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《7通目》『101回目のプロポーズ』への鍵
先生へ
先生ご存じの通り、私は歴史が好きです。でも、本で読むような歴史が好きというよりは、過去に確かに起きたこと、それを回想するのが好きなんです。だから、時代を象徴するような出来事に直面した人の語りを聞くのもいいと思うけれど、その人が語る本当に何気ない出来事の方に、歴史を感じるんです。その何気ない出来事は、時代を象徴する遠い出来事を、さらに色濃く、繊細なものにするって思います(これについては今後書こうかなって思います)。
また、最近になって、風景の中に歴史が溶け込んでいること。そしてそうやって溶け込んだ歴史物は、時代も場所もつなげてくれる鍵になってくれることに気づきました。そう感じた一番のきっかけは信号機です。
ある昼の車中の信号待ちで。その日は雨の降らない曇り空で。外では葉っぱがかすかに揺れるくらいの浅い風が風いているようでした。割とスピード出したのですが、思いのほか早く黄色信号になってしまいました。仕方なく停止することを選び、手持ち無沙汰に外を眺めることに…。その時、こっちを向いてる旧型の歩行者信号に違和感を覚えました。
あれ、れいんは今なんで旧型の信号機って分かったんだろ。
あ、分かった。赤に黄色だ。普通って黒に赤だよな。
信号機は、知らないうちに変わってったんだ。そう思って何日か経った日、何回も繰り返し見ている大好きなドラマ、「101回目のプロポーズ」を見ているときでした。
星野達郎さんと、矢吹さんの切ないデートの日…。待ちゆく人の頭上にある東京の歩行者信号が、青に黄色だったんです。
そのあとから沖縄のある場所に辛うじて残るその歩行者信号は、1991年の(私が一回も行ったことのない)東京で矢吹薫と星野達郎が渡ったであろう信号の切り貼りになりました。あの交差点を通るだけで、私がいるのは1990年代の東京。
つまり信号は、私と、私が大好きなバブル期(というと誰かに怒られそうだけど…。あの時の格好とか、風景とか、とにかく視覚的な全てがれいん好み…)の東京を繋ぐ鍵になっています。
風景に溶け込む歴史は、いつも私をわくわくさせてくれる。ある時代のある場所に私を連れて行ってくれる。そうやって、どこでもドア兼タイムスリップできる時間って尊い。
《7通目》は、キモい報告となりましたが、現場からは以上です。先生にお返しします。
2024.11.8 執筆のこと考えると、眠かったのにシャキッとした。 れいん。