秋のお出かけ お父さんが帰ってこない
17時半、母から電話がかかってきた。
「お父さんが帰ってこない」
またか。今年はこれで3回目だ。
母によると、16時に帰宅した時、父は家にいなかった。玄関の鍵は閉まっていたので、「家の鍵」は持って出かけたようだ、とのこと。
父が持っている「家の鍵」に付けているair tagの位置情報を確認してみた。父は実家から歩いて15分の地下鉄の駅の近くにいた。よし、捜索開始。
Alexaに気温を聞いてみると気温18℃。昨日までは冬のような天気だったが、今日は割と暖かい。父が寒さに震えているとかいうことはなさそうだ。
私は、夕食の準備の真っ只中だった。調理中の豚の角煮は、自動調理器ホットクックで「2時間」「煮物」に設定して、家を出た。角煮が出来上がる頃には家に戻ってきたい。
外に出ると、すっかり日が暮れて真っ暗だった。父がいるであろう駅までは、自転車で10分。駅に向かっている途中、母から電話があった。
「お父さんは、駅の近くの時計屋にいるかもしれない」
駅の近くのコンビニに自転車を停めて、時計屋に向かった。このあたりは、放置自転車の取り締まりが厳しい。本当は自転車置き場においた方がよいのだけど、今日のところは見逃して!急いでるんだ。
時計屋に父はいなかった。しかし、air tagの位置情報では、近くにいる。ずっと最終更新の時間が「たった今」と表示されている。ということは、父の周りに人がたくさんいる。
このあたりで人が集まっていて、父が行きそうな場所といえば・・・隣のパチンコ屋だ。絶対そう。ここ以外考えられない。パチンコ屋を捜索することにした。
店内をゆっくり歩きながら父を探した。店内を2周し、くまなく探し回ったが、どうしても見つからない。15分経過。でも間違いなく父は近くにいる。air tagがそう言っている。もしかしてトイレか?
近くにいた店員に、85歳くらいの爺さんが中にいないか、男子トイレを確認してもらった。閉まっている個室が2つあるとのこと。個室をこじ開けるわけにいかないので、出てくるのを待つことにした。
待っている間に店内を3周目の捜索。一人一人ゆっくり確認しながら、念入りに探したがやはり父はいなかった。
再び位置情報を確認した。父は移動していた。パチンコ屋を出たようだ。急いで自転車を停めているコンビニまで戻り、位置情報を頼りに父を追いかけた。
人通りが少ないせいか、air tagの位置情報の更新が鈍い。5分前にいた場所がわかってもそこに父はいない。父は今、家まで歩いて帰っている途中なのかもしれない。父の足でも30分はかからないだろう。母に電話して、お父さんが帰ってきたら連絡して、と伝えた。
あーもう!どうしよう?闇雲に探し回っても見つかりそうにない。人通りが少ない上に、暗くて誰だかわからない。自転車でゆっくり近づいていって、顔を覗き込んだりしたら、不審者だと思われそうだ。
18時半、母から電話がかかってきた。父が家に帰ってきたとのこと。やはり父はパチンコ屋にいたらしい。あれだけ探して見つからなかったのが不思議だ。
今回思ったのは、暗くなってからでは探せない、人が少ない場所ではair tagは役にたたない、ということ。今回は何もなくてよかったけど、こんなことしょっちゅうあったら、たまんないなあ。