ぞうきんと始業式
始業式が始まる前に、必ず買いに行っているものがある。
ぞうきん。
長男のときも、というか私自身が小学生のときも、始業式の持ち物には「ぞうきん2枚」が書かれている。
もちろん他にも持っていく物はある。宿題、給食着、上靴などなど。
でも、いつからか私の頭の中には
「ぞうきんを忘れてはいけない」
いやもっと言うと、
「ぞうきんを忘れる親は失格」
みたいな言葉が、くっきり刻まれていた。
そのことに、昨日スーパーでぞうきんを探していた時に気がついた。
その時私は、
(ぞうきん…ぞうきん…ぞうきんはどこ?)
とちょっと焦りながら、店内を歩き回っていた。
で、ふと思った。
なんで、こんな真剣にぞうきん探してるんだろう。
自分が子ども時代に忘れて怒られたから、とかいう記憶もないのに。
その時の自分の姿が(たぶん外から見たら)すごく滑稽だろうと思ったら、少しバカらしく思えて、肩の力が抜けた。
そうか。
私にとって、始業式に学校に行く子どもにできる親の仕事は、これしかない。
そう思っている。
だからちゃんと果たさなければ。
そうでないと、この子の幸せを私が潰すことになる。
休み中の宿題を、始業式の次の次の日に出したこともある私みたいに、なってはいけない。してはいけない。
だから、絶対忘れないようにしなければ。
それが、この、たった2枚のぞうきん。
なのだ。
正直、ぞうきんなんか、始業式は休んできた不登校中娘はもちろん、当たり前に登校していた長男の時だって忘れた時はある。
そして、忘れていることも忘れているくらいで(先生に言われて気がついたくらい)実際は平気なのだ。
じゃあ、今、なんでこんなにぞうきんに執着しているのだ?と考えると、それは、「今ここにある漠然とした不安」を、2枚の形あるものにぶつけているだけなんだ、と思う。
5枚で177円。
結局私はこのぞうきんを買った。
娘に「先生に渡してね」と伝えた。
でも、実際はどうでもいい気がしてきた。
親という役割。
それを必死のつもりでこなしたからといって、一体何を果たしてきたというのだろう。
いよいよ、空回りしてきてる気がする。
中3と小6の親。すごく難しい。
いや、そういう「生徒の保護者」みたいな肩書きが自分を苦しめているんじゃね?
ずっと叱咤激励することでしか、親の役割を果たしてこなかった気もする。
ちゃんとしたお母さんだと威張っていないと、自分を保てなかったんだろうか。
実際は、ぞうきん2枚であたふたしてるだけなのに。
(今日は暗いな…笑)