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日々のこと②

2023年6月5日 instagram投稿内容掲載

「だってそう選択して生きているものでして」

古民家暮らすということは、人間だけではない他の生命との暮らしを共有することでもある。
流行りの丁寧な暮らしはできないけれど、マイペースな暮らしはできるようになっていたいものだ。

風呂上がりに美味しいドリンクを一杯。部屋の電気を消して、小さな暖色ランプを照らす。布団へ横になりながら読書や映画を観ることが至福のひととき。ずっと観たかったアニメを一気に視聴する贅沢さ。夜更かししてしまうのが唯一の悩み。

ずっとその時間を過ごしていたいけれど、現実は中々うまくはいかない。視界の端が何やら蠢いている。視線を移すとうねうねと無数の足を動かすムカデがいた。
今日1番の素早い動きで飛び上がり、なぜかクラウチングスタートのポーズ(戦闘態勢)

「(わー。ムカデ。放置? 割り箸?どれが正解だろうか。なんでここにムカデいる? まぁ時期的に発生してもおかしくはないんだけど)」

短時間に思考を巡らせていると、いつの間にかいなくなっていた。生命と共存するべきか、外へ逃すべきか、古民家暮らしの課題のひとつである。

寝ているときに噛まれるというケースも耳にしたことがあり、携帯でムカデに関する知識を頭に叩き込む。自作のミントスプレーを布団の周りに吹きかけ、明かりをつけたまま就寝した。
翌日、鏡を見たら目元に綺麗なクマができていた。朝一でクレイを塗りまくり顔がスッキリしたので結果オーライ。これもある意味マイペースな暮らしだと思うようにしたのだがいかがだろう。

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マーケットへ出店を続けているおかげなのか、
オンラインショップの注文も増えている。

「ほっこり堂のハーブを飲んでから睡眠の質が良くなりました!」

「とても美味しくて買うのが楽しみで来ました!」

などの嬉しい言葉をもらう機会も増え、ほっこり堂の商品のブランディングもまた進めていきたい、と嬉しさを込み上げながら商品を梱包していく。

簡易郵便局は徒歩5分ほどの場所にある位置。ぽつんと寂しそうな小さな建物中におじさんが1人勤務をしている。

「はじめて見る人だね。どこかの家の息子さんかい? あ〜引っ越してきたんですね。どちらに? そこの家は存じてますよ。そうかそうか、またこの集落は賑やかになりそうですよ。」

古民家のある集落は標高800mの場所に位置している。そんな場所にある郵便局と住人はほぼ顔見知りのようで、誰々の家と話せばすぐに何者なのか伝わる。

大きな紙袋2つに入った数々の配送物を面倒な顔ひとつせずに話がら受け取ってくれる。

「ここね。田舎だから集荷の時間が決まっていてね。大丈夫かな? 大丈夫ならちゃんと預かっておくよ。明日には集荷場まで届けるからね。悪いね」

話す口調がとにかく優しい。あと気さくで、無理に気を遣わない感じがとにかく心地よい。

「これ良かったお近づきに、なんの変哲もないティッシュですがね。まぁ誰もが使いますよね。何かと便利じゃないですか、どーぞ!」

いままで行った郵便局には良い思い出がない。タイミングが悪いのか、なんか高圧的だったり、無機質だったり、毎回気分が曇ってしまい辟易していたのだが、遂にギャップにやられる。はい。ここの郵便局を贔屓決定!

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GO GO golden weeeekというイベントがあるらしく山中湖にあるトレスエルマノスへ向かう。
遠くには綺麗な富士山、店の目の前には静かな山中湖が広がっている。贅沢な景色を眺めて食べるタコスは最高に美味しい!
トレスエルマノスは友人をきっかけに出会えた。一緒に青山のマーケットに出店したり、いつも楽しい思い出ばかり。

お店は必ずと言って良いほど陽気な音楽が流れている。店内の中心はDJブースがあってスタッフもお客も気が付けばみんなで踊っている。

カウンター席に座ってタコスを食べながら、パソコンを開く。音楽のリズムに合わせて身体を揺らしながら作業していると思った以上に作業が捗った。静かな場所より賑やかな場所で作業する方が集中できるタイプのようだ。

合間に知り合いと談笑して、DJブースの前に立ってみんなと一緒に踊る。あまり陽気な環境にいるタイプの人間ではない。曲も踊りも詳しくは無いのだけれど、不思議と居心地が良いので一緒に踊る。「あ、結構音楽好きなんだな」って確認できた。

「だってさ。自分がやって楽しいことをさ、他のひとと共有するのワクワクするじゃん? お金よりも先に大事なことがあるんだよね。」

いつの日だったかやまとさんがそんな話をしてくれた。力説して語るわけでもなく、ただ力を抜いて滑らかに、当たり前に話している姿を今でも新鮮に覚えている。だってそうじゃない?と自然体な様子に心打たれた。

「なんでタコスが美味しいか知ってる? だってタコスは愛だからだよ」

ずーっとそのフレーズが頭の中に残っていて、自分なりの伝えるという行為を続けていたら、1人1人とちょっとずつではあるけれど、ほっこり堂や草木染め写真を愛してくれる人が増えてきた。頭より先に感覚で理解を深められている。完全に理解できてる訳ではなくて、でも、あえて言語化しなくても良いかもしれない。

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