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鹿革のポーチ
御依頼内容
オーダーメイドで鹿革のポーチを作成しました。
御客様からの御依頼は革とステッチの色、そして柔らかい雰囲気で、という三点のみでしたので当方で大まかなスケッチを描いて確認して頂き、細部はお任せ頂きました。
革の選定もお任せ頂いたので何を使うか検討した結果、鹿革を採用する事にしました。
ポーチ本体に鹿革、マチの開閉及びカブセの固定に鹿レース、カブセの固定ボタンに鹿角、そしてカブセの表に鹿の毛皮を使う仕様にして全て鹿で統一する事を思いついた次第でした。
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各部詳細
今回は柔らかく厚めの鹿革を使ったので内張りは省いており、
鹿革特有のモッチリと柔らかい手触りを味わう事が出来ます。
この鹿革は害獣駆除された鹿の皮を鞣したものです。
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側面は縫い割りで青いステッチを目立たせています。
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このステッチも自分で染色したものです。
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奥側を縫う際には手元が見えないのですが、表から刺した針先をガイドに裏側から針を通して縫い進めます。
昔はなかなか進まずイライラする事も多かったのですが、最近ではスムーズに縫い進められるので自分自身の技術の向上を実感したりしています。
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マチのレースを固定するストッパーは芯に牛革を使い表と裏を鹿革で作成しました。
非常に小さなパーツですがしっかりとコバを磨いています。
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緩すぎずきつ過ぎず、良い動きをします。
レースの先端には真鍮製のビーズを通しています。
程よい重量感でレースが暴れる事を防ぎ、また外観上の良いアクセントでもあります。
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カブセの毛皮は表から目打ちを打っても縫い目が全く見えないので裏側から目打ちを打って通常とは逆のパターンで縫いました。
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ここは毛の色に馴染むステッチを用いていますが、縫い目になるべく毛を挟まないよう慎重に縫う必要が有ります。
カブセのボタンは鹿角のスライスです。
ドリルでの穴あけに失敗して一度作り直しました。
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毛の柔らかさが伝わるでしょうか...
この毛皮も害獣駆除された鹿の皮を使用しており、決して毛皮の為に鹿を獲った訳では有りません。
普段はあまり使わない素材ですが、今回のポーチにはぴったりはまるだろうと思い採用しました。
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ベルトに通した際のサイズ感です。
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とても可愛らしいポーチになりました。
この後ろ姿を街中で見掛けたら思わず笑顔になりそうです。
因みに紙で作った最初の試作がこちらです。
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ここから如何に柔らかく仕上げるか、多くの選択肢が浮かんでは消えましたが、革の選定で正解が頭に浮かび後はスムーズに進める事が出来ました。
H様、この度は御注文頂き有難う御座いました。
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ReiLeather 山田智之