
東大阪の工場の片隅でタイ鍋をつつく
こんばんわ「零細町工場の社長」です。モノづくりの街、東大阪で小さな町工場をいとなんでいます。きのうの記事の続きです。
昨夜は、取引先の工場の従業員に誘われて、自家製鍋をつついてきました。今回誘っていただいた従業員の国籍はタイです。日本語も堪能で一緒にスナックに行った折にはスピッツを熱唱するナイスガイです。7月に取引先の慰安旅行に同行したのですが、そこで「たまに週末の仕事終わりにタイ鍋ヤッテルヨ」と聞いていたので、「今度やるとき誘ってくださいよ」と声をかけていたのです。
その取引先で働いているタイ人は3人です。それぞれ出身地は別らしい。チェンマイ近郊だったり、イサーン地方だったり。というわけで、タイ現地丸出しの郷土鍋をふるまってもらいました。
まずは野菜を刻みます。が!驚くことにほとんどの野菜が自家栽培だとのこと。レモングラスやホリパー(ホーリーバジルというタイのバジルだと思います)などのタイ食材だけでなく、さんどまめや、オクラ、スイカなども育てています!しかもめちゃおもろい事に工場の裏の余った土地で育ててるらしいです。しかも無農薬。「工業排水撒いて育ててるんでしょー?」とか東大阪ならではの不謹慎なツッコミを入れると、ニカっと笑ったので見てないことにしておきました。

そして鍋がまたおもしろいです。タイからもってきたという鍋。「ムーガタ鍋」です。

タイ料理の「ムーガタ」とは「ムー」=「豚」、「ガタ」=「浅い鍋」の通り“豚を使った浅い鍋”らしいです。面白いのが真ん中が焼肉用になっていて、周りが煮る用の鍋になっているところです。

このムーガタ、周りの野菜はただ水で炊いているだけなんですけど、真ん中で焼いている豚肉の焼き汁が垂れてくるわけですね。水に動物性の旨味が溶け込むって寸法です。知恵ものすぎ。
しかもこの豚肉、結構な厚みのブロック切りなんですけど、鶏肉みたいに柔らかい食感なんですね。「これええ豚肉買ったなあ」とタイ工員に言うと、ニヤリと笑い「一番安い豚肉にキマッテルヤン」と。つまり“仕事”を加えて柔らかくしているというのです。

卵で良く揉み込み、炭酸と一緒に2時間ほど漬け込むことで肉が柔らかくなるそうです。「すご・・・」と絶句していると、隣の別のタイ工員が「家ごとにやり方あるからね。別のやり方でうちはやってたよ」とのこと。この時点で、缶ビール飲み過ぎだったので、あえてレシピは聞きませんでしたが。どうせ聞いても忘れてしまうし。

焼きと炊き、肉と野菜、それぞれ何パターンもの食感の違いが舌を楽しませてくれます。

それをこの激辛・甘ソースにつけて食べます。余りもの辛さに顔中から汗が吹き出してきます。このソースのレシピは口伝ですが教えてもらいました。本当に美味しかったので、酔っ払いながらもiphoneのメモ機能に走り書きでメモを残します。
唐辛子、パクチー、ニンニクをミキサーに。あとは酢、レモン、砂糖、味の素、塩、ナンプラー、水などで和えます。そして最後にごまをたっぷり入れて良く混ぜます。分量も何回も聞いたのですが、さっきは「砂糖大さじ4」と言っていたはずなのに次聞くと「砂糖大さじ5」とかになっててもうめちゃくちゃやなと。でも驚いたのは唐辛子30個入れてるらしいです。そら辛いわ。
激辛だけど、激甘。タイではエクストリームな味が好まれるんですかね。ちなみに「タイに糖尿病の人っているんですか?」と聞いたら全然いるらしいです。そりゃ山ほど砂糖入れてるもんな。

3人のタイ従業員は口を揃えて、幼い頃から家で料理を手伝うのは当たり前すぎたから男でも当然みんな料理できるよ、と言っていました。
自分が食べるものを自分で育てて、その食材を自分で料理して作る。良く考えたらこれが基本なはずです。でもそれが出来ない。だからそれをするだけで充足感がある、なんとなくわかります。私もやりたいです。「家の近くに畑借りてるから一緒にヤロー」言われました。

日本酒を差し入れで持っていってて、みんなの舌に合うか自信がなかったのですがみんな「う、うまい・・・」と嘆息していました。「おべんちゃらは辞めてね」と返したのですが、「いや、ほんとにうまい」と言っていました。
とにかく辛くて、豚も野菜も香草も美味しくてお酒がすすみすぎてしまいました。


最後にこれまた工場裏で出来た無農薬のスイカをみんなでシェアして解散しました。笑いの絶えない4時間。「もうちょっと呑みマショーヨー」と止められましたが風と共に去りぬです。ごちそうさまでした。
世界中のいたるところで、色んな人がきょうも生きるために働いています。誰かが働いた仕事の成果を私達は享受し生きています。みなさんは働くことが好きですか?嫌いですか?それはなぜですか?
弊社ではこんな製品を作っています。