#002 文系コーディネーターが工学部を紐解く まとめレポート
れいこう麗澤会が主催するオンラインれいたくキャリアトークの第2回が終了しました。このレポートでは会全体の様子についてまとめます。ちょっと長いので、見たいところを目次からご覧ください。アンケートの結果・質問とその回答については別noteでまとめます。
れいこう麗澤会とは?キャリアトークとは?
私たちれいこう麗澤会について、そしてこのキャリアトークというイベントにかける思いについては、それぞれ以下のnoteをご覧ください。
工学の魅力
今回は工学部特集!国立工学部に通う・通っていた3人をゲストに工学部での学びや、これまでの生き様などを学びました。ところで工学というとみなさんは何を思い浮かべますか?世界大百科事典によると、
工学とは、エネルギーや資源の利用を通じて便宜を得る技術一般
とあります。科学(技術)の原則や原理、資源やエネルギーを用いて、便宜を得る=何かをもっとよくしたり、または作り出したりする、ということですよね。これって、まさに問題解決ですよね。今、教育界で盛んに取り上げられているProblem-Solvingなんですね。面白い!今回は工学部をタイトルに入れたので、文系に進学を希望している人たちは見ようとも思わなかったかもしれませんが、ぜひ全ての人に感じて知って欲しいと思いました。
ちなみに英語で工学はengineeringと言いますが、そのengineは、ingenious(独創的な)という言葉と語源が同じで、ラテン語のingenerareという「(何かを)創り出す」という意味の言葉です。engineという単語の初期の意味には、「工夫する」という意味もあったとのこと。(Encychropaedia Britanicaより翻訳して参考引用)
昔は軍事的利用に用いられた工学ですが、後に、civil engineeringが発展していきました。戦争がもたらす負の財産は多いですし、決して肯定すべきことではないとわかっている一方で、軍事が科学技術の発展に寄与したことを否定できないのも事実なのかもしれません。歴史を学ぶことはこんなところにも意味をもたらしてくれますね。
今回のゲストをご紹介!
今回も麗澤卒業生2名とそうではない1名の計3名でした。彼らの簡単なご紹介はこちらです。男性ばかりになってしまったのが反省ですが、人としてとても素敵な3名にきてもらうことが出来ました!
浅川瑞光 Mizuki Asakawa
千葉大学融合理工学府基幹工学専攻生命システム工学博士前期課程修了。学部生時代は機械工学を学び4年生の研究では内燃機関(サイクル変動解析)を専門に行い、大学院では生命工学で再生医療(癌細胞Spheroid)を研究。学生フォーミュラ活動の影響で、ものづくりが好き。
赤塚成斗 Shigeto Asakawa
筑波大学大学院システム情報工学研究科構造エネルギー工学専攻博士前期課程修了。高校時代にものづくりに興味を持ち、工学部を志望。大学では工学の基礎を学び、大学院では自分の研究テーマに没頭。自動車のエンジンオイルに関する研究を行った。タイヤメーカーに就職し日々奮闘中。
佐井以諾 Enoku Sai
高校や大学の学部時代に様々な授業を受けて環境問題、資源・エネルギーの利用について学習したいと思い、金属資源の持続可能な利用に関する研究を行っている。大学院1年時に、交換留学でスイスに7ヶ月滞在。課外活動では、SDGs関連のイベント開催等に携わる。現在は、就職活動中。
自分の興味を追いかけること
まず話してくれたのは赤塚くん。中学生の頃にプロゴルファーを夢見ていた少年が、タイヤメーカーで働くことになった気持ちの変化や考え方の変化を教えてくれました。「ゴルファーにはなれないかもしれない、って思った時、それでもゴルフに携わるためにはどうしたらいいか考えた」「物づくりが面白いと思った時に、自分がどんなものを作りたいか改めて考えてみた」など、これまでの中で分岐点で立ち止まって考えた経験を話してくれた赤塚くん。
自分がやりたい、なりたいと思っているものができない、なれないと思うことは誰にでもあることですが、それをどう乗り越えたのか、そこからどう次の一歩を進んだのか、ということを知ることができ、アンケートにも「やりたいことが途中で変わってもいいんだ、とわかって安心しました」という高校生の声がありました。
高校生の時の勉強法で工夫したことなども話してくれて、ぜひ中高生には真似してみて欲しいですね。特に五感を使って勉強するのは脳科学でも効果が高いと言われているので、英単語を覚えるときも、目で見て、手で書いて、耳から聞いて、口で話して、、、とやってみて欲しいです!(とは言っても、それがうまくいかなかったら、それはただ、その勉強法が自分に合わないだけなので、また次の勉強法を試してみてください)
赤塚くんは大学での授業を紹介してくれたんですが、三輪車とソーラーパネルを使った授業や、エンジンオイルの研究など、とても面白そうでした。その研究をすることになった背景、実際の研究の様子、それがどんな意味があるのか、などなどリアルな研究の話は普段聞けない話でとてもためになりましたね。文系の私でも自分だったら、、、と勝手に想像してしましました。また海外での学会発表の機会にも触れていて、理系で英語を活用する場面に触れてくれたのが個人的には大変嬉しかったです。
やりたいことが見つかった時のための最大限の準備を
続いて話をしてくれた浅川くん。自分がやりたいことが何か明確にわからない中で、それを見つけられた時のために努力してきたという浅川くん。また将来の夢がわからないからこそ、今できること、目の前のことに精一杯に取り組みことが大事だと伝えてくれました。
進学の幅を広げておけるように、コース選択では国立理系コースを選び、そのために模試の点数で1点でも多く取れるように努力。それでも勉強面でなかなか振るわなかった高校2年生の秋に、一人で部活動を辞め、それから土日も学校で仲間と切磋琢磨しながら勉強して、、、でもだからと言って第1希望の大学にはセンターで点数が届かず、現在の大学を選んだという浅川くん。誰もがぶち当たる色々な壁にぶつかって、それでも今を精一杯生きていて、言い訳もしない姿にはとても説得力がありました。
模試などの数学の問題でわからなくても、先生に聞かずにとにかく自分で考えて考えて考える。この粘り強さが彼の強みだと思いました。大学でも研究がうまくいかず悔し涙を流したこともあったそうですが、やはり諦めないその姿勢とそこから次へ進んでいく姿は参加者に勇気を与えてくれました。
自分のキャリア形成のポイントとして、「目の前のことに取り組む」「視野を広げる」「人間性を磨く」の3つを挙げ、それぞれに具体例を示しながら話をしてくれ、かつオススメの本も紹介してくれました。僕もそうですが、なかなか自分から読みたい本が決められない方はぜひ読んでみてください。1冊は柳井正著『現実を視よ』、もう1冊はスティーブン・R・コヴィー著『7つの習慣』です。(麗澤高校のメディアセンターではどちらも取り扱ってくださるとのことです)
成長のポイントは全ての経験を糧に
最後に話してくれたのは佐井くん。東京大学は2年までみんなが「教養学部」で学ぶということで、色々なことを多種多様に学んでから、自分がどんなことを突き詰めていきたいか考えるチャンスがあるということ、その学びに興味があって1年浪人して東京大学へ進学したそうです。世間では浪人に対するイメージが色々とありますが、その良かった点と悪かった点を分析しつつ、その経験が今の自分を作ってくれているといいます。また浪人時代のことも経験した佐井くんだからこそ話せることです。学校教員には語れない、このリアルこそがキャリアトークの魅力です。
また理系には珍しいそうですが、留学も経験している佐井くん。コロナウイルス感染症の影響で留学期間は短縮されてしまいましたが、そこで得た縁や学びについて紹介している姿はとても楽しそうで、しかしやはりここでもメリットとデメリットを紹介してくれるあたりが、とても冷静でかつ、聞いている人のことを考えてくれているなと感じました。
工学部の中でも少し特殊な分野で学んでいる佐井くんですが、金属資源について、その採掘から加工などのフロー、そしてそれらのリサイクルなど、金属に関することを幅広い視点からまなび、考えているそう。佐井くんも私立の中高一貫校出身ということですが、心に残ったのは、「学校選びは自分がこれから思春期を共に過ごす仲間・友だちが決まる大事なこと」という一言です。確かに、中学高校大学だけでなく会社もそうですが、自分が所属する場所を選ぶということは、どんな人が集まるかということも大事なんだと改めて考えさせてもらいました。
最後に大学受験に対するアドバイスと自身が学んだことを共有してくれました。「今できることは、今やった方がいい」「いつか来るチャンスのために、常にできる準備をしておくこと」「一つ決めたら、とことんやりきること」という3つのアドバイスは、他の2人にもつながる点があって、とても参考になりました。
まとめ:人の人生に触れることで自分を考えるチャンスに
今回は3人のパーソナルな部分も含めて色々な話をしてくれました。その分説得力もあったし、すごく納得できることもありました。あくまで彼らが生きてきた道ですから、自分が同じようにやっても同じ結果にはならないかもしれませんが、「なるほど、こうやって考えることもできるんだ」「なんだ、それでもいいんだ、安心した」と思う機会をもらえたのではないかなと思います。私自身も自分のキャリアを振り返り考える機会になり、たくさん学ばせてもらいました。今日の3人と違う生き方をしている人・考え方をしている人ももちろんたくさんいて、どちらがいい・悪いではなく、「自分にあう考え方や生き方」を模索する中で、人の人生に触れさせてもらえる機会は大切で、これからもこのキャリアトーク がそんな役割を果たせるといいなと思います。
今回も40名を越す方にご参加いただき、本当にありがとうございました。実は岐阜県瑞浪市に我々の姉妹校があるのですが、今回のイベントではそこから高校生が参加してくれていて、とてもうれしかったです!これからも全国各地の皆様にも意義のある時間をお届けできればと思います。また次回をお楽しみに!
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