技術よりも「心」
15年ほど前のある日、たくさんの有名人と呼ばれる方々が出演する番組に、とある方のヘアメイクのお仕事で入らせていただいたときのこと
眉もあまり上手ではなく、アイラインもまつ毛もとても繊細な仕上がりとはいえないのに、ニコニコ楽しそうにお話しているタレントさんとそのお付きのヘアメイクさんに遭遇
?!?!
それまで完璧な技術を必死に追求し続けてきた私にとって、それはそれは衝撃的な光景でした
なぜ上手ではなくてもお仕事があるのか、あんな笑顔を引き出せるのか
その時の私には全くわからなかったのですが、今ならその理由がわかります
人から選ばれる理由
表に立つ仕事というのは、一見華やかですが、その裏では様々なプレッシャーに晒されていたり、想像もつかないような悩みを抱えている方も多いのが事実です
まして、テレビという魑魅魍魎だらけ、芸能界という生馬の目を抜くような世界で活躍しようというのは、よほどの覚悟がなければできることではありません
まるで戦場のような場に出ていくには、技術だけでなく、空気を読むことができ、気配りができ、自分が何を必要としているかすぐに分かってくれる、一緒にいて、そして一番大切な肌を触られても安心できる相手、心の御守りのような存在としてのヘアメイクが必要とされていることに気づいたのでした
もちろん技術と心、その両方があるのが一番です
でもどちらか一つなら、技術よりも心のある方を人は選ぶということがとても良くわかった出来事でした
人がキレイになるのは
心が満たされた時
触られて心地がよくて、一緒にいて楽しくて、元気になれると、人は勝手にキレイになっていきます
もし自分がされるとしても、完璧な細かい技術で黙々と仕上げられるよりも、人と人としての心のコミュニケーションをとってくれる方が嬉しいですものね
大いなる学び
それまでの私は「自分がメイクをしている」と思っていましたが、本当は自分だけでできることは一つもなく、大切な顔を触らせてくれる相手の方がいてくれてはじめて仕事として成り立つものであり
そこには「メイクさせていただいている」という謙虚な心がどうしても必要だということを思い知らされた出来事でした
実は、私の心のお師匠さまは僧侶であられますが、ずっと「レイナには心がない」「思いやりがない」となぜ言われていたのか、本当の意味でわかるようになるには、ここからまだまだ時間がかかるのでした…😵💫
つづく