クロヒョウ ディアブロの望み
数年前、アニマルコミュニケータ― のアナ・ブレイテンバッハ (Anna Breytenbach) さんを世界的に有名にしたドキュメンタリーを見た日、衝撃と感動で夜も眠れなかったのを今でも覚えてます。
残念ながら日本語字幕付きで出ていないようなので日本ではあまり知られていないかもしれませんのでここでご紹介したいと思います。
ディアブロがスピリットになった日
ディアブロ(スペイン語で悪魔の意味)と名付けられたクロヒョウは劣悪なベルギーの動物園から保護され南アフリカのライオンやトラなどの保護施設 (Jukani Wildlife Sanctuary) にいました。保護されてから6か月経ってもナイトシェルターにこもりきりで人が近づけば威嚇し施設長のヨーグさんも心配し困り果てていました。
そこでヨーグさんは半信半疑ながらもプロで野生動物の保護活動もするアニマルコミュニケータ―のアナさんにディアブロと話をしてもらうことにしたのです。
アナさんがディアブロにフォーカスすると大きな唸り声で威嚇していたディアブロはピタッと静かになりアナさんを見つめました。
アナさん「ここの生活はどう? 何か私達に伝えたいことはある?」
ディアブロ「人間には狭い檻に入れられていろんなことを要求され愛されることもなく尊重されることもなく生きてきた。だから人間は信用できない。人間とは一切かかわりたくないんだ。この新しい場所も人もどうせ前にいたところと同じだと思っている。いつも覗きにくるスタッフも前にいたところと同じで僕のことをディアブロって呼ぶんだ。僕は悪魔(ディアブロ)じゃない。僕の本来の性質とはまったく合わないよ。名前を変えて欲しい。それから一つ訊きたいんだけどここに来る前にとなりに2匹のヒョウの子供達がいたけど彼らは無事かなぁ?」
施設長のヨーグさんはびっくり! 確かにディアブロを引き取る時にとなりに2匹の幼いヒョウがいたのです。この情報はアニマルコミュニケータ―のアナさんが事前に知りえない情報だったのです。
アナさんはヨーグさんの言葉をディアブロに伝えました。ここは以前にいたような動物園とは違い、自由にしていいこと、スタッフが愛を持ってサポートしたいこと、ありのままで尊重されることを伝えました。そして2匹のヒョウの子供達は無事であることも... 。
するとそのお話の直後、ディアブロは施設に来て初めてシェルターを出て広い敷地内を散策し始めたのです。
施設長のヨーグさんは初めてその立派なクロヒョウに向かって声に出して心から伝えました。
「君は本当に美しい。何も君に望まないし、君の望みを尊重するよ。ディアブロなんて名前は君にはふさわしくないね。君は悪魔じゃない。君は素晴らしいクロヒョウだ。とても賢くて尊重されるのに値する存在だよ。今日から君のことをスピリット(Spirit / 魂) と呼ぶよ。」
ディアブロがスピリットになった瞬間でした。スピリットは嬉しさをヨーグさんに表現したくて「ウォー、ウォー、ウォー ....」と何度も声に出しました。
アナさんが同じ日、もう一度スピリットと新しくつけられた名前のその美しいクロヒョウと話しました。
アナさん「今日の体験はどうだった?」
スピリット「ヨーグさんが僕に向かってたくさん話かけてくれたんだ。こんなの初めてだよ。スピリットっていう名前も呼んでもらった瞬間から大好きだよ。本当に僕はここで自由にしていいんだね。僕は僕でいていいんだね。それがわかって本当にホッとしたよ。ありがとう。」
ヨーグさんは感動で涙を流しました。ヨーグさんはライオン、トラ、チーターなどの保護活動をしながらも動物が人間と同じように感情や思考や英知を持っていることを初めて知ったのです。そしてヨーグさんはアナさんのワークショップに参加し今ではアニマルコミュニケーションで動物達の気持ちがわかるようになっているということです。
ありのままの自分で価値があり認められることは、人間もそうですが動物にとってもとても大切なことなんですね。このお話のメッセージ性の大きさに私は感動しアニマルコミュニケーションの大きな可能性に希望を見出しました。
このお話は絵本にもなりました。絵本の中にはどうしたら動物とお話できるかの手順も書かれています。素直で純粋な子供達の直感的な能力を摘み取らないように私達大人は大切な責任を担っているように思います。
アニマルコミュニケータ―のアナさんのホームページ https://animalspirit.org/
ジュカニワイルドライフサンクチュアリー https://jukani.co.za/
このお話のドキュメンタリーのYouTube動画 https://www.youtube.com/watch?v=gvwHHMEDdT0