嘗て、吉祥寺にあった喫茶店にてep.2/5
ひとり暮らしの社会人女性がいた。
ちなみに俺は大学2年だったかな。
「駅で痴漢に遭って、その男を傘で何度も叩いて、傘の骨が折れたらしいわよ」とママが言う。
一見穏やかだが、性格のきつそうな女性だろうとは思っていた。
後日だった。喫茶店のママってのは、世間話が好きなのかもしれない。
「彼女の部屋に男が来ていた時に、別の男が訪ねてきて。部屋にいた男をクローゼットに隠したんだって」
そん時、ふにゃふにゃしたのかどうか言っていたか忘れたけど。
お盛んなのか、それとも、寂しさ余って仕方なくなのか。一種の中毒なのか。
ちょっと、痴漢撃退と繋がらない気もしたが、そういうものなのかも知れない。
他にもエピソードがあるらしく、なにやら遍歴をママが話すには。
どうやら、2人や3人ではないらしい。
「どう思う?」
「問題は、彼女が、好きでやっているかどうかですね」と答えた。
(望んでいるなら、好きにすればいい。それとも何か寂しさを紛らわせるため仕方なくなのか)
ママが「いやらしいわね」と、俺を見た。
ん?俺なんか、いやらしいこと言った?どう解釈した?
その店は、ママが開業時に方々食べ比べて、見つけたと言う拘りのケーキを提供していた。特に、チーズケーキは人気があった。
「あの、チーズケーキまだありますか?」
「あと2個あるわよ」