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2025/01/20 おれが、おれたちがジーンだの湯
機動戦士Gundam GQuuuuuuX-Beginning を観てきた。
Beginningとして切り取られ上映されたTVアニメ3話分で一つの作品を形作っており、バンダイ・サンライズがガンダムで為してきた功罪、経済活動に対する自己批判的な作品であったと思えた。
ファーストガンダムの1話において、功を急いて軍規に背き、ガンダムを破壊しようとしてアムロを覚醒させてしまったジオン兵、ジーンが居なかったら? このシーンをシャア・アズナブル直々の潜入に置き換え、結果アムロは登場せずガンダム鹵獲に成功するストーリーから物語が始まる。
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庵野秀明らしい原作再現度、BGMと効果音を効果的に、現代的な画面づくりに適応させて全く陳腐にさせず、感嘆と笑いに繋げる様はやはり見事と言わざるを得ない。シャアが「5倍以上のエネルギーゲイン」と発するあたりなど、ツボを抑えており笑ってしまった。
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何と比較して5倍なのか、ゲインとはなにか。
分からないが言いたくなる「5倍以上のエネルギーゲイン」
そして正史の並行世界であることを丹念に描いたうえでの数年後、二人の主人公が出会う。
その一人は黒髪ロングヘアーのクールビューティー、ニャアンであるが彼女は難民でありバラックに住まい、非合法の運び屋のバイトをしている。
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舞台となるコロニーは、現在の日本にわかりやすく寄せている。その中で一番心を刺すのが、身なりは汚れておらず見た目麗しく、一見不自由なさそうな外見のニャアンが難民であり生活は困窮し、闇バイトをしているということだ。SFの世界での運び屋というとある程度ダークでスタイリッシュに描かれるものだが、それがない。とても地味で湿っぽく、客や胴元に恫喝され、辛酸を舐める様が描かれる。また彼女の乗る自転車が、ボロボロであったり。その制服は通っている高校のものではなく、学生ですらないことなども明かされていく。
彼女が現在の日本、日本の若い世代の鏡のように映る。彼女を描くこと、彼女が生きるコロニー、世界を描かんとする覚悟。それは警察のザクが、捜索において意図的に難民バラックを破壊していくシーンでより鮮明になる。
ガンダム00で、当時の中東と世界情勢を反映した世界を描いたのとはまた違う。
他のロボットアニメで消費された、「侵略占領された未来の日本」を描くこととも違う。
自国の今現在の、隠しきれなくなった目を覆いたい状況を描くこと。アニメがアニメであり、まして舞台が遠い宇宙コロニーであるならば描く必要は本来どこにもない。ガンダムという究極の現実逃避を欲し、観ている消費者への意趣返し。
ガンダムの怖さは、その偉大さ故に閉塞性に無自覚で居させる力である。ガンダムの派生作品を観ている限り、ガンダムの原点との差異を無限に考察し、無形の「ガンダムらしさ」を追って憤る事ができる。ガンダムを観ていればガンダムの中に居続け、現実を忘れている事ができる。
その、ガンダムで現代日本を投影する意味。「機動戦士」ガンダムで行うことの意味。そして、庵野秀明が手掛けるファーストガンダムの、巧妙精緻な公式パロディを消費させた直後に突きつける意味。
ガンダムの誕生以降だろうか?あるいはエヴァンゲリオン以降だろうか?
作り手は同人活動的なものを喜んで生産し、消費側も喜んで消費してきた。動物的にパロディを生み、育て、その夢の中で死んでいく。その結果が今の日本だ、というのを見せる構成なのではないか。
呑気にシャアが5倍のゲイン言ってら、と客席でふんぞり返りニチャニチャ笑う自分のような人間が、個人の自由を合言葉に消費を貪ってきた結果が、今の日本なのではないか。
庵野秀明が描いたアムロの居なかった宇宙世紀は、ガンダムの無い、富野由悠季が居なかった日本は今どんな国だったのだろうかという思いに変換される。
余談:音楽について
劇伴好きでした。早くサントラ出てほしい。エイフィックスツインっぽかったり、あとゲーム「ミラーズエッジ」のスコアを思い出した。ちょっとパルクールっぽい要素もあるしね。サントラ出るまでこのあたりをローテしていよう。
米津玄師がメインOPなのには違和感がある。彼は「庵野秀明」側というか、既得権益側であり、もはやニャアンや若い子達に寄り添うアーティストではないと感じた。彼の神通力は一旦「チェンソーマン」で終わったと思うし、時代は次のアーティストを欲している。
星街すいせいの曲はすごく良かった。どちらかというとヴォーカル部分よりミニマルテクノとしての評価ではあるが、なんにせよ良い。早くシングルが出てほしいのだが。