ダイバーシティ推進の最大の壁は制度や仕組みではなく「人の思い込み」
昨日のつづきです。
「ダイバーシティ推進」に取り組むとき、よく会社の制度や仕組みから手をつけることがあります。
例えば、人事制度を変更する、在宅勤務を導入する、時短勤務を認める、育休を申請しやすくする、といったことはまさしく制度や仕組みの話です。
一方でこれだけで「多様な人材が働きやすくなるか」問われると残念ながら「ノー」を言わざるを得ません。
実際に多くの企業ではこんな話が聞かれます。
制度はあるけど、使うと罪悪感がある
職場では申請しづらい雰囲気がある
周囲の人も使っていないのに、自分だけ使うわけにはいかない
要は多様性を活かすための制度や仕組みはあるが、実際は使えないということです。
そして「使えない」の最大の理由は物理的な要因ではなく、「使ってはいけない」「使う人はおかしい」という”思い込み”が人々の中にあるということです。
例えば下記のようなことはまさしく思い込みです。
育休の制度はあるけど、本当に使うのはやる気がない社員だ
みんなが出社する中で一人だけ在宅勤務を貫く人は協調性がない
管理職になると時間勤務をするわけにはいかない
こうなってしまうと、もはやどんなに完璧な制度や仕組みを入れても無駄です。
そのため、ダイバーシティ推進を考えたときにまず着手したほうがよいことが社員の中にある「思い込み」に対処することです。
「思い込み」は無意識のうちに人の考え方や行動に影響を及ぼしますので、まずは「自分の中に思い込みがあることに気づく」ことから始めます。
具体的な手法としてはケーススタディを使って自分がどう思うかを客観的に振り返ることです。
一例を挙げますとこんな感じです。
おそらく「お互いさまなので別にいいじゃない」という意見と、「周囲への配慮が足りない」という意見の両方が出てきますが、もしこのケースで育休の取得に対して否定的に見ている人が居た場合、自分の意見が必ずしも万人から見て正しいとは限らない(人に別の見方もできる)ということに気づきます。
そこで「育休の取得が良くないことだと思っているのは自分の主観(思い込み)である」ということに気づいていただき、「育休を取る人が悪いわけではない」ということを認識していただきます。
このように誰もが「自分には思い込みがある」ことに気づき、自分の思い込みとは別の見方ができることになると、今まで否定的に見ていた他人の行動も「中立的」に見ることができるようになります。
賛同はできなくても「中立的」に見ることさえできるようになれば、相手も行動しやすくなるので結果的に制度が活きてくるというわけです。
というわけでもし自社の制度が今一つ機能していないと思った場合、まずは人々の「思い込み」にメスを入れると良いかもしれません。
最後まで読んでいただきありがとうございます。