自由を謳歌していた私たちが、親になる選択をしたときに観ておきたい映画3選
息子が明日で3歳を迎える。今このnoteを書いているデスクの片隅に飾っている産院で撮影してもらった写真を眺めながら、この3年間で子供がいるのが当たり前な生活がすっかりと板についたことを感じる。とはいっても、3年という月日はこれまでの人生を思えばほんの一ページどころか2〜3行の歴史なわけで、いまだにふと独身時代の自由を謳歌していた日々を恋しく思い出すあたり、私もまだまだ ”親初心者” である。
だからこそ、なぜだか時々「我が人生、この選択で良かったのだ」と思える作品に出会いたくなる。必要ですか!? そんな動機が!? と思われそうだけど、はい必要です。家族をテーマにした映画はたくさんあるけれど「親になること」をモチーフにした映画は意外と少ないからね。人生の大切なことは、ぜひ名作映画で学びたいのです。
というわけで。子育て中のパパママさん、たまには子供のいない人生を心のどこかでひっそりと妄想しているよ、という同志や、まさに妊娠中でなかなか夜に寝付けないあなたに今すぐ観てほしくて、Netflixやアマプラで観れる作品だけを選びました。
天使のくれた時間
大手金融会社の社長として、優雅な独身生活を謳歌していたビジネスマン(ニコラス・ケイジ)がある朝目覚めると、昔の恋人と子どもたち2人に囲まれたパパになっていた… とあらすじだけ見るとコメディっぽいけど、自分が選ばなかった方の人生を生きることで本当の幸せについて考えるというヒューマンドラマ。仕事命で子供なんてありえないと思っていた主人公が変わっていく姿、(やったはずのない)奥さんの誕生日パーティーでの自分の姿をビデオで見る姿、そして途中で(あれ… コイツ本当のパパじゃないな?)と気がついた娘が「あなたエイリアンでしょ?」「地球へようこそ」と語りかけるシーンが最高。ニコラス・ケイジのお茶目な表情たちもお見逃しなく。
2001年に公開された映画で、原題は「A Family Man」。結婚願望のない彼氏に観てほしい映画No.1。Netflix、アマプラにもあるよ!
クレイマー・クレイマー
何を今さら! と怒られそうなぐらい、名作中の名作。だけど何回観ても、翌日の予定をすべてリスケしたいぐらい泣く。1979年公開(41年前!)の映画なので、父親像・母親像がいかにもなステレオタイプなんだけど、専業主婦の奥さんから社会に出たいと離婚を突きつけられ、7歳の息子の子育てと仕事との両立に奮闘する父親の姿に胸が締め付けられる。そんな夫婦の養育権を争う裁判がストーリーの核になっているので、Mr.Kramer (vs) Mrs.Kramerというタイトル。私は長年、クレーマーの客の映画だと思っていた…。
文化的な背景はよく分からないけども、この時代に専業主婦の奥さんから自立を突きつけられるのはなかなかセンセーショナルだったんじゃないのかな。公開当時はアメリカで社会現象にもなったのだそう。
家庭を顧みなかった父親が、息子との生活を通じて絆を強くしていく姿に心打たれる…。『天使のくれた時間』もそうだけど、父親にこそ観てもらいたい映画。というわけで私も2人目の子の出産で、一週間ほど上の子を旦那さんに託さなければいけないときに観てもらった。予想どおり号泣して、翌朝の朝食はフレンチトーストだったそう。
若かりし頃のダスティン・ホフマンとメリル・ストリープを心ゆくまで拝める名作映画。Netflixにあるよ!
タリーと私の秘密の時間
これ、実はつい先週観たばかりなのだけども、この映画を観て「あーーー これはきついな」と思ったゆえ、このnoteを書こうと思ったのだ。
仕事、家事、2人の子供の育児と一人でこなしてすでにぶっ倒れそうな状況の中、さらに3人目の子供が産まれて、ついに心が折れた主人公のマーロは夜間だけのベビーシッターを雇うことに。この若いシッターさんの名前がタリーというのだけど、若く自由奔放なタリーと絆を深めていくうちに、マーロもようやく本来の輝きを取り戻すという素敵なお話… のように見えるんだけど! もちろん何も言わずに観てほしい。
ストーリーどうこう語るよりも、この映画のリアリティに本当に胸が痛む。多分観る人によっては、産後数ヶ月の辛さがフラッシュバックしてしまうので要注意だと思う。うつらうつらしながらもようやく搾乳したばかりの母乳をうっかり床にぶちまけてしまうシーンは心の中で泣いたし、寝かしつけトントンしてようやく寝入ったかなというときにうっかりスマホを赤ちゃんの顔に落として起こしてしまうシーンとか、自分にしか見えなかった…。こうして書いてるのもキツイ。この映画で映し出される母親の姿は、育児参加していない父親は見たことのないものばかりだと思う。是非、夫婦で観てほしい。
この映画のために、主人公のマーロを演じるシャーリーズ・セロンは18kgも増量したのだとか。出産直後のオムツ姿、自分でも嫌になるような変わり果てたスタイル、旦那とはセックスレスでお色気っぽいリアリティショーを深夜に一人で観ていたり、若く自由奔放なタリーを見て「私にもそんな時代があったのよ」と小言を言ったり… この作品ばかりは「親になるって最高!」なんてとても言えないのだけど、綺麗ごとばかりではない ”親になること” のネガティブな面を、コメディではなく、ちゃんとシリアスに描いてくれてる貴重な映画だと思う。
あとワンオペ育児させてる夫役が、SATCに出てくるポストイット男こと、バーガーです! SATCでも嫌われ役だったのにこの映画でも… それだけ良い味出してる俳優さんってことよね。
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というわけで、自由を謳歌していた私たちが、親になる選択をしたときに観ておきたい、もとい「旦那に観せたい」名作映画を3本ご紹介してみました。まじで観てくれ!!!
明日は、息子生誕祭で水族館へ行ってきます。独身時代に着ていたあの可愛いワンピースは、授乳もしづらいし体型も変わり果ててしまったし、もう着れない。だけど長い人生だからね。大慌てで毎日を過ごしている間に、あっという間に子供も巣立ってしまうのだろうから、たっぷり心ゆくまで、子供たちとの時間を楽しむよ。
ここで紹介した映画たちは、二十年後には、子供との時間を懐かしむ映画に変わっているなんて、不思議なことね。