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なるほど…ベテラン日本語教師の先輩が語る”語学が伸びない人の特徴”
今週火曜日、日本語学校での授業が終わった後、ベテラン日本語教師の教務主任とめずらしく職員室で2人きりになりました。そのとき「日本語が伸び悩む学生には共通点がある…」と話してくれました。
それを聞いていて、英語のクライアントさんでも思い当たる人がいて「なるほど…」と感じ入りました。
A先生曰く、伸び悩む人の特徴は2つ、、、
「伸びない人は、とにかく母語になんでも当てはめようとする。そして、すべてのことに『ルールがしっかり適応されること』を強く望む」
・とにかく母語になんでも当てはめようとする
日本語の新しい語彙を習うと、自分の母語と[一対一]対応で覚える。会話の流れで意味が推測される時も、母語の訳を調べないと納得しない。
授業中にスマホで調べ物ばかりしている…
[一対一]対応で覚えないと、
「ちゃんと勉強できた、感じがない」
すると、日本語が上達していっても、いつまでも頭の中で[母語↔︎日本語]の変換をしている。
文法も然り。
母語を直訳した日本語は不自然な表現になることがある。それを学習者さんに「日本語では、こういう文法を使います」指摘すると、「私の国の言葉では、こう言います」と。
なぜか対抗してくるらしい…(汗
日本語だけの世界が広がっていかない。いつまでも[日本語↔︎母語]の世界で生きている。
母語と日本語が全部がぜんぶ[一対一]対応で分からなくても、問題なくコミュニケーションは取れるはずだけど、それを「良し」とできない。母語みたいに [100%クリア] を目指して勉強している。
日本語をとにかく母語に当てはめて理解しようとする、母語から離れて日本語オンリーの頭になれない。
・すべてのことに『ルールがしっかり適応されること』を強く望む
教師からの「こういう言い方をします」「これは例外です」「〜はこういうニュアンスで、…はこういうニュアンスです」みたいな説明を絶対に受け入れない。
皆さんもご存知のように、日本語にはルールがあります。それを日本語文法として学びます(学校でやる国語文法とは少し違う)。英文法みたいに、時制とか動詞の活用とか。
でも、ルールのあるところには例外あり
それらの例外を「そうなんだ〜」と受け入れる人と、「困りますねっ」とイラついて「例外はこれだけですか、他は全部ルール通りですか?」と詰めてくる人がいる(らしい。わたしは出会ったことがない)
ルールが好きな人は勉強熱心な人が多いから、文法の勉強が好きな人が多いけど、柔軟さがない人は伸び悩むらしい。
先輩は今までたくさん、そういう学生さんを見てきたらしく「わたしの経験では…」を次々と教えてくれました。苦労されてきたんだな…
「伸び悩む」っていうと学習者さんだけの問題だと思われるかもしれないけど、学生さんが伸びないのは、教える側の責任もある。
「わかる」感覚って本当に人それぞれ。自分がいくら[分かりやすい説明]だと思っていても、それが学生さんが受け取れる形の情報じゃないと意味ない。
だから、どんな思考の傾向があって、どんなところでつまづきやすいか、どうしたら越えられるのかを、ある程度レパートリーとして持っておいて、手を替え品を替え「伸び悩む」から脱出できるように試行錯誤するのも大事な教師の仕事。
英語を学んでいる人についても、、、、
・とにかく母語になんでも当てはめようとする
・すべてのことに『ルールがしっかり適応されること』を強く望む
この2つの特徴は「伸び悩み」につながる可能性がある。
どんな語学をするにも、母語みたいに100%クリアとはならないことを受け入れ、少々分からない状態に耐え、母語から離れる勇気は必要。そして、「ルールがあるところに例外あり」と考えられる柔軟さも。
「語学の才能ないのかな…」と自分を疑ってしまったら、ベテラン日本語教師の先輩が語った”語学が伸びない人の特徴”が当てはまってないかチェックしてみたい。
気持ちのもちようで変えられることだから!
永木 れいか (英語コーチ・日本語教師)
外国語を身につけたい人にとって、学びのプロセスそのものが意義ある、楽しいものであって欲しい。その先に、自由でやりたいことのできる人生が広がる。そんな想いで外国語習得のサポートをしています。