語感と五感と
語感
①その言葉から受ける感じ。言葉が与える印象。ニュアンス。 「 -の微妙な違い」
②言葉に対する感覚。言葉の細かい用法・意味の違いなどを区別する感覚。 「 -が鋭い」
五感
目・耳・舌・鼻・皮膚を通して生じる五つの感覚。視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚。
また、人間の感覚の総称としてもいう。 「 -を鋭くする」
ー三省堂 大辞林ー
先日、知人が
「美しい」「美味しい」と言う言葉について、書いていた。
わたしは、「美しいもの」や「美味しいもの」が
好きなのだが(いや、大抵の人はそうなのか?)、
この「〜しい」と言うコトバのもつ、響き自体に惹かれているのでは…などと思う。
「〜しい」で終わる言葉は、形容詞。
・楽しい・おいしい・うれしい・苦しい・さびしい・くやしい・かわいらしい・恋しい・美しい・うらやましい・わびしい・荒々しい・みずみずしい・悲しい・神々しい…
盗人猛々しい、なんてのもあるが。
感覚であろうそれは、具体的には、どんなものか、どの程度なのか、使った本人にしかわからない。
いや、使っている本人も説明できないものかもしれない。
言われた側も、自分の〜しい、の基準で聞いている。
はて、〜しい。だが。
その曖昧さ故に、どんな体で使うのかで、なんとなくの空気は伝わり、想像させる。
使うときには自分の五感を使って、届けるようなものだ。
そして、受け取る側の五感も使う。
「美味しい」と聞けば、どんな形なのか、どんな味なのか、食感なのか、風味なのか、後味は?とか…
経験したものから、未体験のものまで、色々と想像する。
但し、使うときも受け取るときも、注意が必要だ。
“ちゃんと”届けたいのか、何となく口をついたのか。
届けたければ、語感と五感を使わなければ届けられないし、
受け取るときも、自分の日頃の感覚と言う名の筋力がモノを言う。
この掴みどころのなさ、
使う人の裏側まで透けてしまうようなコトバたち。
だからこそ、そこに使うヒトのその人らしさを感じるときに、わたしの琴線に響くのだろう。
他人の言葉を借りた「美しい」には、
ちっとも心が囚われないから。
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