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木の実寄り雑食系でいこう

六本木まで、第九十六回国展を見に行った。

「ろっぽんぎ」なんて何年振りだろう。その昔、六本木心中はカラオケの十八番だったな。

いつもは画壇とか本当に縁がないが、今回はお世話になった先生が出展されているので、どんなものかしらと思って出かけた。

だいたい、九十六回も続いてるってだけで平伏しそうになるんだから、まあ知らない世界には違いない。

国立新美術館はメトロポリタン美術館展も開催中で賑わっていた。

国展は2階の何部屋も使った広い会場ではあったが、目指す先生の絵は入ってすぐに見つかった。

加藤健二先生

黒が基調の大画面は景色のようでもあり、途中で切れる曲線が少しの不安とあっち側を思わさせて、「ああ、良いなあ」と同時に自分の内側がざわめく感があってしばらく離れられなかった。

その後、会場をざっと回った。全体でどれだけの人が出展しているのかはわからないが、膨大な作品の中でもまあ、何点か「好き」があれば良いか。例えば同じ作家でもこの作品は「好き」や「そうでもない」があるように、人の数だけ作風はある。

その中でこれ!を見つけるのはほぼ嗅覚に近いな、と思いながら足早に会場を通り抜けた。あとで見ると、写真に収めたのは抽象画4点。

力強さと色の複雑な重なりが美しい


絵画部門だけでもう、ヘロヘロ。権威にめっぽう弱い体質が浮き彫りだ。でも思い直して彫刻の会場に足を運ぶ。

目と角がピカピカできれい

入り口で迎えてくれたのは大きな大きな羊(!?)の頭部。ゴツゴツの毛の表情とツルツルの角の対比が面白い。小さいが黒く澄んだ瞳は一体何を見ているのだろう。

その後も興味深いものばかりが並んでいた。時計仕掛けのような、機械のようななんとも不思議な作品。泡みたいなものが頭から飛び出している少女。

不思議な造形
なんともいえない表情
裸婦像も一筋縄ではない
圧倒的な存在感

彫刻作品は、ちょっとなにこれ?なものがたくさんあって嬉しくなる。これが絵画になると気を衒った感じが否めないが、彫刻ではどこか可笑しみのある表現になって、立体、楽しい。

そう、わたしは手触りとか「ブツ感」が好きなのだ。自分でも立体製作も好きだし、平面作品だってどこかに「ブツ感」がある。でもそれは、草食系でも肉食系でもない、ちんまりした木の実寄り雑食系みたいな。

なんというか、「ウリャあ、どうだ〜!!」ではなく、せっかく採った木の実をどこかに隠して忘れちゃった、って感じの表現がいいな。なんかいい。




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