“究極の切り心地”を求めて
「零細町工場の社長」です。モノづくりのまち東大阪にある小さな町工場が、社運をかけたオリジナル製品を作った話「その2」です。
前回はまず、短所から紹介させていただきました。(弊社がどんな会社なのかはこちらのマガジンを)
今回からはいよいよ長所について語っていきたいと思います。と、その前にまず端的にどういう商品なのかの説明をば。
プロ仕様カッターマット『切られ役』。
造形やプラモ、ハンドクラフトや洋裁などなど、カッターナイフを本気で使うプロや玄人も納得してもらえる品質を目指したカッティングマット(カッター用の下敷き)です。
「確かに違う」と言われたくて・・・
まず正直な話からさせてください。
カッターマットなんて100均でも売っていますし、文具やオフィス機器の超大手メーカーもゴリゴリ作ってガンガン売っています。つまり、「値段」の面でも、「ネームバリュー」の面でも強力すぎる競合他社が山程いるわけです。
そこに自社製品を1つも作ったり売ったりしたことのないしがない町工場が、新たに分け入っていくわけです。“違い”がなければいけません。
すみません、上の引用は全然意味ないです。引用したら意味ありげに読み取ってもらえるかなって。
どこで“違い”を生むのか
強力な競合製品を実際に購入→色々調査してみることからまず始めました。そして“カッターマットってそもそもなんなん”て所から考えました。
で、わかりました。
つまり「カッターマット」とは「カッターを使う時に下に敷く板」だということです。
机の上でそのままカッターを使ったら机が傷つきます。別に傷ついて構わない机だとしても、カッターの刃がすぐ傷んでしまいます。
それに机にひっかかって滑らかに切れません。
ということで、ひとつの仮説を立てました。
道具としてのカッターマットに最も重要な機能とは・・・
・机やカッターの刃を傷つけない
・“カッターの切り心地”をより良いものにする
このふたつなんだろうなと。
そして、競合製品を見渡してみたら上に書いた2点に特化していそうな商品はありませんでした。
時代劇の花形シーン「殺陣」。主役だけでは成立しません。切るものがいれば、切られるものも欠かせないのです。
そして製品名を『切られ役』と名付けました。
(実は、弊社の先代社長が以前この商品名を使って商いをしていたのですがそれはまた後日にでも・・・)
じゃあそこ“突く”しかないだろう
社内からは価格を抑えられる物を作って安価により多く売ったほうがいいのではという声もありました。
でもやっぱりそうはしませんでした。
カッターマットが“本来必要としている機能”に
モノづくりをしてきた町工場がとことんこだわってみる。こっちの方がやってて面白いし、作る方も買う方も納得感があるんじゃないかって。
ただ、「どこ」に「どう」、「なぜ」こだわったのか、時間がかかってもいいからそれをしっかり伝えていかなければいけない。少しでも多くの人に、何度でも。
このブログを始めた理由もそこにあります。まだまだ全然やることやれることは山程あります。
結構昔のインドにブッダっていうかなり賢い人がいたらしいのですがこんなことを言っていたそうです。
「犀(サイ)の角のようにただ独り歩め」
あと種田山頭火って人はかつてこんな俳句を詠んでいたといいます
「分け入っても分け入っても青い山」