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「結婚」は免罪符になるのか。
この記事では性行為に関する話題を取りあげます。
生々しい描写などは出てきませんが、苦手な人はお控え下さい。
結婚を前提としたら、許されるのでしょうか?
そんなことを感じさせるこんなニュースがありました。
https://bunshun.jp/articles/-/45721
18歳未満の女子高生にわいせつな行為をしたとして神奈川県警は5月19日、県青少年保護育成条例違反などの疑いで、駒澤大4年のA容疑者(21)を逮捕した。
駒澤大学の駅伝部のランナーで今年の箱根駅伝でアンカーとして走った選手の彼に対しては、
箱根駅伝に臨むランナーとしてどうなのか、また未成年と関係を持ったことはどうなのか、といろんな議論が起きています。
・"健全な常識を有する一般社会人"
この文章ではその是非については触れませんが、神奈川県青少年保護育成条例で禁止している<みだらな性行為>とは以下の通り。
「みだらな性行為」とは、健全な常識を有する一般社会人からみて、結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交
を言うのだそうです。
この31条は「何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない」と規定しています。
なんだかモヤモヤ、後味の悪い条文だと思いませんか?
読みようによっては"健全な常識を有する一般社会人"からみて、"結婚を前提として欲望以外の理由がある性交"であればみだらな性行為とは言えないのだそうです。
・自己紹介
と、ここで自己紹介をはさみます。どんな背景の人間か分かってもらった方がこのあとの文章が読み進めやすいかなと思いまして、簡単にですが。
私、れいすいきと申します。
他人に対して恋愛感情を抱くこともなければ、性的に惹かれたなーという経験もない、そんな人生を歩んできました。
性別は男で、20代後半。男性にも女性にも恋愛的な感情で「好き」と思ったことはありません。
そんな私はAセクシャル(アセクシャル、ace)で、おそらくAロマンティック(アロマンティック、aro)だと自分自身を定義しています。
そんな自分はこの話題に怒ったり、悲しんだりしているわけではありません。
ただ、とにかくモヤモヤするんです。違和感とでも言いましょうか、言葉が出てこないけど、感覚的に何か違うと脳が信号を出している。そんな状況なので、何に違和感を覚えているか、言葉にしてみたいと思います。
・健全な常識ってなんですか?
まずは"健全な常識を有する一般社会人"です。
これ、誰なんでしょうか?
やや、ぶっきらぼうな言い方をしてしまいましたが、多くは1対1となる恋愛関係において、他者と言える一般社会人の価値尺度が判断基準としてふさわしいのでしょうか?
一般社会人の中には結婚をする前にキスするなんて!という人もいれば、出会ってその日に性行為が当たり前という人もいそうです。
健全な常識が何を指しているのかよくわからないですが、
仮に成年同士の関係の場合、結婚を前提とせず性行為をしている人も一定数いるように感じます。その人たちは健全な常識を有していないんでしょうか?
であれば、健全な常識を有する一般社会人はどれくらいいるのでしょうか?
・結婚を前提としていた、としても。
"結婚を前提としない単に欲望を満たすためにのみ行う性交"。
さきほど自己紹介でも述べた通り、性交をしたいと思わない、"欲望のない"人間からすると、その行為自体が欲望を満たす以外の何物でもないのでは?と考えています。
もちろん事情があり、おこなっている人もいると思います。関係性を続けたい、出産を望んでいる、という理由で、欲望はないけど、するということは考えられます。
では、結婚を前提として、欲望以外の理由がある性交であればOK、なんでしょうか?
そこも、なんだか少し腑に落ちないところがあります。
結婚を前提としても、パートナーのうちどちらかが性交は嫌だな、したくないというケースもあると思います。でも関係性を壊したくない、子供が欲しいという場合、条例はこの未成年を保護してくれるんでしょうか?
逆に結婚の意思はなく、性交をしたいという未成年と付き合っているパートナー(成年)にはこの条例に抵触しますが、性交に強い意志を持っていた未成年は保護されるべき対象なのでしょうか?
そんなに文句言うなら、他に良い基準があるのか、と言われてしまいそうです。
この基準を代わりにこういう案を取り入れてほしいとか、そういう思いはないんです。あるのはただ、結婚や恋愛に線引きをして何になるのか、という疑問だけなのです(この文章自体が、線引きしているという自己撞着もあるのですが…)。
・未婚/既婚という線引き
例えば未婚/既婚という線引きがあります。未熟さを含意している"未婚"という言葉に個人的には拒否感があるので、「独身」と言い換えさせてもらいますが、
既婚者というのは
・結婚式で
・パートナーが体調悪くて
・パートナーが転勤となって
・子供が生まれて
・子供が熱が出て
という理由でさまざまな行動が制限されます。そのために会社も休みや働き方を柔軟に変えてくれます。自分の身の回りでもパートナーとの結婚を機に山梨辺りに移住し、リモートワークで週1の勤務となった人がいました。
では独身の人はどうでしょうか?
・自分の誕生日で
・彼氏に熱が出て
・彼女が転勤となって
・山梨に住みたい思いが生まれて
・弟のように可愛がっている友達が体調悪くて
僕の想像も入っていますが、「休んでいいよ」「働き方を変えていいよ」とは言われない気がするんです。
結婚を前提とした時には周囲が理解し、動いていく。その差に結婚そのものの力みたいなものを感じます。
もちろん、独身は家族もいなく、責任に負われることのない気軽な存在で、当然のことなのかもしれません。でも、どうしてもこんな考えが浮かんできます。
結婚を前提としたら許されるのか。
全く別の話題のはずなのに。
"許される"の軽重も違うはずなのに。
神奈川県の条例を見て、そんな同じ言葉が再び自分の脳内に出現しました。
そして自分は、働き方における独身者と既婚者の差に少しわがままな考えを抱いた自らの存在を思い出して、モヤモヤとしてしまったんです。モヤモヤする話で、すいません。
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