米バークシャーハサウェイの株主総会、ウォーレンバフェットと英語
2023年5月6日土曜日、ネブラスカ州オマハにて米バークシャーハサウェイのAnnual Meeting(年次株主総会、Annual Shareholders’ meetingとも)が開かれました。毎年世界中から投資家が出席しており、今年も5万人以上が集まりました。
ちなみに、カラフルで読んでいて楽しい、株主総会についてのShareholder Guideはこちら。
同社のChairman and CEO(会長兼CEO)であるウォーレン・バフェット氏と彼の長年の右腕でもあるVice chairman (副会長)のチャーリー・マンガー氏が、Shareholders(株主)からの質問に答えています。
また年次株主総会に先立ち、バークシャーハサウェイは第一四半期の業績を発表しているのですが、純利益は前年同期の55.8億ドルから大幅に増加、355億ドルを計上しています。
同会の質疑応答の様子はこちらのCNBCの記事でトピックごとに区切られた動画も見ることができるのですが、ここではまず、WSJのサマリーの抄訳(Five Takeaways From Berkshire Hathaway’s Annual Meeting より)をいくつか紹介します。
-The two investors had stern words for the banking sector. The turmoil that has hit banks this year has shown that “banking can have all kinds of new inventions, but it needs to have old values,” Mr. Buffett said. Mr. Munger went further. “Bankers should be more like engineers … avoiding trouble instead of trying to get rich,” he said.
2人の投資家は、銀行セクターに対して厳しい言葉(stern words)を投げかけている。今年銀行を襲った混乱(turmoil)は、「銀行はあらゆる新しい発明をすることができるが、古い価値観(old values)を持つ必要がある」ことを示した、とバフェット氏は述べた。マンガー氏はさらにこう続けた。「銀行員にはエンジニアのようであってほしい……金持ちになろうとするのではなく、トラブルを避けなければならない。」
-Berkshire isn’t looking to take control of Occidental Petroleum. One of Berkshire’s biggest investment moves over the past year has been buying oil stocks. In fact, Berkshire built up its stake in Occidental so quickly, many analysts and investors began to wonder if it would try to acquire the company. But Mr. Buffett put that idea to rest Saturday. “We’re not going to buy control,” he said. “We’ve got the right management running it, and we wouldn’t know what to do with it.”
バークシャーはオクシデンタル・ペトロリアムの経営権を掌握しようとは思っていない。
バークシャーのこの1年の最大の投資行動の1つは石油株の購入であった。実際、バークシャーはオクシデンタルへの出資比率を急速に高めたため、多くのアナリストや投資家は、同社を買収しようとするのではないかと考え始めていた。しかし、バフェット氏は土曜日にその考えを否定している。
「私たちは経営権を買うつもりはない。適切な経営陣がいるのだから、それに対してどうすればいいのかわからない。」
次に、今期の株主総会の中で特に印象に残ったバフェット氏の発言をいくつか紹介します。まずはAppleについて。
“Apple is different than the other businesses we own. It just happens to be a better business,”
Appleは我々が保有する他の事業(ビジネス)とは違う。ただどの事業よりも優れたものだったんだ。
“Apple has a position with consumers where they’re paying 1,500 bucks or whatever it may be for a phone. And the same people pay $35,000 for having a second car, and [if] they had to give up a second car or give up their iPhone, they give up their second car. I mean, it’s an extraordinary product.”
Appleは消費者が携帯電話に1,500ドル、あるいはそれ以上の金額を支払ってくれているというポジションにある。その携帯電話を買うような人たちは2台目の車を持つために35,000ドルを支払ったりする。2台目の車をあきらめるか、iPhoneをあきらめなければならないという状況があったら、彼らは2台目の車をあきらめるだろう。つまり、これはそれほど特別な製品ということなのだ。
バークシャーはAppleに多大な投資を行っており、同社の保有株の時価総額は3280億ドルで、そのうちの1510億ドル分をAppleが占めています。
よかったら動画でバフェット氏のこの部分の発言も見てみてください。
また、最後に、バフェット氏が重きを置くバリュー投資の見通しについて、語っている部分を紹介します。
競争が激化する中で、バリュー投資家が成功する方法について聞かれ…
(質問の詳細:チャーリーとウォーレンへの質問です。生産性を大幅に向上させることができる技術の台頭、AIがその一つですが、そういったものがあるなかで、この新時代におけるバリュー投資の未来はどのようなものに見えますか?投資家が採用すべき方策や新しい原則は何だと思いますか?また、急速に物事が変化していく中で成功を維持するために投資家に推奨することは何ですか?)
チャーリーが、今は少ない機会をより多くのバリュー投資家で競争しあっているため、今後バリュー投資家にとっては状況は厳しいものになっていく… という主旨のことを述べた一方バフェット氏は、
“New things coming along don’t take away the opportunities. What gives you opportunities is other people doing dumb things. In the 58 years we’ve been running Berkshire, I would say there’s been a great increase in the number people doing dumb things, and they do big dumb things,”
新しいものが現れて、機会をさらっていくわけではありません。機会をくれるのは愚かなことをする人たちなのです。バークシャーを経営してきた58年間で、愚かなことをする人がすごく増えたように思います。非常に馬鹿げたことをするのです。
と述べています。
バフェット氏はさらに話の中で、短期的な見方をし、年間の利益をどう上げるかばかりに注目する人がこの世界では圧倒的に多いなかで、そうでない人、5年、10年、20年といったスパンで考え行動できる人には多くの機会があるということ、もし今日自分が生まれ、そんなに多くない資金を大きく増やしていくことができるとすればぜひともやってみたい、と語っています。
ここは細かい例えも含めて面白いので、よかったら動画でもぜひ見てください。
バフェット氏の質疑応答の動画を見て、長期的な視野をもってビジネス英語の勉強をしたくなった人は、
ぜひ昨年10月に上梓してすでに2回の増版、拙著「ビジネス英語の鬼100則」をどうぞ。
それではまた。