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3月の配当と投資の振り返り~1社、2リート、1インフラ投資法人の分配金ほか

昨年3月末でサラリーマンを退職してはや1年が過ぎました。最初は朝出勤しない生活にとまどいましたね。職場ではいろいろあっても、ほかの人と課題や目標を共有し、達成できたとき、できなかった時、喜びや苦労を共有できたことはやはり素晴らしい経験です。退職すると直接他人から学ぶという機会が激減しますので、結局自身が成長したという実感も薄れますね。もし投資をしてなかったら、散歩して、テレビ見て、読書、風呂、ごはん、寝る、のような生活をしてしまったかも。以前からモーサテを見て出勤していましたが、今は朝のモーサテ、モーニングプラスFTからどっぷり経済ニュースにひたり、You Tubeで佐々木融さん(ふくおかFG)や唐鎌大輔さん(みずほ銀行)のお話とか、ピクテ(北根さん)やみずほ(Mizuho Economy & Forex)、Pivot Moneyなどを検索しまくり、経済や金融の本を読んで勉強しています。投資はJリートや日本郵政など近くにあってよくわかる安定高配当なものだけですが、視野は金融(とくに危機ものが好き)、財政から世界経済(経済史も)まで広げるようにしています。ずっと投資をしてきたおかげで、配当の収入だけでなく、考えることがたくさんあってほんとうによかったと思います。投資せずに勉強だけとか、勉強せずにほったらかし投資ではこんな充実した時間を過ごすことはできなかったでしょう。

さて3月の分配(配当)は、フロンティア不動産投資法人、カナディアン・ソーラーインフラ投資法人、日本リート投資法人、日本たばこ産業の1企業、2リート、1インフラ投資法人からでした。税引き後の配当金は1口当りにして以下の通りでした。配当の振り込みは決算から3か月遅れですね。

以前にもここで書いた投資先紹介文と共通する部分もありますが、昨年はだいぶん保有銘柄を入れ替えたので、運用報告書をもとに簡単にそれぞれの近況を書いてみます。

8964 フロンティア不動産投資法人 https://www.frontier-reit.co.jp/

 Japan-reit.comのポータルから引用すると「三井不動産をスポンサーとする商業施設特化型J-REIT。(中略)ポートフォリオの3分の1をリージョナル・ショッピングセンター(広域からの集客を念頭に置いた大型商業施設)が占める。収益と分配金の安定を重視して長期固定賃料中心の運用を行う。JCRから「AA」、R&Iから「AA-」の高格付を取得」とあります。運用報告書にも、三井不動産と連携しながら分配金水準を最重要経営指標として重視すると個人投資家にはうれしいですね。退職した昨年4月から、REIT中心の配当生活は変わりませんが、銘柄はずいぶん入れ替えて、オフィス中心から商業、住居系へと保有銘柄を移してきました。先月の分配金は昨年12月期決算のもので、公式には一口当たり10,549円、ちなみに次期(6月期)は10,670円、次々期は10,690円予定で微増傾向です。資産規模3,641億円(26位)、40物件、ROE 6.49は8位、分配金利回り4.83%(24位)と中堅です。首都圏54%で地域分散も効いていて、ほぼすべてが大・中規模ショッピングセンターで、稼働率100%。資産規模は2016年が2,890億、分配金9,903円でしたから、安定高配当銘柄としてこれで十分なのでは、と満足しています。

9284 カナディアン・ソーラーインフラ投資法人 https://www.canadiansolarinfra.com/

最近何度か本レポートで書いてきましたが、今年に入ってから当法人の投資口をすべて売却しました。売却の理由はもう過去の振り返りで述べたとおりです。世界的に展開するカナディアン・ソーラーグループをスポンサーとして、上場時(2017年)から順調に成長はしてますし、分配金も3,600円から3,900円の間で(今回は3,750円)安定して受け取りました。税引き後でも5%程度の配当利回りはとてもありがたかったです。個人投資家の投資先として、FITの時限性は投資対象期間として割り切れば良いと言えますし、日本が再生可能エネルギー市場の充実を求めていくことは変わらないので、個人投資家の保有銘柄としては決して悪くないと思います。ただインフラファンドが私のポートフォリオの中で比率が高すぎたため、エネクスとジャパン・インフラファンドを残すという決断をしました。カナディアン・ソーラーさん、長い間高配当ありがとうございました。

3296 日本リート投資法人 https://www.nippon-reit.com/

昨年からスポンサー変更をきっかけに本リートに関心を持ち始め、買い足してきました。JAPAN-REIT.comの情報では「SBIグループをメインスポンサーとする総合型J-REIT。2014年上場時は双日がメインスポンサーであったが、2022年11月にSBIグループに交代した。都心の中規模オフィスと三大都市圏の住宅に重点投資し、商業施設にも分散投資する。ポートフォリオは112物件、資産規模2,587億円と、物件及びテナントの分散を特徴とする。物件の用途構成は、オフィスが70%、住宅が27%、残りが商業施設となる。格付けはJCRから「A+」を取得している」ということで、デベロッパーではないSBIがスポンサーをしているのは好ましいと思います。今期税引き前の分配金は8,854円、次期予想8,810円、次々期予想8,678円と安定しています。110物件を持ち、資産規模2,564億円。ポートフォリオは都心65.7%、東京経済圏79.1%。オフィスが70.3%ですが、住宅26.5%、少し商業施設。オフィスの稼働率は現在から次々期予測まで98%を超えてります。サステナビリティー関係の認証もたくさんあり、たとえばGRESBレーティングで3スター、7年連続Green Star取得とあり、最近ESG投資に後退傾向が顕著ですが、私はこの取り組みはとても大切なことと思っています。NAV倍率0.82、おかげで利回り5%(4月22日現在)とうれしいのですが、オフィス比率が高いこと、東京経済圏に物件が集中していることは懸念材料です。商業施設や関西・中部にももうすこし分散してほしいですね。

3309 日本たばこ産業 https://www.jti.co.jp/index.html

新NISAが始まって4か月弱の時点で、成長投資枠における投資先の上位を占めるJT。ここ数年売上高や利益は下降気味ですが、それでも24日現在利回りは4.93%。がんばって頂いてありがとうございます。HPのCEOのご挨拶は「当社グループが未来において社会から求められ、かつ、長期に亘り価値を発揮し続けていくべき領域を「心の豊かさ」であると同定し、この領域を任され、貢献し続けていきたいとの考えから「心の豊かさを、もっと。」をJT Group Purposeとしています」と。う~ん。会社の製品をダイレクトにポジティブに語れないところが苦しそうですね。でも筆頭株主は財務大臣!将来像が見えないながらも、なんとかなりそうな予感が強みでしょうか。今後は医薬品、加工食品での活躍も期待したいですが、膨大な経費や設備投資が必要なので、M&A以外ちょっと無理かも。個人投資家としては自分年金の高配当で満足といえますが、地球市民としては地球の環境、人々の健康を願わずにはいられません。主力製品が将来的に「たばこ産業」から少しずつ脱却できるかな。決算の状況についてはYouTubeのプロ・アマの投資家が説明され、またHPからIRも配布されていますので省略します。株価2,293円で買っていま(4/28)4,181円、税引き後でも1.92%(半期)の配当金ですのでこの点で満足しています。

3月の投資生活まとめ~投資姿勢の変化

2024年に入って、株価はどんどん上がり、JREITはどんどん安くなっていきました。下はニッセイアセットマネジメント(株)(https://www.nam.co.jp/market/forecast/jreit/2024/index.html)からお借りしたグラフですが、最近の東証リート指数と株価の乖離はびっくりするものがあります。

ただ4月26日時点で東証リート指数は1803。1月22日の1844から3月13日の1667。その後上昇して25日の1817から4月にはいって1700代半ばまで落ち、いま少し戻っているところですね。2019年11月に2250ポイントを超えたことも考えると、今は激安ですね。漏れ聞く理由は、Jリート毎月分配投信からの資金の流出とか、日銀の利上げの可能性、オフィス系リートの供給過剰や収益の悪化懸念、外国人投資家の大幅売り越し(2月)などいろいろあります。しかし、個人投資家にとって年初は絶好の買い時となり、貯金を下ろして(退職後は禁止していたのに)、新旧NISAの成長投資枠でイオン(前から欲しかった)などを買いました。これでポートフォリオの67.2%がリート、20.5%が株、11.7%がインフラファンドへの投資となりました。ちなみに受け取る予定の配当から見ると、65.8%がリート、17.1%が株、16.6%がインフラファンドからです。カナディアンソーラーを売却しても、インフラ(エネクスとジャパンインフラ)の投資の効率の良さが光ります(そしてリスクも)。

 ところでポートフォリオ残りの0.7%弱ですが、今年に入ってからETFを少しずつ買い始めました。ごくわずかの投資口数で分配金を目的とするより、退職してから金融・経済の本をたくさん読んでいるので、その書籍の主張が正しいのか(どれくらい当てはまるのか)を実感してみたい、と考えたからです。ETFはほとんどインデクスなのですが、買ったものは、1476 iシェアーズコアJリート、1660 MAXIS高利回りJリート、2018 グローバルX USリート、2019 グローバルX米国優先証券隔月分配(NISA枠)、2866 グローバルX米国優先証券毎月分配、2253 グローバルXスーパーディビデント、2865 グローバルX NASDAQ 100カバードコールなどです。最初の二つのJリートですが、残りはアメリカの景況を体感するため少額ずつ買っただけですので、ここでは少ない配当までレポートしません。ただ数万円の投資でもネットで証券口座をチェックするとき、投資口価格が上がったり下がったりするのを目の当たりにできるのは大きな違いだと判りました。

 このところアメリカでは景気が強すぎて利下げが遠のき、国内ではインフレへの不満から円安対策を求める声が大きくなって、結果ボラティリティーが上がっていますね。数日前ピクテ・ジャパンの北根久行さんの金融市場の歴史という動画(とくに「リーマンショックから史上最大規模の金融緩和」https://www.youtube.com/watch?v=-l7JPu5JrNg)を見て、金融政策と実体経済の関係についてとても勉強になりました。北根さんのこのレクチャーのシリーズで印象的な言葉は「バブルは金融緩和の中で生まれて育つ」ということと、あの大きな金融危機の前ですら、多くの専門家の間でソフトランディング期待が強かったということです。小林慶一郎氏の「日本の経済政策~「失われた30年」をいかに克服するか」を最近読んでいるのですが、その117~118ページに、2008年11月にエリザベス女王が発せられた「なぜだれも信用収縮が出待っていると気がつかなかったのですか」という素朴な疑問が紹介されています。イギリス経済界、金融界、政策当局はこのご質問を重く受け止め、翌年女王への回答を公開書簡として発表して、「国内外の知性を代表する人たちが、だれもシステム全体のリスクを見抜けなかった、つまり各専門分野では仕事をたいていうまくやっていたが、それぞれの小さなリスクを全体として足し合わせた時に、全体としての巨大なリスクを理解することができなかった、と述べたそうです(詳細は小林先生の同著をお読みください。経済学の変遷、金融危機、経済政策の功罪などが体系的に述べられたすばらしい本です)。日本はバブル期の最高株価を超え、不動産価格の高騰が話題となり、投資家バーもにぎわっているようです。これはいつか見た光景、そして長い経済史でいくども経験した光景、ですよね。そのあとのトンネルの暗く長かったこと。。。おそらく今はトンネルの遠い出口の明かりが一瞬見えただけ、というのが日本経済の実力だと思います。エミン・ユルマズさん他が指摘される通り、アメリカの利下げが始まったら米株大暴落というのは歴史が教えるところ。需要が恒常的に弱い日本が無傷で済むでしょうか。過去の金融危機を肝に銘じて世界経済を注視しつつ、投資を楽しんでいきたいものです。

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