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レコード屋さん(CDショップ)と私

昭和49年近畿の田舎生まれ女子の私が通ったレコード屋さん(CDショップ)の思い出をつらつら書いてみます。

親に連れてってもらってた星電社

兵庫県出身のアラフィフ以上の方なら「あーー!!」となると思う。かつて、星電社(Seiden)っていう家電量販店がありました。
三宮本店を中心に、バブル期にはかなりの地方にまでSeidenの店舗が進出していた。兵庫県民が歩けばSeidenに当たるくらい。そして、レコードやカセットも充実していた。
音楽好きの父の車で、買い物途中によく立ち寄った。チェッカーズ「絶対チェッカーズ」を買ってもらったのもここだし、兄がハウンドドッグ「フォルテシモ」、TOM☆CAT「ふられ気分でRock'n'Roll」とかのシングルレコードを買うのに倣って、自分もJANGOというバンドの「パッション・フルーツ」のシングルレコードを買った(この曲をご存じの方は素晴らしいです)のもここ。
時には足を延ばして三宮本店に連れてってもらったこともあった。チェッカーズの変名バンド・CUTE BEAT CLUB BAND「親愛なるジョージ・スプリングヒル・バンド様」のカセットをわざわざ電話予約して取りに行ったのもここだ。レコードやCDだけじゃなく、父がステレオを買い替えたのもここ。現在に至る音楽ファン生活の土台を作ってくれたお店だったかもしれない。

一応、地元のレコード屋さん事情も

近所にレンタルレコード店ができたのが小学5年生くらいの頃。兄が通い詰めて、渡辺美里とかのレコードを借りてはカセットテープにダビングしていた。
レンタルレコード店はすぐつぶれてしまい、家から歩いて1kmくらいのところにできたスーパーの中のレコード店に通うようになるが、いかんせん子どもの身にはなかなか、3,200円のCDは敷居が高かった。
そう、レコードやカセットからCDへと移行したのが1989年頃。初めて買ったCDはプリンセス・プリンセス「Let's Get Crazy」だった。音の良さと使い勝手の良さに夢中になり、「レコードやカセットなんてもう終わりだね」と思い込んだ。何十年後かにレコード復活の時が来るなんて夢にも思わなかった。
高校生になると、最寄り駅の中にCDショップができるとともに、家から少し歩いた場所にレンタルCDショップができた。いずれもチェーン店でも何でもない、地方の小さなお店。すぐつぶれた。ちなみにこのCDショップで初めて買ったのはレピッシュのキーボーディスト・上田現の1stソロ「コリアンドル」、レンタルCDショップで初めて借りたのは たま「さんだる」だった。

外資系CDショップで買いまくり

1993年に神戸の大学に入学した私は、当然のようにCDを神戸で買って帰るようになった。
当時、ハーバーランドにあったWAVE、三宮ならタワーレコード、HMV、ヴァージンメガストア。
折しも小室系、渋谷系ブームで、CDが一番売れていた時代。一番のお気に入りだったヴァージンメガストア(BAL地下1階)で、ポイントカードを年内でいっぱいにするくらいCDを買いまくった(1年で5万円分は買ったということだ。洋服とかコスメとかアクセとか本とか他に買うもんあるだろうに。彼氏も出来んと……)。
1994年の12月頃。いつものように立ち寄ったヴァージン。そこであるコーナーに目が釘付けになった。
中川勝彦さんの特設売り場。
9月に他界していたことを、そこで知ったのだった。
小学生の頃に勝彦さんのファンだった私は打ちのめされ、取り急ぎ置いてあるCDを全部買い、後日ヴァージンに電話をかけ、廃盤となっていた旧作が復刻される予定はあるかと問い合わせた(我ながら厚かましいが、ネットやメールがなかった頃はこんな手段しかなかったのだ)。
勝彦さんの一人娘・しょこたんこと中川翔子ちゃんの存在を知ったのは数年後のこと。生き写しのように美しいしょこたんを、以来ずっとひそかに応援している。

中川勝彦「Skinny」。
なんと2024年2月、勝彦さんの音源が一挙サブスク解禁! 時代がついに勝彦さんを見つけた……(感慨)。

インストアイベントは楽し

ブラック企業に就職し、成績不振を主な理由として名古屋本社で研修を受けることになった私。
そんな中、名古屋駅の中のHMVだったかタワーレコードだったかで青山陽一氏の4thアルバム「Ah」発売記念インストアライブを観た。カーネーションのファンクラブ会報で青山氏を知り興味を持っていたのだ。
大学の准教授的なラフなお姿で、ギター片手にハスキーかつ潤った歌声で弾き語る青山さん。
素敵だなと思ったけれど、いきなりCDを買って握手していただくのも気が引けて、その場はとりあえず引き上げた。
とうとう力尽きてそのブラック企業をやめて故郷に帰り、細々とフリーター生活を始めたころ、その青山さんが35歳でメジャーデビューを果たした。
以来、青山さんのライブはもちろん、インストアライブにも駆けつけ、もちろん「CD買って握手していただく」も果たすことができた。
「デビューされてからずっとファンで、毎日聴いてて、云々……!!」と緊張と興奮のあまりまくし立てる私にたった一言「……そっすか」としか答えて下さらなかったシャイな(失礼)青山さんの佇まいが素敵でますますファンになってしまった。
その他、夫とともに出向いた直枝政広氏(カーネーション)、飄々としたおしゃべりが素敵だった鈴木博文氏(ムーンライダーズ)、などなどいろんなアーティストのインストアライブを体験したけれど、ライフステージの変化とともに(ああ、言い訳するわけじゃないけど何で女性ってやつは、こうもライフステージに振り回されるのか)CDショップからは足が遠のいてしまった。
いや、ライフステージのせいだけじゃない。
ネットでCDを買うようになったからだ。
Amazonをはじめとするネット通販の手軽さ、かなりレアなCDも普通に置いてある充実度に、すっかりショップをほったらかしてネットでばかり買うようになってしまった。
結婚して以来20年以上暮らしている兵庫県内の街にもタワーレコードはあるのに、一枚もCDを買いに行かなかった(そのタワレコは街のカラーを反映し、演歌やジャニーズを充実させることで今もしっかり続いている)。

CDショップとの20年ぶりの和解(?)

そんな私が、20年ぶりにタワーレコード神戸店で買ったもの。
藤井風「LOVE ALL SERVE ALL」初回限定盤。
かつて三宮センター街にあったタワレコはJR三ノ宮駅前のミント神戸に移動していた。
たまたまこのお店にふらりと寄ったらば、初回特典の洋楽カヴァー集「LOVE ALL COVER ALL」+美麗なブックレット付き初回盤が一つだけ置いてあるではないですか!
通常盤はとっくの昔にAmazonで買ってるのに、ふつーに初回盤もレジに持って行ってしまった。こういうヲタ的なことをしたのは初めてだ。
以来、地元のタワレコにもたびたび足を運ぶようになった。藤井風のディスプレイを見るだけで幸せになれるからだ。
風さんといえば配信限定の音源も多く、ついついAmazon Musicをポチしてしまうこともある私だけど、ショップで宝探しをする楽しさを思い出させてくれたのもまた風さんだった。
通販も便利、サブスクも楽し、だけどショップもやっぱり残ってほしい。だからなるべく足を運ぶようにしている。

「LOVE ALL COVER ALL」収録「Just the Two of Us」。かっこよすぎて溶ける。

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