鹿の毛皮を纏った財布
毛皮の使用方針
唐突ですが、ReiLeatherの基本的な方針として「私自身が食べた事が無い動物の皮革は使用しない」というポリシーがあります。
これは即ち、食肉加工された後の廃棄物を利用して作られた革のみを使用するという事です。
牛、豚、馬、山羊、羊、鹿、猪。
より希少で高価な動物の皮革も存在しますが、これだけの種類が有れば困る事はありませんし、他の革を御希望される方には他の職人さんを御紹介します。
今回の御財布に使用した毛皮も害獣駆除された鹿のものです。
夏毛なので白い斑点が存在します。
昨今、毛皮という言葉にはセンシティブな側面も含まれています。
私が幼かった頃にはキツネやミンク等の毛皮が高級品としてもてはやされていましたが、問題の多かったそれらの動物の処理方法とは全く異なる経緯で生産された貴重な毛皮です。
今後も自分自身が正しいと思う使用方法で活用していきたいと思います。
堅苦しい話になりましたが、大変手触りの良い毛皮でして、素材として非常に魅力的なんです。
各部の御紹介
では改めて御財布の御紹介です。
イタリアンレザー・エルバマットのチョコと鹿の毛皮を組み合わせています。
エルバマットという革も一頭の牛の中で一番丈夫な腰回りのバットと呼ばれる部位のみを使用しており、非常に高品質で丈夫なタンニン鞣しの牛革です。
御財布自体は小銭入れの無いミドルウォレットですが、従来のものと比べてタイトなサイズです。
今回もステッチは私自身が染色したものを使用しています。
開いた状態です。
左右に各4枚分のカードポケット、その裏にもポケットを備えています。
カードでしたら合計12枚程度収納出来ます。
理由は後述しますが、カードポケットの横幅が狭いので4枚重ねた場合の厚みを良く考慮して作らなければカードが入らないという事態になりかねません。
各ポケットは口元をヘリ返しています。
ベルトは御財布全体の雰囲気に合わせるため通常よりボリュームを控えめにして作りました。
ホックから先を長めにしていますが、これは御客様の体格を考慮しているためで、手の大きい方なので掴みやすいサイズにしています。
ホックはプリムの真鍮製です。
カード入れの最上部のデザインは使いやすさに寄与する構造です。
札入れは一箇所です。
複数の革が重なり合うコバは丁寧に漉く事で薄めに仕上げました。
ライダーズバージョンのウォレットではあえて厚くしている部分です。
この毛皮の柔らかな手触りはいつまでも触れていたくなるほどです。
その感触を損なわず柔らかさを活かしながらも堅牢な財布とするために知恵を絞りました。
長期間使用する間には毛が抜けてしまうと思いますが、その際はなるべく容易に毛皮を交換出来るような構造を採用しています。
そしてこの御財布を作成するにあたり、御客様がこれまで15年に渡って使われていた御財布のサイズ感をとても気に入っていらっしゃるとの事で、その御財布をもとに各部のサイズを決定しました。
そのためにカードポケットの寸法も限定されるという事情があったのですが、スリムで使いやすく個性的な御財布が完成しました。
この度は御注文頂き有難う御座いました。
鹿は神の使いであり、財運を司るとも言われておりますのでとても縁起の良い御財布になりました。
お知らせ
下記ECサイト(Base及びCreema)では革製品を販売中です。
オーダーメイドや革製品の修理の御相談はreileater@gmail.comまでお願い致します。
https://reileather.thebase.in/
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最後までご覧頂き有難う御座いました。
ReiLeather 山田智之