♯日常の詩 塩辛いメンチカツ
春の匂いがした
冬の真ん中のある日
メンチカツが塩辛い
昨日はレトルトの塩サバが塩辛かった
誰が作ったのか分からない
その誰かも私が食べているのを知らない
そんな不確かなやりとりの中で
メンチカツだけが
迷うことなく
私の口の中に運ばれる
ああ、やっぱり塩辛い
そう思いながらも
メンチカツは何度も何度も
私の口の中に運ばれた
そしてメンチカツの全てが
塩辛さも一緒に
私のお腹の中にいた
私のお腹の中でも
まだ塩辛いままなはずなのに
その塩辛さはどこにもない
こんなに