ある夏の日、
大好きな人と会った翌日
ベランダに出て
浅めに入れた珈琲を食もうと
締め切ったカーテンを開けようとした
少し前
ぱらりぱらりと
雨が落ち始めた音がする
カーテンはそのままにして
飴色のソファに腰掛けて
しゅわしゅわぽたぽたぼたぼた
ザーザーと
次第に数を増していく音に耳をすます
しばらくして
すっかり冷めてしまった珈琲に
しばし眠っていたことに気づく
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/7483038/picture_pc_ffbba1e9137d0ddf7fd4d8ebbbcc8319.jpg?width=1200)
鳩鼠色のカーテンを開けると
すっかり雨は止んでいて
雨雲は彼の方へ流れている
きっと今ごろ
何かに夢中になっていることだろう
雨音にすらならない
わたしを忘れて
#絵のない絵本 #日常 #雨音 #日々の音