われないなら、どんどん手を抜く。その手抜きが「爪留め」に出やすいんだよ」
社長「それと、テーブル面だけじゃなくて、ガードルを挟んでパビリオン側でも、きちんと爪が宝石に沿っているかを見てほしいわね」
私「と仰っしゃいますと?」
先生「通常、石をセットする際は、爪ドメ部分に「アゴ」っていう溝を切るんだけど、これがいい加減だと、パビリオン部分の爪と石が沿わない」
私「沿わない、ってことは」
社長「最悪、脱落するわね(ㆁωㆁ*)」
私「(≧x≦)ソレハ コマリマス」
先生「他にも、爪が、宝石の中央から延びる放射線状にきちんと沿っているかも重要だよ。曲がっていると、正しくホールド出来ないから、これも脱落の原因になる」
社長「勿論、セッティングがカービングなんかで、あえて計算づくで、デザインとして放射線から外す、場合もあるけど、結構例外だと思うわ」
先生「あとは、留め方と素材と石との調和がとれているか、だなぁ」
私「素材と石?」
社長「そう。少し前にダイヤの2点留めが流行ったのよ。石が中空に浮いて見える、ってデザインね」
先生「あれ、ダイヤ&プラチナ以外でやるの、僕的にはNGなんだよね」
私「何でですか?」
先生「そう低くない確率で、石が飛んでくから(^^;」
私「∑(°Д°)ノノ」
社長「プラチナの硬さ、ダイヤの硬さがあって初めて成立するデザインなの。それでもリスクが有る、ってくらい、不安定なのよね」
先生「ドコかで見たから、同じようなことができる、って判断するのは危ない。その危ないっていうのを把握できていないと、お客様の大切な石がドコかへ行っちゃう。僕らは、お客様を幸せな気持ちにすることでお金をもらっているのに、いい加減な判断でお客様を悲しませるようなのは論外だよね。石留めは、石を維持する大切な部分なのに、いくらでも手が抜けるからこそ、お仕立ての良し悪しを見るのに適した場所なんだよ」
社長「同じように、裏も手を抜こうと思えば抜けるから、手抜きをしたい職人さんや意識の低い発注者はあまり裏面を意識しないわね」
私「カンティーユが裏面を凝ってるのはそのせいなんですか?」
先生「いや、それは僕のポリシー(°∀°*)」
社長「目にとまる所すべて作品、って考え方ね」
先生「それにキレイな方がいいじゃない」
私「ですよね(^^;;」
先生「コピーする側が絶対割に合わないからね。差別化だよ(°∀°*)」
私「うわぁ……(言っちゃうんだそれ)」


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