【エッセイ】夕焼けの寿命
友達と占いをした日、帰りの電車に乗っていた時のことだった。電車の日除けは降りていて、外は見えなくなっていた。
ふとドアの方の景色へ目をやるとビルが燃えていた。慌てて日除けをあげる。夕日はオレンジで燃え、空はピンクや黄色、水色や紫といったなんとも表現しがたい色で覆われていた。雲は夕日に縁取られ、キラキラと輝いている。
思わず写真を撮ろうとスマホのカメラを向ける。しかし、ビルや住宅が邪魔して上手く撮れない。
早く。早く。なくなってしまう。
消えないうちに早く。
やっと撮れると思った時にはもうそれはくすみがかった青色や藍色に覆われていた。
一瞬だった。もう見ることは無い一瞬の景色。
それでも記憶に残したくて、私はnoteで文字を綴り始めた。
あの景色を忘れたくなくて。